【M@STER Ver.・ソロ版ネタバレ注意】『Home Sweet Home』お餅式考察(note版)

Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate.
(汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ)

ダンテ『神曲』地獄篇 第3歌の冒頭より
翻訳:山川丙三郎

【警告】
この記事には、以下の要素が含まれます。

  • 『Home Sweet Home』M@STERバージョンならびにソロ版の内容

  • 同楽曲のデレステコミュ内容を若干

『Home Sweet Home』のM@STERバージョン・ソロ版共に聴かずに本記事を閲覧しても、何も分からないどころか同楽曲の醍醐味を台無しにしてしまう可能性が非常に高いです。
現在はApple MusicなどでDL配信もされておりますので、
M@STERバージョン・ソロ版共に全て聴かれた後で、
本記事を閲覧されることを強く推奨します。

本考察はあくまであんこーるもちの考えを示したものであり、
今後の公式展開や、他の方の考察を妨げる意図はございません。

いちPの解釈として捉えて頂ければと存じます。

なお、本記事は以前ふせったーにて展開いたしました考察の、
note移転版
となります。
一部追記修正は行っておりますが、
内容自体は大きく変わっておりませんので、そのあたりもご注意ください。
(何で今更移転させたのかというと、本楽曲の作詞を担当された八城雄太さんから、『さやけき花の生命に』という特大の爆弾を撃ち込まれたからです。八城さんやべーわ)

それでは、準備と覚悟が出来ましたら以下から。

「ようこそ、私はこの呪われた館の管理人。
 貴方をご案内いたしましょう」

『Home Sweet Home』冒頭のミホのセリフより

物語の構成について

『Home Sweet Home』の物語は、以下の3つより成り立っていると思われます。

  1. 各キャラクターのソロにて紡がれる『前日譚』

  2. M@STERバージョン・デレステの3Dライブなどにて紡がれる『本編』

  3. デレステの2Dリッチ+αにて紡がれる『後日譚』以降

それでは、ストーリーを追いつつ考察を進めていきましょう。

前日譚:カリンが『家族』になる事は、この時点で明言されていた

前日譚では、登場人物の『経緯』『目的』が語られています。
また、この後の物語を理解するための情報も幾つか散りばめられています。
以下、CD収録順に列挙します。

コウメ
経緯:流行り病により孤独のまま、病死。家族は沢山増えたが、誰も彼もが偽物だとわかってしまっている。
目的:ホンモノの『家族』が欲しい。パパとママに会いたい。
私の帰るべき『お家』は、ここなんだ。

アカリ
経緯:父と母に連れられ、森にリンゴを取りに来たところ、迷子に。そのまま館にたどり着く。
目的:お家に帰って、持って帰ったリンゴでアップルパイを作るんだ……
その為には呪いを解いて貰わないと!
私の帰るべき『お家』は、ここじゃない!

カリン
経緯:館からの呼び声に誘われ、館へ辿り着いた見習い巫女。
目的:現世に未練を残した魂=館の住人達を、あるべき場所に還す。
みんなを『お家』に帰したい。
情報:カリンの目的を達成するためには、館の皆が「自分の死を受け入れ」「行くべき場所を悟る」ことが必要。
本編開始時点で館の住人が全員死亡していることが、此処から読み取れる。

マユ
経緯:恋人との逃避行の結果、館にたどり着いた。
目的:ずっと恋人の隣に居ること。『家族ごっこ』なんてくだらない。
私の帰るべき『お家』は、貴方の傍よ。
情報:舞台となる館のある森は、『子捨ての森』と呼ばれている。
最後のマユのセリフから、文字通り子どもが捨てられているようだ。

ミホ
経緯:館そのものの意志。コウメに『家族』を連れてきても、彼女が満たされることは無く……
目的:地縛霊と化したコウメお嬢様を、館より解き放つ。
その為なら、私は此処に残されても構わない。
私は『お家』そのものなんだから。

