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NCT DREAM の現在地(NCT DREAM SHOW2レポ) 後編

こちらの記事はドリショ京セラ公演レポの続きです。前回は"Quiet down"までの彼らのパフォーマンスについてを記しましたので、ご覧になってない方は以下からどうぞ!



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彼らの葛藤を描いたトンネルを抜けた。

"光"が辺りを覆う。
柔らかな色のスポットライトに、色とりどりのファンライト。そして照らされる彼らははやはり、圧倒的に「アイドル」だった。

そして、私たちはNCT DREAMの「現在」に突入する。

4-1. トンネルを抜けた「現在」ブロック=今ここに、私の夢に彼らがやってきた

16 Better Than Gold
17 Life Is Still Going On

内なる葛藤を乗り越えた今、
彼らは改めて堂々と、私たちの前に現れた。

「ようやく会えた」
ずっと会ってたけど、なんとなくそう思った。

このブロックは"JOINT"という感じはなく(補足:前回の記事をご覧になっている方には説明が重複しますが、今回の公演は、「過去・現在・未来」の3つのブロック以外に、それらの間を移動するような動的なブロック、すなわちJOINTブロックがあるんじゃないかなと考えています。詳しくは前回の記事をご覧ください)、今まさにここが「現在」という感じが強いブロックだ。

また、これまでと違うところは
「彼らがとうとう、"ここ"にきてくれた!」
という強い直感があった。

これまで私はずっと彼らと一緒に時間のレールに沿って、"過去"から"現在"に移動してきたのだけれど、それらはずっと「彼らの夢の中」だったという感覚があった。まさに今回の副題である"IN A DREAM"だ。

"In A DREAM" というタイトル

しかし、このブロックからは彼らが「今ここにいる」という実感がすごくあった。つまり、彼らがとうとう「私の夢の中」にやってきたのだ。

毎度比較に出して申し訳ないが、イリチルは曲ごとに、鮮明な”シーン”が存在し、私自身に何かしらの"役"があり、そして常にどこかに"連れてってくれる"ような感覚が私にはある。対してドリムは、アイドルの彼らが、ありのままの私に会いに来てくれるんだ‥!という驚きを感じた。

私は何かにならなくていいし、
彼らは、彼らのまま。
私も、私のまま。

(イリチルがありのままの私に会いにきてくれないという話ではなく、イリチルとドリムは私にとってノンフィクションとフィクションぐらい構造が違うので、当然享受する印象も違うという話です。悪しからず)
 

「現在」ブロック1曲目の"Better than gold"は「今」に対するポジティブな気持ちに満ち溢れている曲だ。(そもそも韓国題名が지금【チグン。今】である)

"最高の日がやってきたんだ、目の前に。本当だよ!"
"とにかく、今踊ろうよ"
"この瞬間が過ぎたらもう戻れない"

さっきまで己の内面での葛藤を露(あら)わにしていた彼らが、今は清々しいまでに純然たるアイドルとして歌い、きらきらと踊っている。彼らがこんなふうに「今」を楽しんでいてすごく嬉しい。

眩しくて、嬉しくて、
でも一方で、彼らの"覚悟"が透けて見える。
だからこそ、余計に彼らが輝いて見える。

彼らの「今」を改めて知る。

対して、"Life Is Still Going On"は対照的だ。
この曲についてはプラスで当時の”Bonus Chapter”も深掘りしたい。

過去・現在・未来、と占いをするヘチャン
🦊僕の人生どうなんだろう  🐻これから始めるよ

🐯でも正直未来もいいけど、今すぐ何をするか決めようよ
 🐹 僕は何でもいい、何でもいいんだもん

Better than goldの「今」に対する高揚した気持ちとはまるで対照的だ。
未来へ向かう「今」の彼らの言葉はどこか不安げで、でも希望は持っていそうで、いやいや実は何でも良かったりもする。

"特に何かしなくても、人生は続いていくんだよ"
"これが大人になっていくってことみたい、生きるってそういうことみたい"

Life is Still going on 歌詞より 

この素に近いように見える彼らの、諦観的とさえ思えるこの世界観。優しくて幻想的なメロディーとアレンジは心地良いのに、違う視点で彼らが「今」を見つめることがわかる曲だ。

なお、”Better than gold” と“Life Is Still Going On”の2曲の流れは、さきのquiet downの虚像と実像たちが、それぞれが未来に進んだ姿にも思えた。(虚像はBetter than goldにポジティブに昇華され、実像はLife is still going onによりフラットな感性で変化したように思えた)

そう、私たちの人生は続いていく

そして、「私の夢」にやってきた彼らは
そのままトロッコに乗ってさらに近くにやってきたのだった。

4-2 「現在」から未来へのチューニング

18 Diggity
19 Ridin
20 Fire Alarm
21 BOOM

「現在」を対照的に描いたこの2曲が終わると、しばらく客席を一層ヒートアップさせるような曲が続く。そして最後に、彼らは未来へいく準備を始める。その本質は”BOOM”の中にあると私は思っている。

난 너의 꿈이자 꿈에 닿는 통로가 돼
僕は君の夢であり 夢に届く通路になる

너의 꿈을  손에 쥐여줄 수 있어 Oh
君の夢を 掴ませてあげることができる

"Boom" 歌詞より

今見ても、すごい歌詞。

僕は「君の夢」であり、
僕は「君の夢に届く通路」であり、
僕は「君の夢を掴ませることができる」

という。

なんたる変容か。
これにはいろいろな解釈ができると思うけど、私は、「僕」は次第に「夢」だけではなくなってきているんじゃないかと思う。

夢(概念)だった僕が、
夢に届く通路(モノ、媒介するもの)になり、
そして、夢を掴ませてあげる何某か(主人格?)になる。

NCT DREAMが夢そのものだけではなくなってきていると考えることは
誰かにとっては悲観的にも見えるかもしれないけど、私はそれこそ、「NCT DREAMの現在」だと思うし、その姿はむしろ逞しく感じた。

