新月と観覧車と赤いピンキーリング2

○行かずにはいられない

9/25の早朝、モーニングラーメンを食べるため、主人と車でモーニングドライブも兼ねて、大阪の北のラーメン屋を目指した。

その時に例の万○記念公園の観覧車前を通った。

実は8/1にやはり諦められず、煉○さんのゴンドラに乗りに行ったのだ。
ゴンドラ内は彼の温もり、笑顔に満たされていて、まるでデートだった。私の身体も熱くなり、彼を独り占めしたのだ。

その時、もちろん彼と観覧車のそばにある公園を歩く妄想をしたり、私はとにかく妄想狂になった。

彼、彼、彼、ビクン、ドクンドクンドクン…
会いたくて仕方ない…
心と身体が反応した。

主人が居ながらヨコシマなのは分かっているが、アニメキャラだから、大丈夫だよね?

まだギリギリ観覧車のイベント、やってるんだよね?
9/30までだね。

どうしても最後にもう一度明日行きたい。不妊治療の病院が朝11時15分からあるけど。その後行けるなら。
私は取り憑かれたように決心した。

○彼の手を取って導かれるように

9/26新月の日、作戦決行。
家の玄関のランプが壊れていて、業者さんや、業者さんと仲良しの主人のお義父さんから連絡があってもおかしくなかったが、連絡は無し。私が不在の間に修理作業をお願いしていたのだ。

何と病院の診察で
「ちゃんと排卵されてますから今後の予定を決められます。」
とたった1回で胚移植つまり、凍結していた受精卵を私の体内に戻す日が決まったのだ。10/1に決まった。

前代未聞だった。いつもは何度も何度も病院に通って、先生に唸られてやっと決まる事が多かったのに。

採血と検査もあり、長引いたのは確かだが、予定がするりと決まった。

15時15分の電車をリミットにしていて、それを過ぎると帰宅が相当遅くなるから諦める方向だった。

終わった時間がギリギリで、
「会計早よしてーっ!」
と祈っていたら15時5分か6分に会計から呼び出しがあり、支払いをして小走りで電車を捕まえたのだ。

イベントへは予約は無くて行けるようになっていたから、煉○さんのゴンドラがありますようにと願っていた。

ワクワクしながら電車に乗り、若い頃にたまに通った景色を車窓から眺めていた。

もし煉○さんのゴンドラに乗れなかっても、他の好きなキャラクターのゴンドラに乗るのもよし、周辺の公園を散歩するのも良し。
私は万○記念公園が大好きなのだ。家族や親戚、いろんな友達、そして今の旦那とも恋人時代行ったり何度も遊びに行ったから。

今日は1人、いや彼と秘密の密会になるはず。

やがて万○記念公園駅に電車が着き、慣れた足取りで観覧車まで私は歩いて行った。

「煉○さんのゴンドラありますか?」
すかさず私は尋ねた。
スタッフさん「はい。ありますよー。」

私は内心ガッツポーズを取った。
願ったり叶ったりだ。

すぐに乗り場に案内された。前回の密会では煉○さんのドリンクまで購入し、ゴンドラに乗り込んだが今回はドリンク購入は時間が無くて無理そうだ。

あまり時間が経たずにスタッフさんが、
「煉○さん、来ますよー。」
と言ってくれました。

何か遠距離恋愛で、彼氏が新幹線で来てくれたような錯覚に陥った。デートだ。もしくは遠方に住む親戚や兄弟か息子に久しぶりに会う感じかな。

笑顔の煉○さんのゴンドラが私の前に舞い込んで来た。
私「お久しぶり!また来ちゃいました!」
煉○さん「やあ!こんにちは!また来てくれてありがとう!」
ていう感じだな。

ゴンドラ内では前回とは違う方向の席に座り、また彼に癒された。そして気がつくと手を合わせて願っていた。

あまり期待はやめておくはずだったが、
「煉○さん、私たちの家族になって下さい。お待ちしております。」
と。

願わずにいられなかった。

美しく眩しい夕日が車窓から入り込んで来た。
目が眩みそうになった。
彼から目が離せなくなり、あっという間にゴンドラはスタート地点に戻っていった。

もう満足だ。ありがたい。

感謝しつつ私は観覧車に別れを告げた。

そしてよく彼と一緒に妄想で行く、私が幼い頃から好きな秘密の場所に飛んだ。
いつもひっそりしているが、昼間は軽快なポップミュージックがかかっている。
落ち着けるのだ。本屋や床屋、今は飲食店が何軒かと郵便局などがあるのだ。