ここまででわかること。

コウメ:病死した後、地縛霊として館に囚われている。
霊の種別は、デレステの3Dライブと【Home Sweet Home】小梅ちゃんの特訓後イラストから、 ポルターガイストだと思われる。
本編でも小梅ちゃんパートで力を行使しているらしき音が聞こえるし。

アカリ:本人は迷子になったと思い込んでいるが、
まゆちゃんソロの歌詞より、『子捨ての森』に捨てられた可能性が濃厚。

カリン:自身の目的を達成できなければ館の住人になってしまうことが、歌鈴ちゃんソロの歌詞で明言されている。
これは、後日譚以降を読み解くにあたり重要な伏線と思われる。

マユ:経緯・目的から考えるに、ミホが呼んだ者では無い可能性がある。
衣装とソロの歌詞から、森の近くに住んでいた死霊術師である可能性がある。 (全くの別所に住んでいた可能性もある。『子捨ての森』絡みは死霊術師としての知識なのかも?)
唯一、助けを求めているのが本人ではなく、別人(マユの恋人)であることもポイントかと。

ミホ:コウメの為なら、何でもしてきた。カリンを呼んだのも、彼女がコウメを想っての事。
……しかし、一方で「コウメお嬢様さえ幸せになれれば、あとはどうなっても良い」という考えも読み取れる。


あの、ええっと。
この時点で割とカリンちゃん詰んでません?


本編:絶対に自らの死を認めない、アカリの態度が招いた悲劇

以下は便宜上、場面転換で区切り『1章』『2章』『3章』『終章』と呼称します。

1章:館からの呼び声

  • 冒頭の「助けて……助けて……」は、館の住人達(正確にはマユのみ彼女の恋人、だが)の声か。

  • カリンがアカリと二人で帰ることを約束し合うが、前日譚で語られた通りアカリは本編開始時点で死亡している。 この『約束』もまた、後日譚を読み解くにあたっての重要な伏線である。

  • アカリは、この時点で既に『館の呪い』を勘違いしている。

  • 彼女の勘違いは、終章になって初めて他者によって明かされることになる。

  • コウメのセリフから、アカリは本編以前より彼女の『家族』になる事を拒否していたようだ。 コウメの『家族』になるということは、自らが死んでいることを認めることになる為、 最後の最後まで抵抗していたのかもしれない。

    • アカリの『自らの死の事実への抵抗』が、物語を救いようの無い悲劇へと引き込んでしまっている。

2章:私の大事なコイビト

  • マユを救うつもりが、完全な逆効果。カリンもアカリも恨まれましたね……

    • これが後々まで(具体的にはエンディングまで)尾を引いている可能性が。 詳しくは後日譚・エンディングにて。

3章:ミホの昔話、そして……

  • ミホが望んでいるのは、『コウメお嬢様を空へ還すこと』。カリンの望みは、『館の住人達を空へ還すこと』。

    • 二人の望みは、『コウメを空へ還す』ことでは一致しているものの、それ以外は全く一致していない。

  • この章の最後で、確かにカリンは『コウメを空に還すこと』には成功した。 コウメが空に還ったことにより、ミホの目的だけは達成された。

    • 館そのものであるミホの目的が達成されたことにより、館は終章にて『あるべき場所』(冥界、地獄?)へと還った。

    • ……が。アカリとマユは、最後まで還すことが出来なかった。

終章:帰るべき『お家』は

  • ハッピーエンドを思わせる調べ、そして希望に溢れる歌鈴ちゃんの語りから一転、 絶望感溢れる調べをバックに、美穂ちゃんとあかりんごの熱演が光る終章。

    • 初見で呆気にとられた方も多いのでは?私もそうでした。

    • 前日譚、そしてここまでの物語を読み解いていけば、 この終わりは「そりゃそうなるわな」と受け入れられるところがすごい。

  • カリンは自らの任務を果たしたかのように言っているが、実際は全くそんなことはなく。

    • アカリは勿論の事、マユも2章のゴタゴタの後完全にスルーしてしまっている。 後日譚においてもマユ本人は出ていないが、未だ館に縛られているのだろう。


何故アカリはお家に帰れなかったのか?

