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光は1秒間に地球を7周半回るのか?

 「光は1秒間に地球を7周半回る」という言い方があります。
 光の速さは秒速30万km。そして地球1周の長さは4万km(もともと赤道から北極までの距離の1万分の1を1kmと定義した)。だから、

  30万km/秒 ÷ 4万km/周=7.5周/秒 … (1)

という訳です。なるほど、計算は合っているように見えます。
 けれども、実際はそうはなりません。地球程度の重力では光を周回させるには全然足りないから、光は直進するはずです。
 (1) の計算が間違っているわけではありません。けれども、起こりえない。要するに「光は1秒間に『地球7周半に相当する距離』を進む」なら正しいのですが、「光が地球の周りをグルグル回る」わけではないということです。
 ところで、絶対に「光が地球の周りを回らない」のかというと、ある条件を満たせば、必ずしもそうではないのです。理論上は、ある条件を満たせば「光が地球の周りを回る」こともありえます。その条件とは、

◇ 地球がブラックホールである

ということです。これが絶対条件です。(高校数学風に言うなら「必要条件」です)
 くれぐれも、地球がブラックホールでないなら、光は地球の周りを回ったりはしません。すなわち「光は1秒間に地球を7周半回る」という言い方を真に受けるなら、その発言は「地球はブラックホールである」という主張を含んでいるのです。

◇       ◇       ◇

単位の話 〜  
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