2022/11/02

あの頃に戻りたいねぇ~。あの頃に戻りたいよぉ~。
もう中の言い方ですね。

大卒から働き始めてそれなりに仕事が安定してくるともう日々が無味乾燥でなんも味がしない。繰り返しの日々が俺の心をゆっくりと殺していく。明日も仕事だから今日は早く帰って早く寝てというのが週7日のうち週5日を占めていると生活が安パイも安パイに寄って来るのは自明の理。地方都市のホテルに泊まってなにかご当地の名物でも食べに行こうかと思ったら地方故に店じまいが早すぎてどこも開いてなくてホテルでコンビニのおにぎりを食べてる時のあの感じ。あの感じの虚無感を日々に感じています。

願い事一つ叶うならあの日に戻りたいと歌ったのは森高千里ですがほんとにその通りで、いや本当に願い事一つ叶うならお金が欲しいのですがそんなことはどうでもよくて、俺はあの日あの頃に戻りたいのだ。俺のあの頃というのは大学時代のことを指しています。大学3年の後期の部分をじっくりと見ながらこれを書いています。

過去に戻れるならいつに戻りたい?という話題が多く上がるのは誰しもが思い出を美化させるからではあるが、俺の大学3年生の冬はそんな、暗がりという今から見ると過去の思い出がキラキラ光って見える、とかそういう次元の話ではなく、本当に爆音で爆光の日々だったんですよ。というか四半世紀生きていれば誰しもこういう経験はあるだろうと思う。過去の強烈でそれでいて浮遊感に満ちた、言葉という簡易的なコミュニケーションツールじゃ言い表せないほどの"良い"日々が。

大学3年の秋、まずもってほとんど単位を取り終えていた俺たちグループはもう人生の夏休みを大学3年の後期から大スタート。肌寒い夜に友達の家から酒を買うためにコンビニ行くときの妙な浮遊感。店内に入った時の現実に引き戻される感覚。部屋に帰ると男だらけの部屋のムッとした熱気とカルパスやするめなど酒のあての匂い。白熱するスマブラ、カービィのエアライド、激闘忍者大戦4。徐々に疲れて寝始める連中と、朝方まで起きていた数人でしんみりとした話をした時に初めて知る友人の意外な一面。試しに行ってみた相席居酒屋で芽生えた友人のダサい恋。週に2回は行っていたカラオケとバッティングセンター。永遠に繰り返されると思っていた日々を全て使い果たし、いつの間にか年を跨ぎ春は目前。就活で気を引き締め始めた友人たちはもう資格勉強に時間を使うばかりで誰もゲームキューブのコントローラーを握らなくなってしまった。それぞれに訪れる人生の交差点でそれぞれに歩いて行ってしまった春もそれはそれでいい思い出なのですが。

大阪出身の友達がいてそいつの話がほんとに面白くてよく覚えてる。家の前に通っている堺筋線がほんとに邪魔で線路剥がそうとした話やうどん食べた後にワイン飲み過ぎて吐いて口から赤い紐がズルズルと出てきた話とか。そいつの話以外も全部覚えてる。1限サボって遊んだあの友達の部屋もロックリーの格闘無限コンボのやり方もドラグーンとハイドラのパーツ出てきやすいエリアのことも。時間という容赦ない攻撃であの頃の俺らは殆どが遥か彼方に行ってしまったけど、こうやってたまに思い出して少しでもあの頃を手元に引き寄せようとしている。

思うに生活という大きな枠組みが俺達を翻弄しているのだ。生きる為には生活をしなければいけない。働いて洗濯機を回して食べた食器は洗わなければいけない。あの頃の俺らはきっと生活というものと無縁で毎日が遊びだったんですよね。

あ~生活が嫌だねぇ~。生活が嫌だよぉ~。
もう中の言い方ですよ。

俺たちはこれからも生活をする為に働いたり洗濯物を干したり、トイレを掃除しなくてはいけない。これから一生...。俺はこの事実に気づいた時リアルに尻もちをついてしまいましたよ。

では今日も生活をします。さようなら。

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