ここで今一度、
「何故アカリは館から出られなかったのか?」をまとめてみます。

1.そもそもアカリは死んでいる

歌鈴ちゃんソロの歌詞、そして本編終章のミホのセリフより。

  • 歌鈴ちゃんソロの歌詞より、 館の住人が本編開始時点で全員死亡していることが明言されている。

    • ここから、アカリも本編開始時点で死亡していることが推測できる。

  • 本編終章にて、ミホの口よりアカリが既に死亡していることが告げられている。

アカリが死亡している以上、元の家に帰ることは叶わない。

2.アカリを縛り付けているのは、コウメではない

  • 本編にて、コウメが空へ還ってもアカリが館に囚われ続けている。

  • 歌鈴ちゃんソロの歌詞で語られている通り、 アカリが自分の死を受け入れ、行くべき場所を悟らない限り、彼女の呪いが解けることは無い。

→例えコウメが空へ還っても、アカリが館から解放されることは無い。
彼女が館から解放されるには、まず自らの死を受け入れることが必要となる。

3.アカリは自らの死を受け入れていない

本編終章より。
結局、アカリは最後まで、自らの死を受け入れることは無かった。
自らの死を受け入れられていない以上、彼女の呪いは未来永劫解けることは無い。
このままミホと共に、永遠に館に囚われるしかない――というのが、本編のオチ。


後日譚:正気を失った挙句、暴走するアカリ。その原因は何だ?

この作品は、CD収録の楽曲のみで完結するものではありませんでした。
デレステにて実装された、2Dリッチ。
その衝撃的な内容を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
――それが、M@STERバージョンの後日譚だとしたら?

まずは2Dリッチのあらすじを、
MVのスクリーンショットを交えながら振り返ってみましょう。

後日譚:少女の独り芝居

コウメが天に還り、館もまた、在るべき場所に還って少し後。
何時ものように館を見回っていたミホが、アカリの部屋の扉を開ける。
そこには、カリンも含めた5人を模した操り人形で、人形劇を演じるアカリの姿があった。
その眼には、光が無い。アカリは絶望のあまり、正気を失ってしまっていたのであった。
(外的な要因により正気を失っていた可能性がある。後述。)

正気を失っているアカリの図。

――「待って、待って!置いていかないで……!」
繋いだ手が、離れる。カリンが、扉の向こうへと消えていく。
二人で帰ると約束した筈なのに。何で?どうして?どうして私だけここに居るの?

フラッシュバックした記憶。

あの時の記憶がフラッシュバックした瞬間、操り人形の糸が千切れる。
次の瞬間、館の窓ガラスが割れ、壁のランプが砕ける。
同時に人形達が、アカリの周囲を渦巻き始める。
吹き荒ぶ風に巻き込まれまいと、足を踏ん張るミホ。
足を踏ん張りながらも片目を開けてアカリを見ると、
かつてのコウメの如く、アカリの周囲に闇が渦巻いていたのが見えた。

アカリ、暴走。

その時、二度と開かないと思われていた扉から光が漏れる。
涙を流しながら、扉を見つめるアカリ。
扉を開け、アカリの下へ駆け込んだのは――巫女服に身を包んだ、カリンだった。

