1番好きなビールがサッポロビールである理由~お元気ですか~

注ぐの得意。コップのセンスはアレ




2月に入り、大好きなプロ野球のキャンプが各地で開催されている。これを野球界では「球春到来」と言います。

コロナになる前、正確にはコロナが来た2020年の2月まで、わたしは毎年欠かさず沖縄にプロ野球キャンプを見に行っていた。
元気かなぁ、大好きな〇〇選手。明日でファンになって丸7年だよ。7年!
たまにインスタで現状を見せてくれるけど。久しぶりにお話したいなぁ。東京のお母さんは元気ですよ。もう東京に住んでないけど。


さて、今回はわたしがプロ野球観戦にハマったところからお話は始まります。

きっかけはささいなこと、1時間半でトリキのメガジョッキ4杯飲める無類のビール党のわたしは20代中盤にふと気づいた。

神宮球場ってビアガーデンじゃね!?

私以外の家族は野球好き(阪神ファン)で、チケットがとても取りやすいという話は聞いていた。売り子がいることくらいはニホンジンの常識として一応知っていたし、屋根がないことも知っている。

と、いうことは、どこよりも予約が取りやすいビアガーデンなのではないか!頭のいい私は気づいてしまったのだ。
噂では神宮球場近くの森のビアガーデンは予約が取りにくいと言うし、野球が見れて酒が飲めるなんて一石二鳥すぎる。ウキウキで私はファミポートに向かった。

野球はコンサートチケットとは違って自分の好きな席が取れる。ブロック指定ではなくこの位置のこの椅子に座りたい!レベルで指定ができる。ジャニヲタだった当時の私はびっくりして目玉が飛び出そうなナイスシステムだった。コンサートもこのシステムで取れたなら…いやそんなの負荷に耐えられるサーバーがこの世にはないだろうな。無理や。
こうして取れたのはなんとテーブル付き飲み放題つきのセブンイレブンシートだった。この日以降私は野球にダダハマりして、9年経つ今でも球場には通う事になるのだがこのシートが取れたことは一度もない。なんでこの日取れたのかは永遠に解明できない謎です。

こうして試合が終わったあと、ノリがあった近くの席のメンズと飲みに行って池袋北口でLDK(ロングディープキス)されるほどべろべろに酔っ払ったわたしは、無事に野球観戦にハマったのでした。

それから私は週1、もしくは週2で通うほど野球観戦に没頭した。それはそれはとても新しくて、楽しい趣味。
春は冷たすぎる空気にさらされながら、夏は命に係わるほどの太陽の光を浴びながら、秋にようやく心地のいい風に吹かれながら。神宮は冬以外年中無休のビアガーデンとしてとても優秀だった。
ビールはわざわざ足を運んで買いに行かなくても可愛いチャンネーが売りに来てくれる。みんな重い樽をもって階段を上り下り、おしゃべりもうまいし本当に可愛い。たまに「オバハン!?」みたいな子もいたけれど樽を一生懸命背負って膝を黒くして歩いている姿を見ればそんなことは関係なく可愛いのだ。しかも大好きなビールを運んできてくれている。わたしが男だったら全員付き合いたいとだ思っていただろう。


だが、それが私を苦しめることとなる。
居酒屋のビールは言うてもだいたい400円~600円くらい。700円だと「たっか!!」となる値段だ。しかし球場のビールは安くてもだいたい700円~850円。1時間半でトリキメガジョッキ4杯、合間にメガハイボールを挟むほど酒豪の私にはお財布事情をとても苦しめることになったのだ。

私は悩んだ。神宮球場の外野はまぁまぁ治安は悪くて、普通に缶の酒を大量に持ち込んでパーティーを開いている層もまぁまぁいる。でもわたしは球場を汚すようなそんなことはしたくない。とはいえ神宮球場は入り口でカップに入れ替えればコンビニで買った缶ビールを持ち込む事はできるけれども、3時間くらいある試合を缶ビール1本で乗り切ることはできないし2本3本の量を最初にカップに入れ替えてしまっては死ぬまで共にしてもいいと思っているほど愛するビールのおいしさも半減になる。さて一体どうしたもんか。

そこで私は見つけてしまった。一瞬目を疑ったが、見つけてしまったのだ。

神宮球場には、瓶ビール売りの男の子たちがいた。

確か当時はキリン、サッポロの瓶ビール売りの男の子がいた。売り方は樽を背負った女の子と何も変わらない、頼めば瓶を小気味よく開けてはカップに注いでくれるシステム。瓶ビールのたくさん入った箱を前に抱えてはビールいかがっすかーーと言いながら練り歩いていた。
瓶ビール!?と初めて気づいたときは目を疑ったものだ。重くね!?!?が最初に浮かんだ単語だった。それ以外ない。そりゃあ樽も重いだろう。でも瓶の重さがプラスになるだけ1ターンで売り切れる杯数も違うだろうし、単純に、効率悪くね!?

