2022/08/17

お盆も明けて仕事始まり始まりと相成っている今日であるのだが、この仕事始まりというやつが苦手であり今年は盆休みを7日も獲得してしまった反動からか盆前までやっていた仕事をまるで覚えていない。半年ぶりにやったRPGのごとく、次なにやるんだっけ?という迷いが今日の俺の仕事を支配していた。やることが無いのならそれはそれでグッドボーイであるのだが、俺という人間は常に低いところを流れる習性をもっている人間であり、休み前の俺が休み後の俺を配慮などしているわけもなく大量のやることがあるはずなのだが「あるはずだ」という状況しか分かっていないのが難儀なところである。

社会人は学生の頃の夏休みに宿題を計画的にやったか最終日に纏めてやったかの2種類で分けることができ、これが前者か後者で人生の苦労というのがまるで違ってくる。俺はもちろん後者であり、しかも日記帳をまとめて書く際は鉛筆の減りによる筆圧の一致ででまとめて書いたと思われないように敢えてアトランダムの日を別々に書き偽装がばれないようにしたりする卑怯者であった。纏めて書いたのなら纏めて書いたことを認めればいいものを俺は他人に怒られたくないという一心から嘘に嘘を重ねる人間でもあったのだ。簡単にやれることを簡単なうちにやれる人間は人生で要らぬ苦労をせずに済むが、簡単にやれることを簡単なうちにやれない人間は簡単だったものが時が経つにつれ複雑になりそれに苦しめられる。人生ってよくできてる。

計画的に物事を運べる人間にとってはなんで早くやらないんだよと思うでしょうが物事を後回しにするのは全て「めんどくさい」という根のしっかり生えた感情に絡めとられているせいであり、俺たちは常にこの「めんどくさい」感情と戦っている。
めんどくさいという存在は強敵であり、筋肉がとても発達している。全身はシャネルの紙袋みたいなマットな質感の黒さで覆われていて、よく目を凝らしてみるとその黒は全て陰毛である。目や鼻などはなく口だけがあり、口の中は赤い。この世の何よりも赤い赤がめんどくさいという存在の口の中に存在している。めんどくさいはたまに不敵に笑う。赤い口の中をのぞかせながら。

これが我々がいつも戦っているめんどくさいの正体であり憎むべき敵である。俺はこの化け物に懐柔され小中高と夏休みを自堕落に過ごし、大学も勉強したくないめんどくささから適当に取れる校内推薦で3流大学に進学。化け物の勧めから麻雀を打ったり、ギターを弾いたり辞めたりしている内に光速で大学3年間を消費。4年次は化け物を体から離し気合いをいれて就職活動に励もうと思うも、心の底にある熱意のなさ、無本質さに自己分析で気づかされまず意気消沈。その心の隙間に化け物は入り込み、俺はめんどくささでまた適当な就職先に就き、「はぁ、俺ではちょっと分かりかねます。」と言うだけの仕事をしているのが今である。これではいかんと一念発起し新たに転職でもしてみるかとまず適職を探してみるも100の質問に答えて導き出される答えは「芸術家が向いています」という文言のみ。「芸術家 なるには」と検索してみると「弟子入りしてください」と書かれているサイトが一番上に表示される。ICT IoT SDGsなんだと叫ばれている現代で「弟子入りしてください」という言葉の質感は、「宿題はやったけど持ってくるの忘れました」とほざいている9月1日の俺の悪あがきの言葉の質感と似ている気がした。今思えば小学3年生の9月1日にこの言葉を言ってしまった瞬間から俺はあの「めんどくさい」という化け物を心に棲まわせてしまったと思う。戻りたい、あの夏に。

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