改めて見ると、アカリ側の『闇』と、カリン側の『光』の対比が見事。

「アカリちゃん、逃げましょう!」
かつて、コウメから逃げた時と同じく、アカリに呼びかけるカリン。
そのまま、アカリへと手を伸ばす。

しかし。聞こえたのは、天に還ったと思っていたコウメの声。
カリンの手がアカリの身体へと届いた瞬間、ニヤリと笑みを浮かべるアカリ。

――「逃がさないよ」

後日譚のお餅式考察ぽいんと。

  • アカリが正気を失っていること、 またサビの最後の方の回想より、本編終了後の後日譚であることを推測できる。

  • アカリの人形劇にて、カリンが大幣を振り、コウメとマユを退散させている。 これは、本編の2章・3章にてカリンが行った行動と大方一致する。

    • マユに関しては、恋人を祓って本人からは逃走しているのだが…… 正気を失った結果、記憶が混乱してしまっているのかもしれない。 或いは、骸骨とマユが離れた=恋人を祓った事を意味している?

  • アカリは、コウメのようなポルターガイストとしての力を発現させているように見える。 人形達みんな浮いてるしね。

  • アカリが暴走した理由、またカリンが再び館に戻って来れた(来てしまった)理由は解釈が分かれそう。 これについての私の考察は後述。

  • 最後の「逃がさないよ」についても解釈が分かれそう。 私は、コウメがアカリを乗っ取った上で言ったセリフだと解釈した。こちらについての考察も後述。

後日譚考察:力を増したマユが、コウメを喚び戻した?

さて、ここでは攻めた考察をしていきたいと思います。
後日譚における一連の流れは、マユの行動が起爆剤となったのではないか?というものです。
考察の前提は、以下の3点。

前提1.マユはアカリとカリンに強い恨みを持っている

本編2章より。
マユはアカリの助言により、自らの愛した恋人をカリンに祓われたという事実がある。
本編では無事に逃げ切れた2人だが、その後もマユが2人を強く恨んでいることは間違いないかと。

前提2.マユは館で力を増幅させた、或いは覚醒してしまった死霊術師である

マユの衣装、ならびに前日譚・本編における描写からの推定。
前日譚にて、既にマユには自らが殺した恋人の声が聞こえていること。
また、本編2章のセリフにて、マユには恋人の姿が視えている事が推測できる。
前日譚の時点では声しか聞こえていなかった恋人が、本編時点では姿まで見える程度にまで力が増した。
もしくは、恋人が祓われる寸前でマユの力が目覚めてしまったのか。
其処に、アカリとカリンへの恨みつらみが加われば――

前提3.本編において、コウメのお祓いは完全に成功していない。むしろ失敗しているまである

本編第3章より。
カリン自身がコウメを祓うことを試みる際に、以下のセリフを発している。
「でも、本人が心から空に還ることを望んでいないと……」
繰り返しになるが、コウメが真に救われるには、
彼女自身が「自分の死を受け入れ」「行くべき場所を悟る」ことが必要となる。

本編第3章のラスト、ミホとコウメの会話を振り返ってみよう。
そこに、コウメが「自分の死を受け入れ」「行くべき場所を悟る」要素があっただろうか……?
もっと言うと、ミホが「私も一緒に逝く」ことを約束していたのに反し、
彼女は未だに屋敷に居るという事実が。

以上の前提を踏まえ、後日譚の流れを考察してみましょう。

お餅式考察:後日譚におけるマユ暗躍の流れ

1.マユの暗躍開始。現世に喚び戻され、アカリを支配し始めるコウメ

お祓いが不完全にしろ失敗しているにしろ、本編終了時点では現世に強い未練を残す、 不安定な霊体と化しているであろうコウメ。
マユにとって、これ以上の手駒は無いだろう。
絶望に囚われ、同じく不安定な霊体と化しているアカリに、マユは少しずつコウメの魂を憑りつかせていく。
後日譚のあらすじで「アカリは絶望のあまり、正気を失ってしまっていた」と記したが、
本考察だと「アカリがコウメに支配されつつある結果、正気を失ってしまった」 というのが正しいと思われる。
最後まで自分の死を受け入れなかったアカリの精神が、短期間でぽっきり折れるか?という疑問もある。 同一の劇で演じられていると考えると、時間軸はそんなに飛ばせないだろうし……)
(また、アカリ自身の精神が壊れていたとなると、 イベントコミュ5話の練習風景におけるアカリのセリフに矛盾が生じる可能性が出てくる。)
後日譚開始時点で、アカリがコウメのようなポルターガイスト現象を起こせているのはその為。
アカリの霊体を乗っ取りつつあるコウメは、理想の『家族』を模した人形達を作り、人形劇を始めだした。
ここの操り人形については、コウメがアカリを操っている暗喩のようにも思える。
そして、コウメが完全にアカリを支配しようとした瞬間――

