「法務と事業理解の話」

1.「法務と事業理解」のスペースをやるに至るまでの経緯

先日、スペース(クセ強スナック)をやったのですが、大変充実した内容だったので、どうしてそのスペースをやることになったのかという話をちょっと書いてみたいと思います。

はじめは、このあたりのツイートを受け、

さゆりさん、dtk先生や他の方々とDMでやり取りをしており、中途採用者のダブルチェックはやるのか?みたいな話から、会社のことをある程度理解するまでは、ある程度の経験者であっても、しばらダブルチェックをせざるを得ないのはやむなし…みたいな話をしていました。
その流れから、さゆりさんが、「中途採用の人でも事業理解が爆速の人とそうでない人がいるのはなぜなのか?しかも、事業理解については、いわゆる有資格か無資格で差がついているわけでもなさそうだ…」ということを言いだされまして、
それを受けて、dtk先生が「そこの速度の差は出る、それは何なのだろうと思うのが、仕事に対する姿勢ではないかという気がしている?」といった趣旨の返事をされていました。
で、それを聞いていたおもちが突然口を開きます。

2.おもちと事業理解の話

いきなり自分語りになって恐縮ですが、おもちの企業法務のキャリアは、30歳という遅いスタートでして、さらに、それまで事業会社で働いた経験もないという、ポテンシャル採用とはいえ、もうちょっと他にいただろうみたいな状態からスタートしています。
その頃、知識も経験もある人と働くうえで、知識も経験もない自分ができることがあるのか???ということが疑問だったのですが、自分なりに考えた結果、経年がアドバンテージにならないこと、「今」より新しいこと(現時点のことか将来のこと)やほかのメンバーとは異なる視点を持つことで、何とかなるのでは?と思い、知識も経験もある人との差別化する意図で、「現在会社がやっている事業」を理解することに、時間と労力を全振りするところから始めました。
ちなみに、よく言われることですが、事業理解は、外部の弁護士と内部の法務担当者との差別化要素でもあります。
なお、このあたりは、「クセ強本スナック」1回目(ビジネス本の紹介)のきっかけの話に繋がります。その当時は、事業理解以前に、そもそも、ビジネスとは何か?ということがよくわかっておらず、まずそちらを学ぶ必要があり、3年目ぐらいまでは、法律の本よりもビジネスの本を読んでいたぐらいだったので。

自分が事業理解をしようと思った背景が上記の通りだったこともあり、dtk先生が事業を理解することの巧拙が「仕事に対する姿勢」で違うのではないか?と疑問を呈されたときに、ベースのスキルが低い&経験が浅いことが、事業理解で代替できないかなーぐらいに思っていた自分としては、そんなに立派な話ではないんですよ…。ということで、口を挟んだというのが、今回のテーマでスペースをやることになったきっかけ(導入部分)だったりします。

3.事業理解のための方法論

どういう話をしたかとかどういう考えが下地になっていたかというのは、dtk先生とさゆりさんのそれぞれのテキスト(すごい充実の内容…)にありますので、ぜひそちらをご覧ください。
ここでは、スペース企画前の段階で、おもちがDMで話していたことをちょっと書きます。

時間について

そもそも、事業理解は、普通に取り組もうとすると、とても時間がかかるものだと思っています。
事業部門の人に、その人が担当している仕事のことを聞いてみると、ある程度は教えてくれます。ただ、会社の事業や事業部門の部門全体の事業について、一から十まで教えてくれる人(教えられる人)というのは、なかなかいません。重要な会議体の事務局をやっているとかの事情がでないと、メンバークラスで全体像を把握できるチャンス自体少ないと思うので、こつこつ情報を集めていくしかないでしょう。
また、事業の話を、過去から順序建てて聞くということも少なく、バラバラに聞いた話を自分で整理し、時には、同じことを他の人から他の角度から聞いたりして、整合性を取りつつ理解していきます。
まとまって話を聞く時間がとりにくい場合、相談時のヒアリングで、周辺情報を10分ずつ余分に聞いて帰ってくるみたいなことを繰り返してこつこつ積み上げていく必要もあると思います。
なお、よほど時間がないときに頼むとかでもない限り、「今、自分が何をやっているか」ということを聞いて嫌がる人というのは意外に多くはない気がします。また、その人がやっている事業を聞くことで、事業部門の人と話しやすくなる良い機会なので、やっていて損はないと思います。
話を聞く相手の時間を取らせてしまうのが申し訳ないなと思う時もあるとは思いますが、その点については、個人的には、事業を理解することで、相談時の事前説明が少なくても済む、回答をクイックに返すといったことでフィードバックができればよい、と割り切っていました。

情報収集方法について

こちらもまずはお二人のテキストを参照していただくのがいいと思います。重複もあるかもしれませんが、自分では以下のようなことをやっていました。
・会社が対外的に公表している情報を見る(IR資料含む)
  意外と忙しくなると自社のWEBサイトを見なくなったりもしますが、ある程度は定期的にみるといいと思います
  社内資料ですが、株主総会の想定問答集なんかは、割と率直に物事が書かれているのでいいのではないかと思っています
・事業や製品の市場内の立ち位置や競合を知る
自社の製品やサービスのどこが優位でどこが劣後しているかを知る、時には、競合のウェブサイトも観る
・事業の年度計画を発表する会議に陪席させてもらう
・展示会に参加してみる
・本を読む(積む)

ちなみに、「新規事業の事業理解」となると、またちょっと違った工夫が必要となってきますが、今回はその話はしなかったので、いずれ何かの機会がればまとめたいと思います。

4.最後に

いやー、しかし、今回のスペースは、自分でやっていて面白かったです。いい話は聞けるわ、いいテキストは読めるわ、で大変よかった。自分が面白そうだからと思ってやったことですが、他の方にも面白いものであれば幸いです。
改めて、さゆりさん、dtk先生ありがとうございました。

なお、クセ強スナック、今回は非常にためになる内容でしたが、いつもためになるとは限りません。

最後はとりとめのない文章になってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

おしまい

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