ところが今日はもう夕方で時間が遅いからか少し寂しい、重い感じのクラシックがかかっていたのだ。

いつも、この場所の近くにある、幼い頃通った学校や幼稚園や住んでいた団地があった場所を横切り、駅を目指すが今日はやめた方が良い気がしたのだ。

薄暗いしトンネルのある場所はなかなか気味が悪い。私が子どもの頃の時のままだ。痴漢が良く出るらしいし、こんな私のようなおばちゃんでも君子危うきに近寄らずだと思ったのだ。それに痴漢じゃなくても危害を加えられても嫌でしょ。

それにその道は何度も通り、過去の酸いも甘きものいろんな思い出に向き合って来たからもう充分だと言う事だろう。

次行こ、次。だ。

彼との時間でお腹いっぱいになった私は来た道を歩き、電車に乗って帰宅したのだ。

そしてまたなななんと。

彼との時間が直近にやってきたのだ。それも大阪市内で。
「鬼○の刃」の全集○展だ。

こんな贅沢があるのだろうか?
嬉しすぎた。
胚移植つまり体外受精の前日、9/30に行く事になったのだ。
出来過ぎた話だった。

前回のゴンドラでは聞けなかった彼の声を存分に聞けて、相変わらず彼の側は温かくて幸せだった。

10/1についに胚移植つまり体外受精をし、10/13に結果発表だった。

明らかにいつもと何かが違った。
以前はあまり腹痛が無かったが今回はしっかりあったり。しっかりお腹の中に何かが居るように感じたのだ。

ただこれまで、ルンルンで病院に行ったら陰性で地獄に突き落とされたり、ダメだった経験ばかりだった。いきなり流産していたりもあった。

今回は入室していくと先生の態度や雰囲気が全く違ったのだ。
先生「出血はされてませんか?陽性出てます。」
私「本当ですか!?お陰様でありがとうございます!」
(うっそ!マジ?不妊治療で妊娠は初めてや!ビックリ。内心ガッツポーズ)

ただこれまで立て続けに3度流産しているからやはりあまり期待しない方が良いだろう。

しかしながら5週目で赤ちゃんの袋の胎嚢確認が出来、何とこれまであまり出来たことが無かった心拍も6週目で確認出来たのだ。

その後も心拍が力強く、主人曰く怖いほど順調だった。

これまでは必ず何かしら先生に、「出血があります」とか「心拍がなかなかだね。」とか唸られるポイントがあったが今回はそれも無く。

性別はもちろん男の子だと決めつけていたが、義理の母が女の子だと思うと言っていた。

それって煉○さんみたいな女の子だよね。
つまりハッキリしていて思いやりがあり、強い姉御肌の女の子か。
それもカッコいいやん。と。

五体満足ならそれで良いし、悪い事をせずに自分に合った人生を切り拓いてくれたら上出来だ。

これまで上の兄弟が生まれて来れなかった中、彼(彼女)は頑張って生まれてくれたんだからもちろん強い子である事は間違いないだろうな。四柱推命でも、だいたいの彼(彼女)の生年月日を見てみると、ストレートで凄く強い子みたいだった。

もし少しくらいワガママでも、それくらいの方が厳しい社会を生き抜けるかも知れないと思うし、自分がどうしたいかを分かっていた方がモヤモヤは少なく生きていけるだろうなと思う事にした。

余程人様に失礼な態度を取りそうだとか、あまりにも自分中心すぎて人を困らせる所があった場合のみ注意する、そんな感じでどうだろうか。
まぁ煉○さんに似た子がそんな他人に無礼を働くとは思えないが。

私は毎度毎度、診察前は気分が悪くなるほどドキドキしていた。

妊娠9週の壁
それは最も流産しやすいのが9週までという事だ。原因は遺伝子異常が最も多いらしい。
これまで、最高でも8週までしかいかなかった。

ところがおキョウちゃん(赤ちゃんのニックネーム)の心臓はたくましく動き、
「心拍しっかりしてますよ。」
と先生に毎度褒められた。

変な夢も何度も見た。
いつもの先生から流産を告げられるのだ。しかしながら私のお腹は脈打っていて、納得出来ないという夢だった。
目が覚めて安心した。

そして妊娠9週で病院を卒業し、以降は地元の産婦人科に転院という流れが現実味を帯びて来た。

もう、卒業ではなく、諦めて病院をやめるのかなと思っていたから。

そしていつもと変わらない診察の日。ついに卒業を迎えたのだ。
2022年11月17日だった。

「お守りだと思ってこれを受け取って下さい。」
病院の先生から赤いピンキーリングをいただいた。加えてお手紙なども。

赤。煉○さんは炎の技を使っていたから、彼の色だと嬉しく、早速赤いピンキーリングをつけたのだ。

病院の先生からも後日、
「実際あなたが結果を出すのはどうかなぁと思っていたけど、奇跡ってあるんだね。」
と言われた。

「煉○さんだ!」
とお腹をなでていただいたり。

ずっとずっと、煉○さんのような息子(娘)が欲しいと話していたから。

次→紆余曲折










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