2.アカリはコウメに支配される瞬間、全てを思い出した

回想の後に5人の操り人形の糸が切れたのは、アカリがコウメの支配に抵抗した事の暗喩か。
本編においても、アカリは「自らの家に帰りたい」という強い意志の下、コウメに抵抗してきた。
ここで、アカリはカリンとの『約束』も思い出したのだろう。
「ふたりできっと、絶対、呪いさえ乗り越え」「かならず帰りたい」……

3.アカリがコウメの支配に抵抗した結果、力の暴走を惹き起こすと同時、カリンを喚んだ

不意なアカリの抵抗により、コウメの力は不安定に。結果、闇が渦巻く力の暴走を引き起こす。
恐らく、アカリの口からは無意識に、言葉が漏れ出ていただろう。
「助けて……助けて……」と。
その言葉が通じたのか、巫女服を着たカリンがアカリを助けに来たが――

なお、暴走開始から「アカリちゃん、逃げましょう!」までに流れるセリフは、
アカリの脳裏に浮かんだ本編の回想説を強く推したい。

映画やドラマだと、白黒で本編のシーンが一瞬何度も入ってくるやつ。

4.カリンが助けに来ることさえも、計画の内。成す術もなく、カリンは捕らえられる

呆然とし、涙を流しながら助けを求め続けるアカリ。
そんなアカリに、カリンは飛び込み手を伸ばす。
かつてコウメのおしおきから逃れた時と同じく、「アカリちゃん、逃げましょう!」と叫びながら。
だが、今回は状況が悪かった。コウメの魂は、未だアカリの中にあったのだ。
カリンの手がアカリへと届いた瞬間、コウメの魂がアカリと同化する。
そして――アカリの口から、コウメの声で「逃がさないよ」と告げられるのであった。


エンディング:皆が皆、誰一人救われていないバッドエンド

さて、いよいよ物語の最後、エンディングの考察……ですが。
まぁ控えめに言って救いもへったくれもないバッドエンドだよな、という結論に達しました。
以下に、お餅が想像したエンディングの内容を記します。

エンディング:愛おしい我が家、あたたかいおうち

館には、1枚の肖像画が飾られている。
まるで1つの家族のような、5人が描かれた肖像画。
流行り病で、孤独に逝った少女。
最期まで、恋人を想い続けた少女。
孤独なお嬢様を、最期まで支え続けた少女。
館の呪いを祓おうと、勇敢に挑んだ少女。
そして――4人に囲まれ、唯一緊張した面持ちで写る少女。
館の住人達は、未だ館に囚われたまま。偽りの『家族』を、演じている。
自らが死んでいることも、知らぬままに。


CDジャケット絵、並びにデレステのイベコミュ第2話・第3話冒頭のセリフからの考察です。
「いやジャケ絵だから5人みんな仲良く写ってるのは普通よね?」と思われるかもしれませんが、
『Hungry Bambi』みたくMVの1シーンを切り取ることも出来るだろうし、
本編を暗喩させる構図で写すことも出来たはず。
(相対する小梅ちゃん・まゆちゃんと歌鈴ちゃん・あかりちゃん、それを見守る美穂ちゃん的な感じで。)
前日譚・本編・後日譚いずれのタイミングでもCDジャケット絵=肖像画を出せるタイミングが無いように感じるので、
出すとしたらエンディングかなぁと。

何で肖像画にカリンが居るのよ?

