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大宮見取図#12 時代に、街に合わせて変化。誰もが気軽に立ち寄れるお寺「東光寺」へようこそ!

●東光寺 
  松本 誠諦(まつもと じょうたい)さん

 今回は、創建からなんと880年以上となるお寺「東光寺」にやってきました。
 
大宮駅東口からは徒歩約8分という、アクセス良好の駅前寺院。
 
普段はお寺に馴染みがないという人も多いと思いますが、開放された空間、仏像、仏教美術の数々、愛嬌たっぷりの住職と、一度訪れるだけで今までのお寺のイメージがきっと覆ります!


地域の皆さんと共生していけるような存在へ。

お話を聞いたのは、東光寺の住職、松本誠諦(じょうたい)さん。
 
1998年に住職となってから、この街でのお寺の存在意義を抜本的に考え直し、さまざまな改革を進めてきたそうです。
 
松本さん「お寺って、結界のこととか写真撮影禁止とか、いろんな規制があるじゃないですか。それによってお寺に対するハードルが高くなっている気がして、
自分の考えるお寺のあり方と違うと思ったんです。一方、お寺は大切な人のことを思う場所。また祈りの場所。そこに格式は残したい。伝統と革新。守るべきものは守る。変えるべきは変える。お寺も時代に合わせて変わっていくべきだと感じていました」
 
 
そこで松本さんが実現したのは、開放的なお寺です。日中であればいつでも誰でも入ることができます。本堂や仏像は自由にお参りすることが出来て、さらにお茶とお菓子は「お接待」していただけます。
 
松本さん「私たちそれぞれは、時には故人を想い涙する。時には日常を離れて自己を見つめる。生きる人々の『祈りの姿』、そこに尊厳を見る。
開放に際しては周囲からの反対意見もありましたが、『このお寺があったから私は立ち直れた』とのお気持ちを受けて、お寺は安心の場所として門戸を開き、この街と共生していきたい」
 
 
毎週土曜には、誰でも無料で参加できる坐禅会があるとのこと。
「気軽に立ち寄るにはちょっとまだ勇気が……」なんて人は、まずは坐禅体験から東光寺を知るのもありかもしれません!

この日は100名近くの坐禅体験者。海外からの大学生達も参加。

母の涙で、僧侶という道を決意。

若い頃は音楽が大好きで、仏門に入ることは一切考えてなかったとのこと。
そこにはどんな心境の変化があったのでしょうか。
 
松本さん「ロックやジャズが大好きでね。学生時代は渋谷でモダンジャズのレコードを聴かせるお店を任されていたときもあるくらいの音楽好きです。今朝もお寺で矢沢永吉を流していました(笑)」
 
お寺に変革をもたらすほどの行動力は、案外、音楽のロックな精神から来ているのかもしれませんね(笑)。
 
もともとは富山県出身で、父が住職の松本さん。
松本さん「私は次男だから自由にしていたんですが、あるとき突然兄が僧侶にならないと言い出して。それを聞いたお袋が毎日よく泣いているのを見て……
『かあちゃん、俺やるよ!』とうとう言っちゃったんです。
後になって気が付いた事なんですが、かあちゃんはテレビドラマを見てもよく泣く人でした(笑)」

大宮には「手を合わせる精神」が根付いていた。

 まったく別の地で生まれ育った松本さんの目に、大宮という街はどのように映ったのでしょうか。
 
松本さん「学生時代は都内。修業時代は横浜鶴見。修行中は管長(東光寺先代住職)に随行して全国さまざまなお寺を見て感じてきました。住職として大宮に移り住みしばらくすると、少しずつこの地の人のことがわかってきた。
大宮の人々には神仏によせる尊崇(そんすう)の念が強く根付いていると感じました。東光寺に新たに山門(正門)が出来ると多くの人が出入りする時、そこで合掌する方々が多くなりました。古くから氷川神社が鎮座する地域だなぁと思いました」
 
 
また大宮に来たばかりの頃、松本さんが「氷川神社」と言うと、お檀家さんからよく「おひかわさま」と教えられたそう。
大宮の人々と氷川神社との精神的なつながりがうかがい知れますね。

東光寺山門

ここは、気軽に立ち寄れるお寺。

最後に、大宮を訪れる人へのメッセージをお聞きしました。
 
松本さん「見たいところはどこでも見ていいし、お茶を飲んだりトイレに行ったり、お寺をご利用いただきたいですね。説明が必要であれば喜んでご案内しますよ。話が長くなるけどね(笑)」
 
 
終始、屈託のない笑顔でお話しされていた松本さん。
ここまでおもてなしたっぷりのお寺が、かつてあったでしょうか。
 
大宮に来る際は、ぜひ東光寺にも足を運んでみてください。
新しい大宮の魅力がまたひとつ、見つかるはずです!


東光寺  住職 松本 誠諦 (まつもと じょうたい)  さいたま市大宮区宮町3-6

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