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【いくニャ!】動物セリフの語尾について考える

 昨日。パートナーとの会話でこんなことを言われました。

 「あなたは、動物のセリフを喋るとき、『~ニャ』とか、『~でチュ』ってよく言うよね。頭悪そうに聞こえるね」

 いやはや、辛辣ですね。(最後の一言は捏造かもしれませんが記憶が曖昧なので言ったことにしておきます)

 しかし確かに、言われてみるとそうだな、と。動物の思考を想像して喋るとき、所謂「役割語」として、ワンとかニャとかつける癖があるみたいです。理由を考えてみましたが、可能性の一つとして、私はWEBの書き物を読んできた経験が多いため、その当たりに原因の一端があるような気がします。

 『小説家になろう』に投稿されているような作品は、小説としての体裁をある程度整えられています。しかし、某巨大掲示板にあげられる『SS』とか『ブーン系小説』には「地の文がない(少ない)」という特徴があります。地の文を書くというのは技術が必要ですし、下手に書くと冗長になってしまいがちなため、会話劇で物語を進めていくことが多いのです。(無論、例外も多くありますが)

(↓『ぼくはモナー』より)

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 上記でも早速、「~だお」とか「~モナ」とか使われていますね。地の文が少ない会話劇の場合、キャラクターごとの色をつけるのが難しい面があるように思います。それを補うために、そういった役割語を付与しているのではないだろうか、というのが私の考えです。
 これらの作品を読みまくった結果として、先述の『癖』が出来上がっているのだと推測したのでした。

 話を動物キャラの語尾の話に切り替えます。これについて少し調べようと思ったところ、先行研究がありました。(以降、論文引用のルールを正しく守っていませんが、ご容赦ください)

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 奇特な人もいたものですね。褒め言葉です。

 著者・秋月によれば、動物キャラ語尾というのは4つに分類できると言います。「鳴き声オノマトペ型」「挙動オノマトペ型」「種名型」「名前型」の4つです。

1.鳴き声オノマトペ型

 私が冒頭より使用している、「~ニャ」みたいなのがコレですね。各動物の鳴き声を言語化したものが語尾に付与されているケースです。牛なら「~だモー」、カエルなら「~ケロ」。確かに言いますね。

2.挙動オノマトペ型

 これは鳴き声オノマトペ型の場合と同様に、その動物の挙動を言語化したものが語尾に付与されているパターン。主にうさぎの「~だピョン」で使用されます。でも、それ以外の使用例があまり思い浮かびません。著者・秋月も

しかし、挙動オノマトペは、鳴き声オノマトペに比べて固有性が低く、鳴き声オノマトペほどには、特有の<動物>キャラクタを繰り出す効果は期待できない。

と述べています。ほぼ、うさぎのためだけのパターンと言えるかもしれませんね。

3.種名型

 動物種の名前の一部を利用するケース。熊なら「~クマ」、たぬきなら「~たぬ」と言った具合。これもたしかによく言います。なんなら、先述のウサギも「~ぴょん」より「~ウサ」なんて言ってるほうが多いんじゃないかと個人的には思います。
 人口に膾炙するような、鳴き声オノマトペが存在しない場合に、このパターンが使用されているのではないかと思います。
 また、そのような鳴き声オノマトペが存在するケースでも、それが語尾として使用するにふさわしくない場合は、こちらが採用されているように思います。(例えば、象の場合。「パオーン」という鳴き声は十分に周知されていると思いますが、語尾として採用されるのは「~だゾウ」という種名型が多いと感じます。)

4.名前型

 これは、完全に「キャラクター」としての語尾のパターンです。くまモンが「~だモン」と言ってみたり、ふなっしーが「~ナッシー!」と言ってみたり。ポケモン(アニメ)もこの傾向が強いですかね。ピカチュウなんてまんま「ピッピカチュウ!」だし、フシギダネの「ダネフシャ!」とかヒトカゲの「カゲ~」とか(こんなんでしたよね?)。
 その他のパターンと比べて、独自性を強くもたせられることから、著者・秋月はこのパターンがキャラクター戦略として有用であることを示唆しています。

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 閑話休題。私が本来話したかったことはなんだったのか。それは「あの動物の語尾はなに?」というのを掘り下げていくことでした。でも、こうして調べてみると、ほとんどの場合「鳴き声オノマトペ型」か「種名型」に収束してしまうな、という結論に至ってしまったわけです。

 カンガルーの語尾はなんなのか、を考えたときに「ぶん殴ってやるガル!」だよ、なんて考えていましたが明らかに単純な「種名型」だったのです。

 解像度を高めすぎた結果、毛穴まで見えてしまうようになりゲンナリする、みたいな感覚が私を襲っています。

 いやはや、今日も無駄な時間を過ごしてしまった。まあでもこんなのも楽しいものです。

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