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うちのババアは食事の神

尊敬してる人は?って聞かれたら、絶対に両津勘吉と婆ちゃんって答えてる。
両津勘吉は、私に無いものを全て持っているからってだけ。
婆ちゃんとは母方の祖母で、生まれてから一度も同居したことない人。独り身。少し前まで曽祖父(婆から見たら実父)と暮らしていた。
婆ちゃんを尊敬してる理由はって聞かれたら、ひとこと「凄いから」って言ってる。
何が凄いって、やっぱ一人で生きる術を知っていてかっこいいってのが表向きの尊敬ポイント。なんでも一人でこなせるのは凄いと思う。人に頼るのも大事だけど、人に頼れない状況で一人で出来る術を知っているのは強みだと思う。

ただ、実はそれが一番尊敬してるポイントじゃない。知ってるのはごく一部の身内だけだけど、私の中で婆ちゃんをめちゃくちゃ尊敬するきっかけになった出来事があった。それが本当の一番。

私が小学5年の頃、クラスでハブられたり、性格の悪い担任に給食中に嫌がらせをされたりしていた。嫌がらせとは、元々体格的にキツくて毎日は出来なかった給食の完食を馬鹿にされながら、皆の前で無理やり口に入れられること。地獄だった。周りはみんな面白半分。その頃は友達と呼べる人が居なかったから終わったって思ってた。
そして家に帰っても、独裁父方祖父による独裁夜ご飯が小さい頃からの悪伝統。機嫌の悪い祖父の前で食事中に喋ると怒られる、それか永遠に私の母親に罵声を浴びせる。機嫌がいいと今度はそれをうまく維持させる為に全力を尽くしてた。
そんな生活してたら、当たり前のように壊れた。家だけなら何とか耐えれてたけど学校までだと流石に無理だった。摂食障害とかでは無かったけど、ご飯がまともに食べられなくなった。そうすると担任も祖父もどんどんヒートアップして、私が食べられない事を沢山指摘してきた。
そんな時にいつも少しの安心を求めて行っていた母方の実家で、ご飯中に泣いてしまった。祖母は困惑してたけど、だいたい察してくれた。一言、「残しても良いから好きに食べな」って言って、ただ私の好きな料理淡々と作ってくれた。そこに居た曽祖父もニコニコしながら黙って一緒に居てくれた。
あの時の祖母のご飯はいちばん美味しかった。ずっとまともに食べてなかったし、何より誰も怒らなくてニヤニヤ笑ってこない環境が久しぶり過ぎて、やっと味がしたって感じだった。
その日からは祖母の家に行っても、自分から「お腹空いたー」って言ってご飯作って貰ったり、どんどんワイワイ話ながら食べれたりするようになった。
学校でも担任に「自分で食べれるから」って言ってちゃんと食べた。その後は普通に食べれるようになったし、新しい友達も出来たし、だいぶ平和に小学生活を送れた。担任は卒業まで嫌がらせしてきたけど、友達が追っ払ってくれた。友達にも感謝ね。
これが婆ちゃんを尊敬してる一番の理由。

婆ちゃんは、調理師免許を持ってる元給食のおばちゃんだった。おばちゃん魂があったのかもね。ただ単に孫の為だったのかもね、知らんけど。どっちでも嬉しいから聞かなかった。

しかも婆ちゃんは私の好き嫌いの矯正もしてくれた。小さい頃から離乳食で野菜を食べていたから野菜で食べれない物は無かったし、嫌いな食べ物は嫌いな理由を一緒に考えて食べやすいように料理してくれた。美味しかったから全部食べたよね。今じゃあの時嫌いだった食べ物も普通に食べれる。

やっぱ婆ちゃんは尊敬する最強のババアです。
敬意を持って太ってるから「ぶよぶよ」って呼んでる。トリッキーでイカれてる面白いババアです。でも中身はめちゃくちゃ凄い人です。本当に大好きです。

婆ちゃんは食事の神だと思うね。私に食事の楽しさを教えてくれた。今じゃ私も婆ちゃんみたいにデブになったわ。笑

ちなみに写真は、兎年の婆ちゃんに去年の年始にあげたポン菓子です。人参より肉食ってる方が似合うブヨウサギだけどね。失礼。

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