見出し画像

【人事評価の未来(第3回)】大谷翔平から「日本の人事評価」を考える①:プロは結果で問われる、業績測定とセイバーメトリクス

ホームラン数:46 9勝2敗0S 防御率 3.18 奪三振 156

これがエンジェルス、大谷翔平さんの成績である。

「わが社に大谷はいないのかな?」と思ってしまうマネージャーもいたことでしょう。若き大谷翔平さんの事例を踏まえて、「日本の人事評価」を考えていきたいと思います。タレントマネジメントが叫ばれて10年。日本のビジネスパーソンも中には「タレント」として活躍しだしている企業も出てきていますが、どのような「評価」をしているのかなど含めて、評価の専門家である筆者なりに考えていきたいと思っています。

プロ野球選手の人事評価

そもそも大谷さんのような「高度プロフェッショナル」のような人は、結果で評価が求められます。具体的には、先発投手の場合、勝利数や勝率などの指標で数値を見られ、そこで評価が下されます。大谷さんの場合

画像4

ということなので、圧倒的な業績・実績です。打者として文句がつけられない成績です。

このように野球選手は「結果」で評価が決まる仕事です。ビジネスパーソンのように、半期に1回という人事評価ではないのです。ある意味、リアルタイムで数字が突き付けられるという厳しい環境と言えるかもしれません。

業績評価が深く・詳細化?!

最近は、セイバーメトリクスというものが出てきて、プロ野球選手の業績がさらに細かく、かつ、科学的に評価されるようになりました。

なかでも有名なのがセーバーメトリクスとよばれるものです。アメリカ野球学会のデータ分析によって、新しい指標が生み出されたものです。映画の「マネーボール」でも有名になりました、指標と数値による評価。見てみるとかなり細かいことがわかります。こうした指標で客観的に評価されるのは恐ろしいですね!新たな指標が開発され、評価尺度になるということです。それでは見てみましょう。

◇ISO・IsoP:Isolated Power 【算出方法】長打率ー打率 【意味】打者の長打力を表す指標 【大谷さん】335
◇OPS:On Base plus Slugging 【算出方法】出塁率+長打率 【意味】打者が打席あたりで得点増加に有効な打撃をしているかどうかを表す指標。出塁率と長打率をたした数値で「アウトにならない確率」と「進塁を効率よく稼ぐ」を評価 【大谷さん】965

ISOの平均は130程度であるので335の大谷さんは圧倒的な数値です。OPSの平均は730前後であるのでこれも圧倒的です。OPSは1000を越えればリーグ最高レベルなのでほぼほぼ最高レベルに近いです。

大谷さん2

【出典】ET撮影・提供

さらにセイバーメトリクスどんな数値があるのかを見ていきましょう。

画像4

この評価指標の詳細化、おそろしや~と思います。多面的な角度から評価されてしまうのです。しかし、ホームラン数や打率など主要指標で評価されるのは納得がいかない、結果に貢献しているのに~、役割を発揮しているのに~という思いを持っている選手にとっては事情が違います。個人的にはサッカーをしていたとき、もう1人のFWがフリーになるように、無駄走り的なスペースへの飛び込みやマークを引き連れ犠牲となってつぶれるケースなど、岡崎選手のように動き回って犠牲になっていたところが評価されれば、筆者も納得するのです。

その意味で指標が高度化することは素晴らしい面もあります。

目標達成度ばかりでいいの?

さて、日本企業の人事評価です。ビジネスパーソンはどういった指標で評価を受けているでしょうか?

そもそも仕事の業績は、様々な要因によってなりたつため、個人に帰着しないことがあるのは前提です。なので、結果として業績は目標達成度が問われるところが多くなっています。業務内容によって、指標が設定され、目標値が設定され、その達成度が問われます。


大谷さん3

【出典】ET撮影・提供

デジタル化の時代、ウェブマーケティングや各指標のデータが測定できるようになりました。アンケート結果もとりやすくなりました。業務内容が高度化してきましたので、もっと指標の高度化が必要なのかもしれません。

PS. 次回は業績評価について考えていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?