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袋屋社長が社長就任からの3年を振り返って感じたこと

2024年の6月25日をもってシコー株式会社の社長就任から3年が経過しました。振り返るとあっという間の3年間。上場企業の社長だと平均任期が3年くらいだと思うので、その感覚でいうともう終わってしまうわけです、はい。
改めて家業は長い時間軸で勝負ができるのだなと思いつつ、取り組みの棚卸をきちんとしないとあっという間に時間が過ぎていくと思い今回の記事を書くことにしました。(これから家業を継ぐアトツギの方。自分が社長になったら何をするか?をできるだけ具体的に準備しておくことをお勧めします!)

3年の間に何をしたか?

とりあえずざっと書き連ねてみると以下の通りです。あまりモノゴトをきちんと整理するタイプではないので自分自身の思考の整理にもなりますね、noteの執筆は。

  • プロジェクトチームでMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定

  • ゆるキャラ選手権をへて公式ゆるきキャラ「シコラ」の爆誕

  • デジタル社内報(シコータイムズ)の開始と若手メンバー主体の運用

  • 新卒採用のやり方を刷新(入社1,2年目を主体としたが採用活動)

  • 福島新工場の竣工

  • 福島新工場のドローン撮影と映像コンテストにおいてグランプリ獲得

  • X(旧twitter)でバズってTV出演と大手百貨店の催事出展

  • ドイツの袋屋さんと技術提携

  • 業界初の米袋の自動梱包機の導入

  • 大手同業他社様との大型紙袋における業務提携

  • 「再生産のための製品値上げ」を実施

①自分の考えを伝える仕組みをつくる

新卒でシコーに入社したのは2004年。そこからアメリカに留学していた3年を除いて17年ほど家業で働いています。ただ、シコーグループでいうと国内で8拠点あり、従業員さんは300名ほどになります。はじめから「自分の人となりをしっかり知っている人はほとんどいない」と確信していました。これは若かりし日に、地方の工場の暑気払いにおいて一発芸で割りばしをオシリでへしおった際に気付きました。(私のことをあまり知らない社員さんの微妙な表情は今でも脳裏にやきついています)。ゆえに、自分の人となりを踏まえた考えを伝える仕組みづくりに注力しました。
社内でプロジェクトチームをつくってMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をつくって共通の目標・価値観を言語化しました。そして、それを伝えるためのツールとしてデジタル社内報を採用しシコータイムズと命名、そのあとゆるキャラ「シコラ」をつくって、「耳の痛い話をうまく伝えてくれる存在」として活用することを考えたりしていました。。
このあたりは過去記事で書いておりますのでよろしければご一読ください。

②偶然からはじまった広報活動

社長に就任してから半年少し経過したタイミングでワルフザケでX(旧twitter)に投稿した写真がバズってTV出演、大手百貨店さんの催事へ出展、Forbesジャパンさん(web版)に掲載頂けるという幸運に恵まれました。
これらのイベントを通じて社内外で楽しんで下さる方がいらっしゃり、企業イメージのアップや社員さんの採用や定着につながる手応えを感じました。
それを踏まえて社長就任前から決まっていた福島の新工場の竣工も内部をマイクロドローンで撮影して公開しました。

それぞれの取り組みをする前に「本当でこれをやって会社として大丈夫だろうか?」と悩みましたが、オモロイことが好きな自分の性にもあっていたようでやりたいことを色々とやってきました。経営はなかなか悩むことも多く、心の柔らかいところをガリガリと削られることも時々ありますが、眉間にシワをよせるのではなく社長の自分が笑顔でいることが大切だと信じています。

このあたりも過去記事の方で書いているのでこの程度にしておきます。

③シコーらしい業界初のオモロイ技術の追求

自分の考え方を伝える仕組みや、自分達のオモロイ取り組みを広報活動を通じて発信してきましたが、本業のところでもシコーらしい取り組みをしたいという思いをずっと持っていました。
「技術のシコー」と呼ばれるようになりたいという強い想いがあり、それを実現するため、機械メーカーさんと一緒に開発した業界初の「米袋の自動梱包機」の開発・導入をしたので見学希望をされるお客様はもちろん、同業他社様にも見学をしてもらっています。今年の米麦袋のシーズンからフル稼働しており、弊社山口工場の人手不足解消に寄与しました。

そしてもう1つが、ドイツの袋屋さんとの技術提携です。これは契約までのプロセスでなかなか苦労しましたが今となっては楽しい思い出です(いつか一連の流れを備忘録としてnoteの記事にしようと思います)。その内容は今年の秋の展示会(東京パック、粉体工業展)でお披露目すべく現在、鋭意準備中です。

④やっぱり地に足をつけて利益の確保も大切

色々とオモロイことをやっていても、やはりしっかり利益がでていないと会社は存続することができないのが事実です。幸い私には父の代から役員をしてくれている優秀な番頭さんがいるので、彼らと現実的な収益改善について議論を重ねてきました。
その結果、特定の紙袋における大手同業他社さんとの業務提携(資本ではない)であったり、再生産するための値上げの実施に至りました。
特に原料があがったとき以外の値上げ活動はシコーの歴史上で初めてなので、かなり不安がありました。ただ、営業の役員陣が事前に「なぜ、このタイミングで値上げが我々にとって必要なのか?」をかなり丁寧に営業部隊にレクチャーをしてくれたおかげで営業は迷うことなく、真摯にお客様に説明をして成果をあげてくれました。

3年間を振りかえって

コロナ禍における社長としての船出から現在に至るまでの景色を振り返ると当初描いていたモノとは随分違うように感じています。ただ、とりあえず一番よかったと感じていることは一番はじめにMVVを作成したことだなと感じます。仲間に会社の目指す方向性を認識してもらうために一緒に作ったものですが、何より自分に一番の恩恵がありました。なぜなら、MVVは作成以降、社長の私が経営という長い船旅で迷わないための羅針盤であり、心のお守りとして機能しているからです。(仲間も意識してくれています)
「成果をだすぞ!」と肩に力をいれまくって始まった経営者生活ですが、自分がやりたいことをサポートしてくれ、そして暴走しかけたときには釘をさしてくれる役員陣にも随分助けてもらいました。そして、やはり当事者意識をもって取り組むことができるのは父が相談役という役職についてから一切の社内会議への参加をやめ、自分に全てを任せてくれたことが大きいです。事業承継はアトツギにスポットライトが当たりがちです。ただ、自分のケースを振り返ると先代こそが成否を握るキーマンでした。
周囲の仲間と幸運のお陰でしょうか。経営者にありがちな「眠れぬ夜を数える」みたいなことは未だ体験しておらず、毎晩グッスリ寝ている私の真価が問われるのはまだこれからのようです。地に足をつけつつ、やはり仲間とオモロイ取り組みをして日本の袋屋業界を素晴らしいものにしていきたいものです。次の3年後にまた棚卸をしてみたいと思います。

おあとがよろしいようで。

行動指針であるバリュー(何かを語るときはこれに関連させるようにしています)




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