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保険金殺人の成功率

保険金殺人の成功率はどれくらいなんだろうか?
    1%? 10%? 50%? それとも …

 保険金殺人事件がニュースになることがある。昔から何例もあった。ところで、私たちが知っているのは失敗例だけだ。成功例は知らない。成功例はニュースにならないからだ。
 もちろん統計は無い。多分どこにも無い。成功例は世に知られることはないからだ。ということは、成功率は意外と高いかもしれないのである。つまり、バレてしまうドジなヤツはむしろ少なくて、まんまと保険金をせしめている方が多いかもしれないのである。ニュースで聞く例は、もしかしたら氷山の一角なのかもしれないのである。

 ところで、生命保険というものは、みんなで少額のお金を出し合って、不幸にして亡くなって残された家族にそのお金をまとめて渡すという仕組みだ。ただでお金をもらえるわけではない。あらかじめ掛け金を払っているのだ。
 しかもみんなが出したお金がまるまる保険金として支払われるわけではない。保険屋の取り分があるからである。その意味では、保険の期待値はマイナスということになる。
 その事情は、宝くじや競馬と同じである。みんなで宝くじや馬券を買って、そういう形でお金を出し合って、その途中で経費や税金の形で差っ引かれて、残りのお金を幸運にして当たった少数の人に支払う仕組みである。つまり、死んで保険金を受け取ることは、宝くじや競馬で当たって賞金を受け取るのと同じことだ。
 宝くじを買えば、当たることを夢見るだろう。馬券を買えば、当たることを期待するだろう。当然だ。だとすれば、保険に入れば、保険金が降りることを期待するのも、あって当然のことなのだ。しかも宝くじや競馬が運任せにするしかないのに対して、保険はその気になれば自ら操作できる部分がないわけではない。そう考えると、なんとかして当てようと工作するのは心情としてまるで理解できないわけではない。
 話を元に戻そう。保険金殺人の成功率はどれくらいなんだろうか? その確率は知りようがないが、絶対いるはずなのである。もしかしたら意外と高いかもしれないのだ。繰り返すが、保険も宝くじも競馬も、期待値はマイナスなのだ。胴元の取り分があるからである。加えて生命保険では、保険金殺人に成功した人の分も、掛け金という形で負担しているに違いないのである。そう考えると、生命保険の期待値のマイナスはますます大きいということだ。

 ウチでは誰も生命保険に入っていない。同様に、私は宝くじも馬券も買わない。職業柄、私はすぐに期待値計算してしまうから、入れないのである。でも、おかげで私は誰かに狙われる心配もないし、誰かを狙おうという野心も起こらない。こうして我が家は平和なのである。

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保険の損得 〜 
▷ 保険金殺人の成功率   ▷ 原発誘致という逆保険の論理
▷ それでもあなたは医療保険に入りますか?       
▷ 地震・津波は経済問題として、原発は倫理問題として語れ

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