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NCT DREAM の現在地(NCT DREAM SHOW2レポ) 前編

こんにちは。おめぐと言います。NCTが好きです。
今日はDREAM SHOW アンコン最終日なので、
ずっと止めていた公演レポをようやく書き切りました(超遅筆)。
素人が自分のために書いたメモなので、見づらいところもあるかもしれないけど、あの日感じたことをここに記していきます。なお、これはNCT考察とかではなく、私があの日私が見た眼前と心象風景の総括です。

日付は2/17金曜日、京セラドーム初日。
開演前から記していきます。


*****


開演前。この始まる直前の空気が私は好きです。
まあるい京セラドームの天井。
会場にはTeddy bear(おやすみ)が響く。

"さあ、目を閉じて 深い夢の中で会おう"
"さぁ、目を開けて また会おうね"

잘 자 (Teddy Bear) 

ここから彼らのメッセージははじまっていた、と今は思う。
あたたかい毛布のような、夜の街に光る一軒一軒の灯りのような優しい歌声。"彼らの夢の世界"の幕が今開いた。

まずは7人の映像が流れ自身の"夢"の魅力に話す。そして「僕たちの夢を見せてあげるよ」と言い、デビュー曲から今に至るまでのタイトル曲のモチーフが散りばめられたVCRが流れ(director;Jinooya Makes)、そしてついにステージ背景に"Dream Lab"のようなアニメーションが現れた。


あ、彼らが今、この場所にチューニングしてるんだ。
そんな予感がした。



そして、



眩しすぎるスポットライトに
幾重にも照らされながら彼らは登場した。

Opening

アイドルといってもその意味がどんどん広義になっているこの時代に、彼らは圧倒的に、そして非常に真っ当に「アイドル」として私の前に現れた。

私はパフォーマンスや衣装とかを見てしまうオタクなんだけど、そんなディテールを超えて、彼らは「アイドル」として正々堂々と登場してくれたことが私は何故かとても嬉しかった。そして、この「アイドル」としての光の強さこそ、中盤の演出への伏線だったと思う。(あとこの最初の衣装はDream Labメンバーとして、ここにやってくるための宇宙服のようなものだったのだと思う)

1 . Glitch Mode Japanese ver.
2 . Countdown
3.  STRONGER

Glitch mode -Japanese Ver.-

イントロダクション3曲で会場の盛り上がりは既に最高潮。
この後始まる"物語"をエモーショナルに展開するためか、割りかしソリッドな質感で会場の空気感を作っていたのが印象的だった。それにより、ライブ本編の始まりとなる"Dreaming"や"Deja Vu"の柔らかさがより際立ったと思う。個人的にはヘチャンは特に”剛”な表現を意識されているように見え、対してロンジュンの”柔”な質感との対比が美しかった。


本編の「物語」はここから始まる。

今回の舞台は、「過去・現在・未来」という3ブロック分けはもちろん、それらを繋ぐ"JOINT"部分がポイントだったと思う。"JOINT"とは時間のレールに乗って、彼らと一緒に「過去」や「未来」に行くようなそんな一緒に時間軸を移動しているような感覚のブロックだとここでは定義したい。(ちなみに私はこの移動手段が"列車"なんじゃないかな?と思っているけど、彼らの曲によく出てくる"トラック"でも面白いと思うし、中盤のVCRに出てくる"車"で想像しても良いと思う。)
とにかく時間の動きを感じるブロックというのが私にはとても新鮮で、心の車窓から見える時間の光がとても刹那的で美しかった。

We go upで登場した車

なお、さらにもう一つ解釈をつけ加えるなら、このJOINTブロックは、夢の中にだけ存在する「現在」の時間軸と考えてられると思う。なぜならこの動的な時間は間違いなく、私と彼らだけのオリジナルな時間で、既存の時間感覚にとらわれないからだ。
ちなみに、この「現在」という時間軸、本編の最終ブロックで出てくる"Hot sauce"や"Hello Future"でもキーワードの一つになっているので、改めて今回のTHE DREAM SHOW 2 はドリム達の「現在」のショーなのだと感じた

NCT DREAMがこんな風に見る視点や時間軸をポンポンと変えられるのは、感覚的な言い方なんだけど、彼らが「透過性が高い」という特性があるからだと思っている。

逆にイリチルは透過性が低い。とにかく鮮やかな「色」が私は思い浮かぶ。油性絵の具をパレットに乗せて、キャンバスに自由に重ねていき、新しい色になったり、混ざりきらずにマーブル模様になったり、それらがぷっくりと膨らむさまに似ている。そしてそれに触れるとその曲だけの"温度"が感じられて、これが私が考えるイリチルの世界観。
この中に没入し、溶けていく気持ちよさ。
圧倒的な虚構の世界。これがイリチル。

一方、ドリムは色ではなく、”作用”のようなものを感じる。
風のような、光のような、ひんやりとした土のような、頬をかすめる枯葉のような。いわゆる五感、に通ずる「作用」のようなもの。

そこで彼らは「色」にはならず、あくまで曲の主題の「額縁」であろうとするように感じる。彼らはこんなにも夢のような存在なのに、圧倒的なフィクションとしてその存在感を示すというよりは、現実の世界とレイヤリングしたり、曲の主題を見ている"私自身の主題"に変換したりする。

