見出し画像

アントハード 一話【創作大賞2024 漫画原作部門】

あらすじ

大学生の結縁大和はバイト帰りに人がゲームのバグのようになっているのを見つける。そこからその人を追うとパン屋の海馬佳乃だと分かり接触を持つ。海馬佳乃はシェアハウスをしており、結縁大和はバグが何なのか知るためそこに通うことになる。訓練と称し、もう一度バグを見れたが海馬佳乃は記憶を辿る能力を持っていた。シェアハウスの住人の次々と不思議な力を目の当たりにする。
結縁大和はシェアハウスの住人と共に人々を脅かす敵と戦い、人類を救えるのか。
日本の新しいヒーローがここに誕生する。


一話

子供(2歳)が公園でアリをつつく。アリの巣穴に砂を入れる。最後はアリを踏み潰す
子供の母親「さっくん帰るよ〜」
ぐちゃぐちゃのアリ。子供は母親の元へと走っていった

ビルの一室。パソコンゲームの画面。バグが見つかる
結縁大和「またみ〜っけ」
坂谷悠人「またみつけたのかよ」
結縁大和「お先失礼しまーす」
阿嘉大也は流行りのお菓子グミを食べながらゲームしている
阿嘉大也「あいつはもうここの社員でいいだろ」
坂谷悠人「バグ見つけるのだけはうまいんだから」

夕方の街中
頭にヘッドフォン、炭酸缶ジュース飲みながら帰宅道中
結縁大和『バイトももう慣れちゃって飽きてきたな〜。なんかおもしろいことねえかなぁ』
路地裏の暗がりの中、海馬佳乃の姿がバグの姿で薄ら見える。海馬佳乃が道端のマリーゴールドを触ろうとするが、こちらを見ていた結縁大和と目が合う
海馬佳乃「…やば」
バグの海馬佳乃が消える。マリーゴールドはそのままだった。何が起こったのか分からない結縁大和。缶ジュース一口飲んで
結縁大和「え?」
当たりを見渡しても誰もバグを見ていない。
結縁大和『なにあれなにあれなにあれ。俺今バイトしてた?違う、もう帰っててジュース飲んでて…』
坂谷悠人に電話する大和
坂谷悠人「なに?忘れ物でもした?」
結縁大和「バグってゲーム以外でも起こる?」
坂谷悠人「は?なに?寝ぼけてんの?切るぞ」
結縁大和「違う違う。今俺歩いてたら目の前で女がバグってて…」
坂谷悠人「なに?ラリってる女が居たって?そーいうやつには関わるなよ。変なものでも飲まされたらどーすんだよ。あ、社員来るから切るぞ」

電車に乗る結縁大和。スマホで『現実 バグ』『人 バグ』検索する
結縁大和『そりゃ出てこねえよな。聞いた事ないぞ。今はミソスの曲も全然頭に入ってこねえ。まじでなにあれ。バイトしすぎて俺の目がバグってんのか?』
結縁大和家に着く
結縁大和「はぁ、ただいま〜」
姉 結縁真琴「バイト?疲れてんね?」
ソファに倒れ込む結縁大和
結縁大和「バイトしすぎで目がバグったかもしんねえ」
結縁真琴「目は大事にしなよ〜視力は戻らないんだから」
結縁大和「はぁ〜〜」
結縁真琴「お母さん、あのパン屋のクリームパン買ってくれた?」
母 結縁英子「自分で買ってこいって言ったでしょ?ないわよ」
結縁真琴「えー!買ってくれると思って今日寄らなかったのに!明日の朝はクリームパン食べて金曜日乗り切るって決めてるんだから!もうこんな時間じゃ売り切れてるし…。大和、明日朝ランニングついでに買ってきて」
結縁大和「は?俺朝ランニングもしねえし、パン屋も行かねえし」
結縁真琴「あそこのパン屋のお姉さんいっつも笑顔で接客してくれて最高なのよね〜大和が好きなほわわんって感じの。ランニング帰りだったら好感度上がるんじゃなーい?」
結縁大和「お礼はアイス3個な」
結縁真琴「1個よ」
結縁大和「ケチ」小声で
結縁真琴「明日には私がお礼を言って貰えると思うけど」

