もこもこ

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呪詛

昨日はありがとうございました。 貴重なお時間いただき恐縮です。 あの時間のなかで2人から謝罪 でももらえるとばかり思っていたので 終始、筋トレの話を含め 叱咤激励をいただき驚きました。 「サパーはいい経験だった」趣旨、川島さんから昨日聞きましたが、そんなにいい経験だったなら、なぜ自分の子供をサパーで働かせていないのだろうと思いながら話を聞いていました。 僕の元気がないように見えたのは、訝しげな目で川島さんのことを眺めていたからだと思います。 歌舞伎町の区役所通りでオレオ

    • アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて22

      無人島にいるような気持ちなの。 私は文京区にちゃんといる。それはそう。 でもね、無人島にいるようなひとりぼっち の感覚なの。それがずっと続いているの。 いつからなのかわからない。でもずっとなの。 マイコはそう言うと壁に吊るされたタキシードを眺めた。 「一回着てみてよ。」 私はマイコに洗面室を借りタキシードを羽織った、シャツもタイも汚れ一つなかった。 「ねえ、すごく似合ってる。ノークッションなのね。スラックスも細身であなたによく似合ってる。」リビングに戻るとマイコは細い目で私

      • アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて21

        中堅監査法人のとどみね監査法人に対し、CPAAOBは行政処分などの措置を講ずるよう、金融庁に勧告を出した。 とどみね監査法人は監査法人業界14位で、6月期の売上高は11億3188万円。被監査会社数は合計107社を数え、とんれんやラブラ、バーラインなどの監査も担っている。 とどみね監査法人。 兄が最後に交際していた女の勤めていた監査法人だった。マイコはfacebookやラインなど、どう言うわけだか、兄が死ぬ前最後に交際していた女と繋がっていて定期的に近況を側からみていた。ニュ

        • 息子

          スーパーで買い物をしていると、息子がどこかに消えた。鮮魚売り場に息子の後ろ姿にそっくりな子供がいたので「おい!一体どこに行っていたんだ」と言って頭を撫でた。 振り向いた子供は私の息子ではなかった。 「ではいきましょうか。」 私の息子ではない見知らぬ子供は私の手を掴むと、スーパーの外へと私を連れて行った。 「私は凸凹のないツルツルとしたきゅうりを好んで食べます。世間の人間は凸凹のあるきゅうりを選り分けてカゴに入れますが、私からするとあれは愚行なんです。あなたもそうは思いませ

          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて20

          助けて。と言えたらどんなに良いだろう。 助けて。私は何から助けられたいのだろう。 助けて。誰が私を助けてくれるのだろう。 ヤンジェ・市民の森公園のベンチにポツリと腰掛けるキム・ジホに声をかける者は誰1人いなかった。         キム・ハナ『フォルテで涙を』 翌朝10時ごろに起きて歯を磨いているとインターホンが鳴った。 通信事業の営業だった。 私はインターホン越しに「うせろ。」と言ってモニターを消してから丁寧に口の中を濯いだ。口の中を濯ぐと気分が良くなりお茶でも入れてあげ

          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて20

          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて19

          ヨチヨチと歩く可愛らしい鳥。まるでタキシードを着ているようでおぼつかない足取りなのに格調高い。チャーミングな生き物。 月曜から金曜日まで馬車馬の如く働いた。 と言いたいところだが、正直に言って馬車馬の如く働いたような達成感というものは無く 私はデスクに陣取り淡々と「チョウセイ」準備をしたりわけもわからずドカドカと書類作成をした。 斜め前のデスクにいる巻という女が柄にもなくバタバタとしている。国交省の採用パンフレットに載っていた女だった。この女にややこしい話を持ち出されたくな

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          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて18

          湊谷由紀子『佐田とアナボコ』の細かい描写について思い返しているうちにマイコの自宅マンションが姿を現した。 「うーん!!入って入って!」 ベージュのワンピースを着たマイコはいつもよりカジュアルな見た目で化粧も薄く見えた。柔らかい雰囲気に私の心が解けていく。 私はお土産に買ったコーヒーとウイスキーのリキュールをマイコに渡し、スリッパを履いた。 「どうぞ、どうぞー。」 案内され私はソファに腰掛けた。 マイコも隣に座った。 「これ、すごく気になる。どうやって飲むの? ストレート

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          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて17

          有楽町線に揺られながら私は豆大福について頭を働かせる。 和菓子屋の前に並んでいると香る餡の優しい匂い。口に入れたときの赤えんどう豆の粒感。餅の甘味。豆大福を頬張っているマイコの様子を想像する。口の周りに粉をつけるマイコは少女のようにみえる。唾液にとけた小豆がマイコの白い歯を少しグレーにする。私はその歯を舌先でなぞりたくなる。股間が少し硬くなるのがわかる。私は持ってきた文庫本に視線を移す。 「佐田の視線を捉えて離さないのはそのアナボコだった。気がつくとアナボコは台所の収納棚す