しかしすぐにわたしは気が付いた。瓶ビール売りには樽での生ビール売りの女の子とは大きながあったのだ。

ワンコイン。

そう、瓶ビールは450円で買えるビールだったのだ。


1杯が750円の生ビールとはだいぶ差がある。2杯飲めば600円、3杯飲めば900円。瓶ビール2杯分の差がつく。それに言うてもわたしは女だ。いくらメンタルとか思考がいくら男の中の男と言われるわたしでもホモサピエンス的には女だ。メスだ。メンズから買うほうが気分がいいに決まってる。
ということでわたしは神宮に行くたびに瓶ビール売りの男の子からビールを買うことになった。

もう先に言ってしまうが、わたしが買い続けたビール売りの男の子がサッポロの瓶ビールを売っている「ダイスケくん」である。

マッチ売りの少女、でもなくビール売りの女の子、でもなく瓶ビール売りのダイスケ、は本当によくできた男の子だった。
顔は笑顔がとっても可愛くて、言うならばたぬき系。たぶん言ってること6割は嘘やな、と思ってたけどおしゃべりがとても上手だった。
1人で観戦に行ってもダイスケくんがいれば楽しい。好きな球団の話とか、ダイスケくんってDeNAの白崎に似てない?という話とか、タイミングが合えば今プレーはうんたらかんたら…という話もできた。
もちろんそのたびに彼からサッポロビールを購入。「サッポロのダイスケ」は球場で1人観戦のわたしの心の支えになっていた。


そんなある日、4月の神宮球場に観戦に行った日。
その日はダイスケくんが珍しくおらず仕方なく別の人からビールを買って1人で試合を見ていた。自分の周りにいる集団が大勢で見に来ている若い集団で、おばさんはわかりやすく気まずい思いをしていた。うぇーいお疲れ~いという雰囲気で楽しそうにしているのを感じながらわたしは1人グラウンドに集中する。集中するしかなかった。

するとそのパーティーにまた1人加わった。お疲れーい!またか。まだ人増えんのか。わたしは3時間1人観戦だというのに。別にいいんだけど。
ふとグラウンドからそちらに顔をやる。特に意味もない、イライラしているわけでもない。無意識だった。その人物と目が合う。


「ダイスケくん!!??!?!?」


なんとそこにはプライベートで試合を見に来ていたダイスケくんがいたのだ。

その集団はどうやら売り子の仲のいいメンバーで、シフトに入っていなかった日に野球を見に来たらしかった。
どんだけ野球好きなん!?!?と思ったのはわたしだけではないはずだ。売り子は総じて野球が好き。好きじゃないとできないよね。

もともとダイスケくんは神宮での心の拠り所だ。ここで会ったもきっと何かの縁、色んな話をしてなんなら一緒に試合を見て、(席となりだし)この出来事のおかげで更に彼からビールを買おう!!という気持ちが加速したのは言うまでもない。

しかも、その集団にはもう1人サッポロの瓶ビール売りの男の子「ケイスケくん」がいた。やんちゃそうなダイスケくんとはまた違い、なんとなく癒し系。多分彼は酔っぱらっていたと思う。姉さん~姉さん~また会いましょうねぇ~みたいなこと言っててとても可愛かった。本当に可愛かった。(ババァ)


ということで、ひょんなことからダイスケくんだけではなくケイスケくんからもサッポロビールを買うことになったのだ。

2人とも結構シフトには入っていたので、試合に行くたびに顔を合わせることになる。ダイスケくんから買ったらケイスケくんからも買わないわけにはいかない。こうしてわたしは無事にサッポロビールをそれまでの倍量飲む羽目になっていた。

でもほんとにねぇ、この2人がとってもとってもいい子たちでねぇ。
ケイスケくんは東北の出身で、ビールくれーーと声をかけると「実家に帰った時のお土産です~」とポケットからポロッと出した銘菓かもめのたまごをくれたこともあった。(かもめのたまごをつまみにビールを飲んだのは後にも先にもあのときだけだ)

ダイスケくんからは彼曰く、わたしが1番長いこと買い続けたお客だったらしくなんと4年間買っていたらしい。とんだ太客!1試合で2~3杯しか買わなかったけど…


これだけ長いこと、神宮での時間を過ごしてきた2人が大学の卒業とともに球場からいなくなってしまうときは本当に寂しかった。
最後、11月のファン感謝デーで最後の売り子出勤をしてたときにはダイスケくんには獺祭を、ケイスケくんにはネクタイピンをプレゼントしたくらいだ。(チョイスした理由は一切記憶にない)

実は連絡先も知っているがさすがに連絡したことはない。きっとどこかで当時と変わらない笑顔で働いていることだろう。
彼らもやはりサッポロビールを好んで飲んでるのだろうか?
ちなみに今、神宮球場からはもう瓶ビール売り自体が姿を消している。


ダイスケくん、ケイスケくん、お元気ですか?
わたしは元気です。

色んな事があるけれど今でもわたしはサッポロビールを見るたびにあなたたちを思い出しては懐かしい気持ちになって手を伸ばさずにはいられません。もう君たちの売り上げに貢献してるわけではないのにね。

ひとりのときも友達といたときも、一緒に写真を撮ってたくさん話をしてくれてありがとう。
何より、ビールが大好きな私の懐を助けてくれてありがとう。ケイスケはお釣り間違ってたこと何回かあったけどね。

あんなに過酷なバイトができたあなたたちにできないことはないはず。わたしは今でも、たまに思い出しては君たちの笑顔に励まされて今日も生きているんだよ。
球場に行けばどこかにいないかなって探してしまうくらい。向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのに。



もし、いつかどこかの球場に野球でも観戦に来て偶然に再会できた日には、ぜひ私にサッポロビールを奢らせてください。
わたしはあなたたちの未来が明るいものであるように、遠くから応援しています。




ところでリリさんのnoteのわたしのコメント、1週間に1回くらいの頻度でどうやら消されてるんだけど、なんでだろう?
嫌なコメントしちゃったかなごめんなさい、とも思うんだけどしっかりスキをつけてくれた後に消えているので「?」しかありません。スキ、あっやっぱこいつのコメントきもいわ取り消そ!削除!なのかな?彼の行動はいつでも謎めいていて、惹かれずにはいられませんね。

リリーさん、あなたにもぜひ450円のサッポロ瓶ビールをごちそうさせてください。まずは2017年頃に共にタイムスリップするところから始めましょう!

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