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約束

※半分実話です

「俺、いつ死んでもおかしくないらしい」
唐突だった。
急で信じられなくて理解できなくて、代わりに涙が出てきた。

「ね、俺と約束して」
大我(たいが)は困ったようなすでに諦めているかのように微笑んで言った。
────
大我とは2年前ネットで知り合った。隣県なのもあっていろんなところで遊んだりくだらないことで笑い合ったり…私の大切な友達だ。

「ずっとこんなふうに笑い合っていたい」
大我の口癖だ。
別れ際になると名残惜しそうにいつも小さく呟いていた。


ある日の夜

「……こわい」
電話越しに大我が言った。

「…実は、~~っていう病気なんだ。医者が言うには、進行していて今から治療しても治らないって…」

「俺、いつ死んでもおかしくないらしい…ずっと黙っててごめん」

ぎゅっと胸が締め付けられた。私は大我がいなくなるなんて信じられなかった。考えたくもなかった、

私に伝えるのにどれだけの勇気をだしただろう、
大我の嗚咽が聞こえる、私も涙が溢れないようにするのに必死だった。

「私ともっともっといろんなところ遊びに行こうよ、大我といると楽しいの…いなくならないで…おじいちゃんになるまで生きるんだって言ってたじゃん…」
私は涙で顔がぐちゃぐちゃで、ほかになにを言ったのかあまり覚えていない。
ただただ苦しかった、

「ごめん…それじゃ…ね、俺と約束して」
大我の声が震えていた。

「ときどきでいいから空の写真送ってほしいんだ、〇〇が撮ったやつ、俺がいても…いなくても」

「……っ、写真くらい何枚でも送るよっ…」

「〇〇と出会えて話せてたくさん思い出ができて、すごく楽しくて…俺にはもったいないほど幸せだよ。ずっと友達だぞ!」

「…っ…大我っ…」

「……イン○タのストーリーの更新がなくなったらもういないと思ってね」
すごく小さな優しい声だった、

プツッ


そこからはよく覚えていない。
気づけば一週間が経っていた。

あれから4日ほど大我のイン〇タは更新されていなかった、
わたしはこれ以上考えたくなかった、

電話が鳴る、大我からだった。
「……もしもし」

「〇〇ちゃん…?大我の母です」

心臓がドクンっと大きく跳ねる、まさか……

「……あの子が…息を引き取ったわ」

それは残酷な聞きたくない言葉だった、
.
.
.

「……もう、一年か…」
私は大我宛に写真を送信した。
大我のように明るくて優しいお日さまの写真だ。

私は約束どおり写真を送っている。
既読がつくかもしれない、綺麗な写真だねって返ってくるかもしれないと思いながら、

これからも、

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