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レビューRadio現場vol.41『ケアとデザイン』feat.内山健太郎さん(9分くらいで読めます)

台風が関東上陸しようとしている2022/08/13。
吉田さんがNHKに出演された効果か、今回のライブにはたくさんの視聴者さんが!
そんな時にも自転車で訪問介護に馳せ参じるヘルパーさんに感謝しましょう。
そして板橋キーステーション(森近さんの職場)が年末年始以外営業日となるという繁盛っぷり&多忙っぷり。

本日のゲスト、内山健太郎さんが面白顏で登場。
杉並区で訪問看護ステーション「いおり」をされている。小さな白い家というシルバニアファミリー的な建物。
内山さんは、ヘルパーもされてたし、デザイナーでもあり、歌も歌う方。
吉田さんのリア友でズッ友。Radio現場への出演を待ち焦がれていたという。
「いおり」はデザインラボと訪問看護ステーションを一つの会社で運営しているところ。
なぜか作務衣を着ての登場をいじられる内山さん。

雑誌『訪問看護と介護 2022年3月号』で特集を組んでもらっている「いおり」さん。
内山さんは、会社運営をしながらケアとデザインの答えを探しているという。

内山さんは、色々な仕事をされてきた。飲み屋のマスターをしていたり、その前は屋台の兄ちゃんをしていたり、デザインチームをやりながらヘルパーのWワークも。

現在の仕事に、内山さんの人生の希望・志望をすべてぶっ込んでいるとのこと。

在宅ケアとデザインは、すごく近しいと思っている内山さん。
曰く、「訪問看護師や訪問介護士が行っていることは、デザイナーがしていることと一緒だと断言できる!」と。
デザインとは、情報整理である。見えてるもの、見えてないもの、言えてること、言えてないこと、表に出ているものと裏に隠れているもの。顕在化しているものと潜在のものを繋げる工程 なのだそうです。

例えば、ジョブズのiPhoneは隠れたニーズ「こんなものいいな」を形として表し、コミュニケーションに革命を起こしたといえる。
この“関係をいじる”という行為を、訪問系の医療福祉関係者もしているんじゃないかとのこと。

15分08秒あたり、Mさんに叱られる案件発生!

人が変わったと思える瞬間って、180度変わるもの、というのがデザインの世界。今までの事が過去になるという。

超売れてるデザイナーは、いい介護は?……できないと即答の内山さん。
ただ、いい作品を作るデザイナーは、いい介護ができる筈だという。
売れっ子と良いデザイナーは違う
あれですね、甲本ヒロトの「売れているものが良いものなら、世界一のラーメンはカップラーメンだ」に通じるやつ。

介護とデザインの発想はすごく近い。使っている脳みそが一緒かもしれない。

ケア職で優秀な人はあまり解釈していないはずで、アウトプットせず、感じている。その感性がある人は良いプロフェッショナルであると内山さんは分析している。

吉田さん曰く、スティグマを持つ者(換言すると、感動ポルノの対象者)として振る舞うことがとても苦痛である、と。
酒よ女よで通してきた漢が、障害を得たからといって、蝶よ花よとはならんわけよ。といった内容のことを話されていました。

在宅ケアに携わる人々は他者を色眼鏡で見ない。彼らが一番可能性がある、と内山さんは語る。
彼らは、対象者の肩書きではなく、人の苦しみや怒りや悲しみとダイレクトに接している。

この感情の発露(社会の中の苦しみや怒りや悲しみ)は、人間社会にとって一級の情報だと感じている内山さん。
介護や福祉は、人の本音の上流を見通せてる職業であるとのイメージ。

一級の情報が得られるのであれば、社会としてあらかじめやっとく解が求められるんじゃないか?そんな素敵な情報を持ってるなら、アクションを起こすべきだと思っている内山さん。
デザイナーがやっていることは、情報収集と関係構築である」に膝を打つ思い。

吉田さんは、この仕事(訪問介護)を初めてから世界が広がったのだという。生活保護を受けている人が、こんな沢山いるとか全然知らなかったし。多様性への視野も広がったとのこと。

全体主義と個人の自由主義なら後者を取りたい内山さん。そこに希望を見出している。

「いおり」さんの現場スタッフは、実はデザインとは無関係であるという。
じっくりやる(シュアな)タイプの職員さんが多いとのこと。積み重ねの強み。コツコツタイプ。

デザインとして、具体例を挙げると、ジャム瓶のデザインとか、施設のロゴとかを作ってらっしゃる。実際のデザインを見たい方は本編をご覧あれ!

応援したい人のデザインをしたいから、お話を聞かせてほしいと提案する内山さん。

内山さんと吉田さんのご縁は、東新宿のデイサービス「なごみ」さんにあるという。
日本で最高のケアをしていると吉田さんが推奨する通所介護事業所。一つも宣伝を打っていないところ。
圧倒的なケアの質。利用者が心底リラックスしている雰囲気で、作為がない感じ。普通の家に普通の高齢者が普通に集まっている場が作られている。違和感があるのは(家族単位で考えると)“人が沢山集まっている”というところくらいで、それ以外全部普通。一人ひとりをそこで見かけたら、「あ、ここの家の人だ」と思えるくらいの自然さである、と。
そして一番すごいのが、相談員さんや職員さんがみんな、利用者の個人史をほぼ全てソラで言えるということ。
「なごみ」さんの相談員さんは、雑誌の編集をされていた方で、培った取材とインタビュー癖で、つい“書いてしまう”のだと。詳細を書くことで天下一品のアセスメントを作成する。
少数民族の部落に訪問して打ち解ける、みたいな感じ。人類学のフィールドワークにも通じると私的には思っております。

介護業界ってデザインが苦手。飾り気がなさすぎたり、やりすぎたりで、損しているイメージ。

ケアステーションこうのすけ という事業所のロゴを内山さんは作られた。
ケアステーションこうのすけは、水澤弘之亮さんが代表をつとめる神経難病専門の介護をされている事業所とのこと。
そして、内山さんによると、水澤弘之亮さんは訪問介護の業界で「俺が何回生まれ変わっても敵わないであろう3人のうちの1人」なのだそうです。
青い鶴と赤い鶴のロゴである。上手の赤い鶴が神経難病の利用者さんをイメージした鶴であり、下手の良く似た青い鶴が水澤さんをイメージしたもの。2羽の間には、絶妙な間がある。にもかかわらず、ずっと対象を見つめているという。

デザインによって事業者がやりたいことを表現するということは、その場に集う人たちを振り分けるきっかけにもなる、即ちマッチングもスムーズになる、と内山さんは語る。
内山さんの「ナーシングケア いおり」のロゴも素敵だ。昔からある庵は、自由で世間の外に位置する場である。そのイメージを大切にしたかったという。右下がペロっとめくれているのが気軽さの表現なのだとか。

吉田さんと内山さんが語るに、デザインを依頼する側は、思いを込められるだけ込めた方がいいという。「こういうふうに見られたい!」をデザイナーが形にしてくれる。
内山さんは、デザインを決める際には徹底的にヒアリングをするとのこと。なんなら好きな食べ物まで。そこにプロ意識を感じる私。

介護をする皆さんはデザイナーである、と内山さん。そして、みんないいデザイナーになってほしい。そうすることで、利用者さんも、未来の利用者である自分も、楽しくなる!現場が楽しく変わっていく!という素敵な締めのお言葉。
入り以外完璧なライブでした!!

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