次の日の朝ランニング中の結縁大和
結縁大和『走ってると気になることも気にならなくなるな、ここか』
パン屋『シークレイン(Sea Crane)』に入る結縁大和
林千鶴「いらっしゃいませ〜!」笑顔で
結縁大和「っうす」照れ顔
結縁大和『うちのお姉様は俺の好みわかってる〜!なにあの笑顔!朝からこんな笑顔できる人いねえよな』
結縁大和クリームパン2個とクロワッサン2個とメロンパン2個を取ってレジへ
林千鶴「2個ずつ計6点で1360円です」
結縁大和財布を見ながら「あ、はい。えっと1…3…60円」
パン屋厨房から
海馬佳乃「塩パン焼きたてでーす」
林千鶴「塩パン焼きたていかがでしょうか〜?」
結縁大和と海馬佳乃の目が合う。
結縁大和「え?」
海馬佳乃焦って隠れる
結縁大和「昨日のバグってる人ですよね?」
林千鶴「バグってる?」
海馬佳乃「なんの事だかちょっと…」
海馬佳乃が小声で林千鶴に
海馬佳乃「ストーカーかもしんない」
林千鶴「え?」
林千鶴「1360円です。ありがとうございましたー!」
結縁大和「え、え、ちょ、ま、」
無理やり店の外に出される結縁大和。他の客にジロジロ見られるので仕方なく帰る

家に着いて起きてきた姉に
結縁大和「お姉さま〜!何とお礼を申し上げていいか!」
結縁大和「あ?買ってきてくれたんだ。でしょ?可愛かったでしょ?」
結縁大和「お姉さまこれからも一生ついて行きます」姉の手を握る
結縁真琴「コーヒーも入れて♡」
結縁大和「はい!承知しましたー!」
結縁大和コーヒーを入れて自室へ行く
スマホでパン屋を調べる
結縁大和『こんな奇跡ある?やばいやばい。絶対あいつだ。まさかパン屋なんて思わないよな。あんな近いとこに居たなんて。昨日が店の定休日か。…よし』

それから毎日パン屋に通うようになる結縁大和。しかし店ではストーカー扱いで話は出来ず。

バグか起きた路地裏
結縁大和『店の定休日だからってまたここでバグって現れるなんてそんなことやっぱないよな』
パン屋の前
結縁大和『パン屋に来たとこで定休日だもんな。店にいるはずねぇって…』
店の中を除くと人影が映る。海馬佳乃が私服でパンを包んでいた
結縁大和『やば!いたいた!』
海馬佳乃がパンを持って店から出てくる。結縁大和は咄嗟に隠れる。海馬佳乃が電車に乗って大きい門の家に入っていった。それを結縁大和は後をつける
結縁大和『なんだ、ここ。金持ちすぎねえか?こんな金持ちがあのパン屋で働いてるってどういう事情が…』
門の前まで歩いて来たおばあちゃん叶ハルヨ
叶ハルヨ「佳乃ちゃんのお友達?どうぞ、入って入って」
結縁大和「え、あ、あざーっす」
大きい門を潜ると広い庭を歩いた先に大きい家があった
結縁大和『セキュリティすげえ付いてるのにこのおばあちゃんのせいで俺入れちゃってるけどいいのかな…』
玄関に入り海馬佳乃がおばあちゃんに軽く抱きつく
海馬佳乃「ハルちゃん!パン持ってきた…よ」
結縁大和「お邪魔します…」
叶ハルヨ「佳乃ちゃんのお友達家の前に居たから」
海馬佳乃「本物のストーカーじゃん」
結縁大和「そうなっちゃいますよね。あの、あのこと教えてほしくて」
海馬佳乃「ストーカーさんのお帰りでーす」
犬太郎「ワン!ワン!ワン!グルルル」
犬に噛まれて引っ張られる結縁大和
結縁大和「痛っ!あの!俺あれから気になって夜しか眠れなくてっ」
海馬佳乃「ぐっすりじゃん」
結縁大和「あれが何か分かるまでよしのさんのことストーカーしちゃいそうです!」
奥から出てきたイカつい鰐口勇
鰐口勇「海馬のストーカー?」
結縁大和『なに?佳乃さんの彼氏?いかつっっ!やばいやつと住んでんじゃん!』
鰐口勇「追い出してあげようか?」
結縁大和「ひえぇぇ」
家の中の放送から
黒星雫「みんな集合〜集合〜おやつタイムだよ〜。お客様もね」
海馬佳乃、鰐口勇「!」
結縁大和「俺も?」

家のダイニングにて
扉を開けると先に1人が椅子に座っている。剣重恵介は除菌シートで自分の席の机拭いている
結縁大和『佳乃ちゃんの兄弟かな?』
海馬佳乃「ハルちゃんはパン食べる?あんぱん持ってきたんだよ」
叶ハルヨ「じゃあ頂こうかね。お茶入れるね」
鰐口勇「手伝います」
ダイニングに結縁大和と剣重恵介の2人になった
結縁大和「あの、さっきの放送って…」
剣重恵介「すぐ帰った方がいい。あいつに捕まるぞ」
結縁大和「あいつって」
電動車椅子に乗った黒星雫がダイニング来る
黒星雫「今日のおやつはね〜、かりんとう饅頭取り寄せんたんだ〜♪ここの食べてみたかったんだよね〜」
結縁大和「…お邪魔してます」
黒星雫「君が…。かりんとう饅頭好き?」笑顔で
結縁大和「え、あ、はい。好きです」
黒星雫「食べよ〜食べよ〜!ハルヨさ〜ん、お客様の分のお茶もお願いね」

