今日何も無かったので思い出振り返ります(一期一会編)

数年前、石神井公園の居酒屋のカウンターで友人とご飯を食べていた。
隣にはカップルと思わしき男女がいて、男性がお手洗いに行った。すると、僕の隣に座っていた女性が「これ食べていいよ」と、なぜだか確かサラダを僕に与えてくれた。
僕はせっかくだし一口もらったら、「もっと食べて」と言われ、僕はその後食べたかどうか覚えていないが、友人は機嫌を悪くしていたことは覚えているし、たまに蒸し返すとしっかりと覚えている。
きっとあの男女に二度と会うことはないだろう。元気でやっているだろうか。


京都旅行であるお寺の地下に入り、〝暗闇の中を歩く〟ということをした。
そこは暗闇に対して真摯で徹底していて、目を開けていても何も見えなくて、暗闇に目が慣れてかろうじて見えることもなく、入口から出口までの間は本当に何も見えなかった。
僕は暗闇は苦手で、何も見えなかったら自分自身の力で動けないので、友人の腰を持って付いていくことしかできなかった。手が離れたら大きい声を出して「いる?」って言ったほどだった。
すると僕の腰に誰かが掴んできて驚いた。でも、その人は「いる?」と言っていたのだ。
知らないけど〝同じ〟人間だと感じて少しテンションがあがった。
お互い、「すみませんうるさくて」とか言ったり、「怖い怖い」とか言って何とか抜け出せた時はもうその人はその場にいなかった。
きっとあの人に二度と会うことはないだろう。元気でやっているだろうか。


人生で初めて回らない寿司屋さんに行った。浅草の寿司屋さんだ。
その寿司屋さんの大将は何かダジャレを言って寿司を出してくれて、そのダジャレがどんな内容だったのかはまったく思い出せないのだが、とにかく気持ちよくいじってくれて居心地が良かった。
それに、提供してくれる寿司はどれも度肝を抜かれるぐらいおいしかった。人生で初めて天を仰いだのもこの時だった。
そんなリアクションをしていたら、隣の夫婦が話しかけてきた。「ここのかっぱ巻き食べてみな。おいしいよ」と。
誘発されて注文して食べたら本当においしかった。きゅうりが細かくて触感が気持ちよくて、「めっちゃうまい」と夫婦に感想を言った。大将が「それ巻いたの俺だから」ってツッコまれたことも覚えている。
思い返してみると、僕はよく〝カウンターの隣に座っている男女〟に声をかけられることが多いのかもしれない。
僕はもう随分と浅草に行っていないけど、まだその寿司屋さんはある。タイミングが良ければあの時の夫婦に遭遇するかもしれないけど、きっとあの人達は僕のことは覚えていないだろう。
でももし会えて覚えていてくれていたら、僕は少し恥ずかしい気持ちになるかもしれない。

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