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          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて16

          〇〇くん 〇〇くんの連絡に対して1週間も返事をせずにいたことごめんなさい。 旅行の日取りについて連絡してくれたのに遅くなりました。 自分の気持ちに嘘をついたまま、あなたと旅行にいくのは難しいのかもしれないと思いました。だから連絡できずにいました。 しばらく前から私たちの関係を見直す必要があるのではないかと考えていたのです。 北海道にあなたが転勤して以降、再会するたびに聞くあなたの[独り言]はおそらくあなた自身の心の叫びではないかと思うんだ。 仕事が合っていないのか、風土があ

          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて16

          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて15

          マイコの兄が風呂からあがると恋人がテレビを見ていた。 テレビの中では10人ほどの少年少女が大縄跳びをしていた。1人の少年が些かぎこちない動作のままクルクルと回る縄の中に体当たりしていき縄に引っかかってしまった。周りの子供達が「ドンマイドンマイ!」と声をかけるのだが何度も何度もその少年が縄に引っかかってしまい段々「ドンマイ!ドンマイ!」の声は小さくなっていった。 「クラスに1人はこういう子がいたよね。タイミングをうまく掴めなくて、全て訳のわからないタイミングで突っ込んでしまう子

          アイガーマイコの臭く凄まじいキレイキレイについて15

          バービー藁人形、芋虫

          永らくバービー人形の恋人ケンに憧れていた。 屈託のない笑顔。白い歯を輝かせる感じのいいアイツ。アイツを目指すことによって俺はより良い自分を手に入れる。 日焼けサロン。胸筋を重点的に鍛えるトレーニングメニュー。3ヶ月に一度のホワイトニング。 ワイシャツを全てクリーニングに出す。 感じのいいアイツがやりそうなことをやる。 ケンはパイナップルジュースを飲んでそうだ。俺もパイナップルジュースを飲む。ケンは蕁麻疹の出ない心身ともに健康的な男だ。 蕁麻疹を止めるための薬をエビアン250

          バービー藁人形、芋虫

          ジュース

          アプリコットのジュースが飲みたい ほかのことはわからんなにも

          取り返し

          取り返しのつかない後悔にがんじがらめになっている。側から見ると明らかにおかしいレベルで後悔してるらしい。仮に自分が第三者で今の僕が隣にいたら「いい加減にしろよ」と言うと思うけど 僕は僕にいい加減にしろよさっさと切り替えろと言うことができないでいる。後悔しても何も始まらないからさっさと切り替えないといけない。わかっているのに頭の中で毎日毎日後悔している。違う世界線にいたはずの自分。違う世界線の君。ずーっと考えている。周りに迷惑ばかりかけている。周りの人間が些か、いやかなり自分に

          虎屋(メタファー)の子供

          虎屋の子供? 「そう。虎屋の子供。」 「なんでこんなとこにいるのよ?」 グラスについた口紅を手でゴシゴシしながら 私はそんなことを言ってしまう。 「ねえ、なんでこんなところにいるの?」 「うーん、なんて言うかな。俺は子供なんだけね、なんていうか。子供やらせてもらえんかったの。」 ほんの少しグラスを脇にずらす。 「虎屋の大人にもならない?」 「うーん、普通虎屋の子供は虎屋の大人になる。 でもね、俺は虎屋の子供のはずなのに子供になれなかった。だから虎屋の大人にもなれん。」 「じ

          虎屋(メタファー)の子供

          インタビュー

          電話が入る。 太く低い声が聞こえる。 「今まで誰にも言わなかったが俺は31の時に取引をしたんだよ。得体の知れないなにかと取引をしたわけだ。おかげであるレベルまで物事を組み立てることができた。組み立てた対価として色々な物を手に入れた。」 僕はその取引について踏み込んで聞くことにした。 「大手町に将門の首塚っていう場所があるだろう。ある種の野心を持っている人間は皆あそこに行く。将門に祈るわけだ。俺はそんなもん信じていなかったし第一野心なんてものもなかった。当然そんなところには

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          どのルート

          どのルートを進めば幸せになれただろう。 最善の選択だと考え選んだルートは地獄行き。 かといってあのルートを選んでなかったらどうなっただろう。2.3年は幸せに過ごせたかもしれんない。ただどうにも長くは続かなかっただろう。そんな気がする。 どのルートに進んだとしても大変なことになっただろう。地獄に行くなら早い方が良かったのかもしれない。これで良かったのかもしれない。多分あのまま籍をいれていたら家事の負担や家計の管理で揉めただろう。自分で自分の首を絞めて自滅して火種を起こし揉めただ