6人と犬太郎がダイニングに来て席に着く
黒星雫「さあ頂こう。ハルヨさんの入れるお茶はいつも最高だな」
結縁大和以外食べ始める
結縁大和「あの!皆さんはどういったご関係で?」
黒星雫「家族だよ」
剣重恵介「ちがっ…」
黒星恵介「血の繋がりはないけどね。僕は家族だと思っているよ」笑顔で言う
結縁大和「はぁ…」『複雑な感じなのかな』
海馬佳乃「シェアハウスみたいな感じよ!ほら、よくあるでしょ」
結縁大和「あ〜よくありますよね最近」『なんか変に空気読んじゃった』
鰐口勇「お前は何で海馬をつけていたんだ?」
結縁大和「これには理由があって!先週の木曜日に佳乃さんを路地裏で見たんです!バグっている佳乃さんを!!」
全員黙り込む
結縁大和「あの、ほんとなんです!俺ゲームのバグ見つけるバイトしてるんですけど、そのバグが現実になってて、あの写真とかは撮れてないんですけど。一瞬だったんで…」
剣重恵介「見られたのか?」
結縁大和「え?」
海馬佳乃「やっぱ見えてたんだ。バッチリ目合ったな〜とは思ってたんだけど」
叶ハルヨ「佳乃ちゃん裸見られたの?」
海馬佳乃「や、違うよ。ハルちゃん!」
鰐口勇「まだ完全じゃないか」
海馬佳乃「あれ難しいんだよね〜頭痛くなるし」
結縁大和「本当にバグってたんだ…!え!やば!見間違いじゃなかった。あれどうやって出来るんすか?何ですか?完全になったらどうなるんですか?」
海馬佳乃「…」
剣重恵介「こいつ早く消せよ」
犬太郎「ワン!」
海馬佳乃「またあれするの嫌なんだけど」
鰐口勇「仕方ないな」
犬太郎「ワン!」
剣重恵介「呑気におやつ食う前に済ましとけよ」
海馬佳乃「いや、だってもしかして見えてないかな?と思ってさ」
結縁大和『殺される』血の気が引いて動けない
結縁大和『逃げないと。ここは殺し屋のシェアハウスだったのか?やばいやばいやばい。恐怖で足がすくむ』
黒星雫「君、名前なんて言うの?」
結縁大和『殺す前に名前聞いてくるやつだ。俺の家族もバレる。やばい。母さん、姉ちゃんごめん、俺とんでもないとこ来ちゃった』泣き顔
結縁大和「すず…」 鰐口勇「本名で答えろ」
結縁大和『やべー。嘘つくとこだった。嘘ついたら酷い殺され方するやつだ』
結縁大和「…結縁大和です」小声
海馬佳乃「ゆう?なに?」
結縁大和「結ぶ縁に大きいに和むと書いて結縁大和ですっ」涙と鼻水出しながら
黒星雫「結縁大和か…。いい名前だね」笑顔で
黒星雫「よし、決めた。君の記憶は保留だ!海馬の補助役ってことで」
剣重恵介「こんなやつすぐ消せって」
海馬佳乃「補助役?!何の役に立つのよ!私のストーカーよ?」
結縁大和「記憶?俺殺されない…?」べそ書きながら
鰐口勇「ここは殺し屋じゃないぞ」
海馬佳乃「ぷぷぷ」
犬太郎「ぷぷぷ」笑いを堪える
結縁大和「よかった〜」泣きながら
鰐口勇「ストーカーなら捕まえるが」
結縁大和「もうストーカーしません」
鰐口勇「よし」
叶ハルヨ「お部屋準備しなきゃね」
海馬佳乃「いやいやいや、どこの馬の骨とも分からないやつと一緒に住まないって」
剣重恵介「帰れ」
鰐口勇「真ん中の部屋空いてますね。ちょっと片付けないと」
結縁大和「いや、俺も住む気は…」
黒星雫「気が向いたらまたおいで。住むのも自由だから。朝昼晩の3食と3時のおやつはあるから食べに来てもいいよ。いいよね?ハルヨさん」
叶ハルヨ「いつも多めに準備してますので」
結縁大和「え、あ、じゃあ授業とバイトがない時お邪魔しちゃおうかな〜」少し照れ
海馬佳乃 剣重恵介「まじかよ〜」呆れ顔
鰐口勇「ジムもあるぞ」
結縁大和「まじっすか」

結縁大和『そんなこんなで土産のかりんとう饅頭とあんぱんを持った俺はこのシェアハウスにまた来ることを約束にこの家を後にした』
結縁大和「て、あれ?あのバグって何だったんだ?いっかまた来るし♪」



#創作大賞2024
#漫画原作部門
#少年マンガ
#ヒーロー漫画
#SF漫画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?