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それでも主治医でいたいと思う

研修を含めて放射線科に来てから1年以上。当然仕事内容も変わっているのだが、1番変わったのは労働の仕方だ。

今年度は自分の希望もあり、月から金までは放射線のレギュラーワーク、金曜日の夜は毎週当直、そして、土日は概ね毎回オンコール。救急のような完全オフを置かずに働き、間も無く9ヶ月。救急医としてしか働いたことのない僕が、救急医以外の気持ちがわかるようになった。翌日の仕事がある中での夜間対応、レギュラーワークの間に発生してリスケジュールを余儀なくさせるイレギュラーワーク、これは人を摩耗させると思う。頭で理解していたことと身を持って感じることとは違うと言うが、確かに言葉が骨身に染みる。有り体に言えば、こりゃしんどい。

ただ、今の診療体制になってから、得している事もある。僕は本当に久々に、ちゃんと主治医をしている。見様見真似ではあるが、Bio-psycho-social modelで方針を考えて、shared decision makingをしている。キーワードを散りばめればクリスマスツリーのように煌びやかに見える。平たく言えば、自分の思う理想に近い心療ができている。これは主治医制の良いところだと思う。

無論、その治療が血迷っていてはならない。しかし、同時に治療方針が八方美人で何も解決していないものであってはならない。シフト制・チーム制で歯痒さを感じていた頃の自分を思うと、嬉しく、そして、誇らしい。そして、同時に辛くもある。医学的に正しいと思う事を貫く上での迷いは明らかに増えてくる。良いことだとは思うけど、命を削り合うようなギリギリのところでは、一瞬の隙になるかも知れない。ここを、どれだけ抱えられるか。今後の自分の課題だろう。

躊躇いも戸惑いもあり、とても良いことばかりとは言えない。むしろ、労務的には遥かにしんどいことが多い。それでも主治医でいたいと思う。

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