2022/06/27

クーラーのついた部屋から外に出ると熱波が体を包み夏の日差しが肌を突き差しいつの間にか皮膚と肉は溶かされ骨だけの姿になっている。端的に言えば今年の日本の夏においてクーラーのないところなど「死」、死の匂いが街中に充満しているのが最近の日本である。ここまで暑いとプールや海にでも入らないとやってられませんわと言う人もいるだろうが、もはや涼を得るために外に出ることすら下策。陽のある日中は部屋にこもっておくのがマストであり、プールなどに行って自分の肉体を見せつけたい、SNSに写真を上げたいなどという淫靡光線を電波に乗せることすら熱死光線により妨げられている。人間は性器だけで構成される生き物ではないので性器の露出よりもまず自分の命を守るのが先決のはずだ。

ゲイのSNSに浸っていると思う事なのですが、ある一定の人間はドスケベであることを隠そうともせず指先やちん先まで男性ホルモンを滾らせており、とりあえずおちんぽ一本先取、西川きよし師匠のようにひんむいた目でおちんぽを大発見しようとしている人間が目に付く。若さ故だとか若さでは説明できない年齢の人間においてもとにかく性欲の解消という大命題にひた走っている人は常にSEXアンテナが3本立っており、これに加えてVEROをやっている人間はもはやSEXアンテナが5本である。THE SEXですよ。

そうですVEROですよ、VEROをやっているとこれはさらに顕著ですが淫乱な人間とは程よく小麦色に焼けた自慢の肉体を持っている人間であるとお思いでしょうが、VEROを見ると肌の色など関係なく皆が皆持ち前の淫乱さを形にし、音にし、動きにして小麦色の健康的な男であろうがキャンパスのように真っ白な肌の男であろうが、いやむしろ真っ白な男の方が淫乱を隠す術を知らないようである。彼らのSEXスプリンクラーによって多少はこの猛暑も凌げるかといった様相であるが、とにかくVEROは鳥のさえずりなど一切聞こえない肉の林となっており一部の淫乱表現者以外はその木陰によって休息を得ている独自の生態系を展開している。

VEROをやっている人を揶揄しようというつもりは一切なく、むしろありがとうございますと助かりますという気持ちの反復横跳びを披露したいほどである。というかそもそも、これはそもそもの話ですが生殖を目的としないSEXにおいての目的など二つしかなく、①愛情表現、②性欲解消のみである。①か②、もしくは両方の意味を含めたSEXを我々は行うのでありこれ以上の意味などSEXにはありはしない。しかし昨今の一時の流行としてSEXにこれら以上の意味を持たす文化も芽生えつつある。

所詮SEXと言ってしまえば口は悪いですが本来SEXに特別性や神秘性などはなく、そんなものを感じるのはSEXを神格化している多くの大学生、大人になり切れない社会人の一部だけでありエモーショナルなSEXなどは端から存在せず”分かっている”大人たちはSEXをただの発散行動だと割り切っている。俺はどちらかというとSEXには愛情、友情、憧憬に焦燥、目も当てられない輝きと心地よい仄暗さなどの様々なエモ、もはやエルモを求めてしまう人間である。しかし世の中の多くの人間はSEXという質量のない存在の核をしっかりと掴んでおり、アプリで会って少し喋ったらSEXするだけの関係にエモなぞ何もないことを知っているらしい。二日酔いの身体に朝焼けのビル群とベランダで吸うタバコなどの要素が合わさってようやく多少エモい。しかしこれらも単純化するとただの酒と煙草にまみれたSEXという不健康信仰が生み出した虚像であり、ほんとのエモというものはSEX、というか現実の中には存在せず青春映画という作劇の中にのみ存在するものなのです。だからこそSEXの本質を知っている人間はSEXに躊躇がなく淫乱を表現できる。SEXに意味なんてないから。ただの動作なので。SEXの本質を知らない人間はいつまでもそこから動けないままであるのに。

エモなSEXをする方が尊く見えるでしょうが実際はそんなことは全くなく、結局SEXにおけるエモなど②性欲解消行為への味付けでしかない。俺たちはその味付けをも文化として楽しむ知能を得ているのでしょうが、それに拘り過ぎると知能ではなく本能の部分で他者に後れを取り、SEXそのものを見失う危険性があります。SEXしている人が偉いわけではないが、どうしても羨ましいですよね。なにせみんなSEXしまくり。新宿2丁目は時に多様性文化の急先鋒として扱われますが実態は日本の一大SEXシティです。SEXマシーン達のSEXユートピアです。あの街には一部の上位者により「複数SEXに呼んでいいリスト」なるものが作成され、俺もちらと見ましたがあんなものを見ると動けなくなりますよ。SEXに意味付けしている人間はあんなものを見てはいけません。俺はあのリストを逆レッドリスト、絶滅推奨リストと呼ぶことにしました。俺も興味本位であのリストを覗いてしまったのですが、あれはシンドラーのリストではありませんでしたよ。もっと悍ましい、大きな力と人の意志を感じました。俺は消されるかもしれません。

俺も早いところSEXシティからLOVEトレインに乗りLOVEシティに亡命しなければならない。

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