2024/07/23

本日は北参道まで来る用事があったので代々木駅から歩いて北参道に到着。東京都心というのは血管のように電車網が張り巡らされているものだから乗り換えを駆使すれば行きたい場所にピンポイントで到着することは可能なのだが、東京に住んで少し慣れてくると目的の場所に3回乗り換えでいくより乗り換えを少なくして目的地の近くの駅から歩くという選択肢も出てくる。地元岐阜から出てきた友人を東京案内する際なんかは乗り換えアプリを使わずに「あー、そこは○○線だからこっちで乗り換えたほうが早いよ」なんて言えれば気持ちよくて帰宅した後にシコってしまうだろう。

しかし今は夏なのだから代々木から北参道まで10分ほど歩くのすら自殺行為。到着したころには北参道を楽しむ余裕はなく避難所として入ったサブウェイはクソ暑くてまるでMGS4終盤のマイクロ波照射エリアのようで入店後すぐに踵を返し匍匐前進のまま自動ドアをウィンとくぐり這う這うの体で脱出する羽目になった。北参道のサブウェイは冷え性のババアが冷房の実権を握っている巨悪の店舗であるのだろう。

そのまま近くのスタバに入店。冷房が20℃に設定されていてこれは持続可能な開発目標に真っ向から中指を立てる姿勢であってやはり人間は核を持つことでしか戦争の抑止を出来ない悲しい生き物であると示すのと同時にしかしそれで良いのだと人間の悪性を俺は両の手で抱きしめてあげたくなる。自分勝手な人間は疎まれるがしかしその心根には他者への不安が渦巻いていて、俺はその煤に汚れた黒くてしかし少し温かい不安に頬ずりをしてやる。
アイスティーに8個ガムシロップを入れながら着席。俺はいつかガムシロップの仕入れ代だけでスタバを潰そうと思っている。

俺の両脇の人間は忙しそうにノートパソコンを叩いており、その真ん中で俺はインスタに「次のSEXは右手だけでSEXしようかな。アイユーズオンリーライトハンドインセックス」などと投稿している。東京とは馬鹿と真面目が隣り合える不可思議な場所である。

しかし北参道、表参道というものがあるのに北まであるのかとアイスティーを啜りながら思う。裏参道とかもあるのだろうか。裏原宿があるのだから裏参道もあるのだろう。なにごとも表より裏。裏のほうがカッコいいし気持ちいいのだ。

席から窓のほうに目をやると新宿のDoCoMoタワーが目に入る。このタワーが見える場所は俺の中では基本的に新宿と脳が勝手に認識する。北参道も新宿。下高井戸も新宿である。

土地には思い出が宿るが新宿となると多くの思い出が思い起こされる。5年以上東京に住んでいる者の特権として目を細めながら東京という街のノスタルジックに浸る。あの人とあの時飲みに行ったな、あの人って今何してるんだっけ、俺からそのうち連絡します!と言ったのにもう3年くらい経っていないだろうか、そういえば別のあの人にも連絡返してないな、手持無沙汰故に思い出に浸ろうにも不誠実な俺は過去に影を落としまくっていて細めた目は現実を見ないようにぎゅっと潰れてしまった。いつまで経っても俺は脇が甘い。最近脇の匂いが変わった。キーボードみたいな匂いがする。

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