前日譚でもあったように、
カリン自身の目的―館の住人達を全てあるべき場所に還すこと―を達成できなければ、 館の住人と化してしまうことが、
歌鈴ちゃんソロの歌詞で明言されている。
本編時点で誰一人救えてないところに、後日譚のオチなので……
成す術もなく、館にとり込まれてしまったことが推測できる。
2Dリッチのラストでは巫女服だったのに、ジャケ絵では本編同様の洋服を着ているのも判断材料。

また、デレステにおけるイベントコミュの第2話・第3話にそれぞれ、以下のようなセリフがある。

「これでもう、みんな一緒。誰も此処から出られない、離さない。
 ……貴方も。」

デレステイベントコミュ『Home Sweet Home』第2話冒頭、コウメのセリフ

「ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。
 愛で満たされて、幸せでいましょう?」

同上コミュ第3話冒頭、マユのセリフ

これらは、クライマックスにおける二人のセリフの可能性が高い。
コウメのセリフの『貴方』は、間違いなくカリンを指しているだろうし。

エンディング考察:誰一人として救われていない、完膚なきまでのバッドエンド

さて、ここで前日譚にて示された、登場人物たちの目標。
そして、エンディング時点での状況を見てみましょう。

コウメ
目的:パパとママに会いたい
→カリンのお祓いが不完全、或いは失敗に終わった為、結局現世に戻った。
頼りのカリンは、既に屋敷に囚われてしまっている=死亡している。
達成不能。

アカリ
目的:どうやってもお家に帰りたい
→死んでいるため、どうあがいても不可能。
達成不能。

カリン
目的:現世に未練を残した魂=館の住人達を、あるべき場所に還す
→誰一人自らの死を受け入れず、行くべき場所も悟れなかった。
結果として、屋敷に囚われ死亡してしまう。
達成不能。

マユ
目的:ずっと恋人の隣に居ること
→カリンに恋人の魂を祓われてしまった。
達成不能。

ミホ
目的:地縛霊と化したコウメお嬢様を、館より解き放つ。
→結局、コウメは地縛霊として戻ってきてしまった。
コウメの目的が達成不能となってしまっている以上、
彼女の目的も自動的に達成不能となる。

……以上のように、誰一人目的を達成出来ない状況となってしまいました。
誰か一人でも目的を達成できていれば、そこに光明を見出すことも可能だったかもしれませんが……
(一番楽なのはマユでしょうか。素直にマユの警告を受け入れ、そうっとしておけば問題はなかったはずです。
それどころか、死霊術師の彼女の力を借りることが出来たかもしれません)

救いようも無い、完膚なきまでのバッドエンド。
それが、現状における『Home Sweet Home』の〆であると考えます。


物語に秘められた光明:館の皆を縛っている、『すべての原因』とは何ぞや?

ところで、デレステのイベントコミュ、第5話の練習風景にて。
物語のクライマックスシーンであろうセリフに、以下のようなものがあります。

カリン「呪われた館……。【何かに気付いた様子のカリン。】
    もしかして、すべての原因はここに……?」
コウメ「それを知る必要は、無いんだよ。
    みんな、もうお外へ行かなくていいんだから」
アカリ「私には大好きな家族がいるのっ!あなたたちじゃない!!」

デレステイベントコミュ『Home Sweet Home』第5話より

カリンが気付き、そしてコウメも知っているであろう『すべての原因』とは……?
この謎が解ければ、『Home Sweet Home』の物語を完全に読破・理解したことになり。
同時に、皆が救われるための道筋も示される予感がします
が……?
考察するには情報が少なすぎるのも、また事実です。

個人的には物語自体は綺麗に終わっているので、
エクストラステージ的なものとしてゆっくり楽しむのが吉かと思っております。

呪われし館の謎を解くのは、画面の前の貴方かもしれません……

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