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【人財育成論30回】リテンションって何?


ミツカン本社、筆者撮影


リテンションという言葉を聞くことが多くなっていると思います。リテンションの定義は、社内への「定着」ということになります。専門的には、①優秀な人材の離職を防ぐ、つまり人材の流出防止、②継続して社内で活躍してもらうことです

なぜ話題に?

なぜ最近語られるようになっているのでしょうか。それは、特に若い社員における離職率が上がってきているからです。そして、人手不足。企業にとっても大事な人財に去られてしまうと、その補填も大変です。働き甲斐をあげ、満足度をあげ、社員にいてもらうことが何もよりも経営上の課題になってきているのです。

しかし、人材市場は流動化しています。「新卒一括採用・年功序列定年退職」といった日本型キャリアがもう過去のものになっていることが背景にあり、この流れは止まりません。

定着できない理由

定着できない理由は様々ですが、分類してみると・・・・

1.報酬の低さ
・報酬が上がる感じもない
・タイパ(報酬や+なこと/時間)が見合わない
2.未来が想像できない
・業界的にも、会社的にも未来が暗い
・自分の将来のキャリアの見通しがつかない
・成長できないでキャリアの可能性を狭めていく
3.現実が思ったものと違う
・仕事がつまらない
・配属ガチャ、数年我慢してもかわらなそう
・もっと自分にあった仕事をしたい
・まわりと価値観があわない
・困っていても誰も助けてもらえない
・人間関係でうまくいかなかった、友達がいない
・ハラスメントにあった
・職場や風土に慣れなかった
・居心地が悪い

などなど様々な理由が考えられます。それは何が理由なのかは見てみないとわかりません。ケースバイケース、会社と人によるということです。なので何が原因かも明らかにするのはなかなか難しいものです。

人事部門が対処するのが難しい

人事にとってはかなりの難題です。わざわざ就職してもらうまでにかかったコストは膨大です。内部でも「なぜ辞めたんだ」「若手のホープなのに」と苦言を呈されることもあるかもしれません。
「その人の人生だから」「恋愛みたいなものだからしょうがない」といっても選抜から育成までに人財育成投資をかけたのですから、会社としてはマイナスです。組織の論理、人事・目標設定とバッティングします。その入社試験や採用関係が「ダメ出し」されたようなものですから、心理的なショックもあるでしょう。

特に、人それぞれに理由も要因の重みも違います。1人の退職をとっても、「ある出来事があって突発的に」というケースから、「複合的な理由が絡み合っていてきっかけがあって」というケースなどなど様々です。タイミングが複雑に絡むので、分析やケーススタディにも限界があり、そもそもなぜ?が明確にならなかったりするので、どうしていいか?と途方に暮れてしまうかもしれません。

問題解決の方向性

問題解決の方向性としては、ステップは
①退職した人の理由や周辺情報の収集。そこからの推測・検討
②退職事例についての原因考察
③デザイン思考などを活用して相手に共感しての深堀考察・複数人でのケーススタディ・議論
④幾人かのケースから退職要因の共通項(仮説)を見出す
⑤裏付けの事実やデータ(組織内、人事評価上、組織のストレス値など)、記述されていた事実や報告内容などでの検証
⑥必要ならヒアリング
⑦各種データ比較
⑧仮説検証
こうした①~⑧までのプロセスを繰り返して進めるしかありません。地道な作業ですが、リテンションのための第一歩になります。その際に、数字や客観的なデータがないと、なかなかうまく進みませんのでその点は留意したほうがいいと思います。

次回から、リテンションに至るロジックを考えていきたいと思います。

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TL
TLサービス


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