川島雄三「花吹く風」

全く期待せずに観たが、なかなかの佳作だと思う。
紙京子の寄りの表情が素晴らしい。彼女と龍崎一郎、龍崎と幾野 道子の切り返しのショットも印象に残った。
そして、酔って意識をなくしかけた紙京子が背後の龍崎一郎に寄りかかるショットはなんとも妖艶な雰囲気があり、ハッとさせられた。
冒頭の雨降るビルの入口の群像シーンや、龍崎がその入口から出てきて、紙京子の乗るタクシーに乗り込んでからのタクシー車内のシーンはハリウッド映画のような印象を与える。こういうシーンを観ると、映画の素晴らしさと国を超えた映画の魔力のようなものを感じてしまう。
やはり、優れた監督は、こういった小品にも見るべきモノを残していて、思わず唸ってしまう。

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