彼らはもう、概念じゃない。

過去から”前に”、現在から”前に”進む。

前へ、上へ、踏み出す。そして、未来へ。

VCR " 手を繋ぐドリム達 "  が流れる

過去、現在、と長い時間を経てきた中で、
積み重ねてきた時間。織り成してきた時間。
変わっていってしまったもの。決して変わらなかったもの。

これはNCT DREAMしか表現できない。
とてつもない財産だと思う。

目の前の景色はネオグリーンの光の波が眼の前を駆け抜け、そして全員で合唱する。

기다렸어 어서 와
「待ってたよ 早くおいで」
어디든 we're coming together
「どこだって 僕たちは一緒だよ」
아무 걱정 하지 마
「何も心配しないで」

5 . NCT DREAMが対峙する、「未来」への姿勢

そうして、未来の扉は開いた。

22 Hello Future
23 Best Friend Ever
24 Trigger the Fever
25 Hot Sauce

彼らは手を繋いで私たちの前に現れた。
逆光で現れた彼らを見ていると、彼らの後ろにある「過去」も「現在」も、そのあらゆる日々はやはり"光"に包まれていたんだろうなと思う。

尚、今回のドリショ2は「現在」が主題ではあるものの、彼らが「未来」に対してどんな視座をこの時点で示すのかとても興味があったので、この最終ブロックはとても楽しみにしていたし、まさに"Hello Future"はその始まりにふさわしい曲だった。

ちなみに、結論から言うと、そのNCT DREAMの「未来」へのビジョンや具体的なコンテンツなど、いわゆる"解"に該当するものは今回は無かったように思う。何故なら、今回のショーは「現在」が主題だから。あくまで「現在」に内包される彼らの感情や葛藤、そして希望が詰まってい多様に思う。

しかし、日本公演だけは違っていたかも‥、と実は思っている。
いや、本来、無かったはずだったんです。

でも、日本公演だけにあった曲、

"Best Friend Ever"

日本デビュー向けの曲ではあるから、いわゆるドリショ2における全体の文脈からは外れているのだけど(ここには本来We go upが入るはずだったし、全体構成を考えるとここにはWe go upの方が最適なのはすごく分かる)、自分としては"解"に近しい感覚があったので記しておきたい。

彼らだけが持っている"時間"という表現軸
未来への希望も、未来への諦めも、その他色々背負った上で、それでも変わらなかったもの。

大画面に歌詞が躍動する。

"大事なもの"はそばにあるさ

Best Friend Ever より

言葉にするといかにも平凡な表現なのだけど、これは「過去」や「現在」や「未来」を行き来できる彼らの、絶対に変わらない価値あるものなのだと気づいた。

いかなることが起きても、未来が変わっても、
現在に悲観しようとも、大事なものはすぐそばにある。(隣人の愛、ふとそんな言葉も頭をよぎった)

そしてそのまま舞台はクライマックスへと向かっていく。

"Trigger the fever"

彼らはこの曲をパフォーマンスしている時がすごく好きだと言っていたけど、それが直に伝わる時間だった。やはりこのブロックは未来の"解"はないのだけれど、彼らの「未来」に対する姿勢、気持ち、勢いが溢れている。

上記は京セラ公演が終わってからの自分の呟きなのだが、それを特に確信したのでここに記したい。この曲は、彼らの"祈り"にも近い曲なのだ。

会場はこれ以上ないほど一体感を持つ。彼らの歓喜に満ちた表情と私たちの歓声が大きな塊となって京セラドームの丸い天井を何度もバウンドする。

そして、本編最後にこの曲がかかった。

"Hot sauce"

この曲をラストに持ってきたの、実に面白いと思った。

Hello Futureがアイドルという"虚像"(という言い方がもはや正しいか分からないけれど、統一してこう記します)として示すポジティブな「未来」への始まりを示す曲なら、これはあらゆる感情を抱えた"実像”としての彼らが「未来」をどう解釈しているかを伺える曲だと思う。

それはマークの毎回"超えてくる”パフォーマンスを見て、感じていた。

個人的に明らかに切り口が違うと思うんじゃないかなと思っている。
まだしっかりと言語化できていないけれど、この曲は明るい曲ではあるのだけれど、どこか"現実"みを私はすごく感じる。
Hot sauceという象徴的なモチーフ然り、とにかく"夢"だけではないのだ。

ただ、むしろそういった、ざらざらとした不均等な質感(これはQuiet Downで感じた質感だ)をこうはっきりと"温度"を持って、そして「未来」を指し示すのがすごく面白いと思ったし、同時に彼らの「未来」がどうなるのか逆に想像できなくて、これからが楽しみになった。

そうして本編は終了する。

このあとはBEAT BOXで彼らがより一層、"音"というマテリアルとなって表現し、そのあとはファンサービスのブロックになるので今回のパートでは割愛する。


最後に
今回、「彼らの夢」「私の夢」と当時に書いたメモをそのままレポに記したら、アンコンのタイトルは  - in your dream -  だった。
個人的に、in a dreamは間違いなく"quiet down"がハイライトだと思っているけど、in your dreamはなんなんだろう。
とても楽しみ。

IN YOUR DREAMとは。


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