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じゅん奥様ストーリー【4】

4:
 ホテルは近いので、二人で歩いていく。若い女性と連れ立っているこの状況が、今はむずがゆくてたまらない。
「今日はお休みなんですね。お会いできて嬉しいです」
「こちらこそ。最近涼しくなって、出かけやすくなって助かるよ」
「本当ですよね! いつまで暑いのかな、って心配しちゃって。お仕事も大変じゃないですか?」
「そうなんだよ。建築関係で、現場にも行かなきゃならないんで……」
 まるでちょっとした知り合いみたいに。それこそ、誰かの奥さんに用があって話してるみたいに会話は進む。
 そうか、これは密会なんだ。
 途端、世間話でほぐれた体がカッと熱くなった。
「どうしました?」
「いや、なんでもないよ」
 こちらを伺う眼差しにドキッとする。厚みのある柔らかそうな唇に目が行き、こっそりと息を呑んだ。
 待ち受ける情事の気配に、早くも股間は熱くなっていた。

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