そして、
私は、私のままなのだ。
溶けたりしない。
私であり続ける。

この感覚がドリムの面白さだと私は思っている。

本題に戻る。


1.  JOINT 1  過去へ向かうDREAM達

4. Dreaming
5. Deja Vu

"君と僕の夢を結ぶ 何か"
"次元を超えて 僕らはつながる"

"Dreaming" より

まさに彼らの夢の世界へ本格的に誘(いざな)われる2曲。
重複するが、このJOINT時は彼らと一緒に私達は「時間の中を移動している動的なブロック」だと考えている。

私は彼らの過去の夢の世界へ飛んでいく。
特に"Dreaming"の2番マークのラップで彼がバッと手を広げて、天に向かって空間と一体になっていた時がその合図だなと強く感じた。
より深く、私は時間の奥へ進もうと思った。

 VCR    チソンの初恋 

そしてたどり着いた、過去ブロック。

2. 過去の自分達と共演する「過去」ブロック

4. My First And Last
5. Bye My First
6. Love Again
7. To My First
(白衣装にチェンジ)
8. Sorry Heart

“過去の自分と一緒に共演するドリムたち” 
会場には"My First And Last" MVに現れたような覆面ダンサーが現れる。
このレイヤリングこそ、まさにNCT DREAMの強みだ。

透明な存在感である彼らだからこそ、彼らは過去の自分達とも共演できる。ドキュメンタリー性を保ちつつ、物語としても成り立つ、儚くて美しい時間。"Sorry Heart"の白色の衣装になってからは、より彼らの心象風景が映し出されていた。(衣装の"色"で表現する、コンセプトや世界観の演出についてはまた別で話したい)

3. JOINT 2-① 過去を眺めるDREAM(動的展開の転換点)

9. Puzzle Piece

先ほどまでは過去の時間の中で、過去の自分達と一緒にいた彼らだけど、"Puzzle piece"ではその大切な時間を眺めるような、今の等身大の彼らに視点が変わる。思い出のアルバムを眺めるような、そんな柔らかな空気を感じる。

さあ、旅立つ時間だ。
彼らとだけ共有できる時間の列車に乗り込みながら、私は"現在"へ向かう。

ちなみに、私はこの白の衣装が一番好き。SMの数多くのステージ衣装を手掛けられているTONEさんが仕立てたもので、TONEさんのお洋服は動いて初めて、その良さが出る。ぜひ会場で、彼らが動いたときに初めて生まれる光の美しさや柔らかさ、その立体感を感じてほしい。


3. JOINT 2-② 現在に向かうDREAM(陽)

10.  Chewing Gum
11.  ANL
12.  Dive Into You
13. Irreplaceable

"Chewing Gum"はデビュー曲ということを踏まえたら過去ブロックにも配置できるのかもしれないけど、今回の曲のアレンジは"過去"解釈ではなく、私は”現在”解釈だったと思う。分かりやすく時間の捉え方の違いが可視化されていた。

そして音楽はそのまま浮遊感のあるキラーチューンが続いていく。
“夜じゅうずっと(ANL)、
  海の中だって(Dive Into You)、
  いつだって君は僕にとって主人公なんだよ(irreplaceable)”

先ほどのブロックのほろ苦い初恋ストーリーなんかよりももっと甘く、等身大の彼らは私たちに語りかける。

私は時間の列車の車窓に寄りかかり、柔らかな陽の光を浴びながら、流れていく景色を眺める。列車の中で談笑し合うドリムがいる。こんな幸せなことはないなあ。なんとも愛しい時間に溢れる。

VCR Drive


3. JOINT 2-③ 現在に向かうDREAM(陰)

14.  Saturday Drip
15.  QUIET DOWN

優しい時間はVCRを最後に、私の世界から光が消える。
どうやらトンネルに入ったようだ。視界が閉ざされる分、アイドルとしての彼らではなく、個々のざらざらとした想いが直に伝わるような、まるで真っ暗なトンネルに入ったかのような2曲が始まる。

"Saturday Drip"ではそれまでリーダーとして全体の纏まりを意識していたマークがそのタガを外し、自由に音の粒と遊び、彼自身が"音の渦"となっていた。この2曲は元音源と全然テンションが違うのでぜひ体感してほしいな。特にマークは声質も声量も彼の放つ熱量も全く別物。
そして、思う。
彼はやはり、音楽そのものだ。

(ちなみに彼は幼い頃は作家になりたかったというほど活字好きで、彼の言葉の操り方などを見ても、恐らく“言葉”からあらゆるクリエイティブを着想される方なのに、どうしてアウトプットはこんなにも”音楽”になるんだろうといつも不思議)


続く"QUIET DOWN"は、まさにこのブロックの象徴。

マークはリリース時(2020)一度NCT DREAMを卒業していて、今回のためにラップパートを追加している。彼のソロワークス(Child、Vibration)にも通じる彼の哲学を伺うことができる一節だ。

天才アイドル・マークリーとイミンヒョンという、23歳の青年の中に存在するこの二項対立。この軸が"QUIET DOWN"という曲でもその世界観を最大化させ、そして共鳴していたと思う。

それはマークだけでなくドリムメンバー全員にも言える。自身を生々しく、そして愚直に、己の本来の姿をSEXYという切り口で表現していた。尚、これは物質的なSEXYではなく、精神的なSEXY(自我の解放、またはその発露)だと私は思っている。

また、ライブVer.の"Quiet Down"もイントロからアレンジが違うので是非聞いてほしい。音源はソリッドで無機質な音のループが印象的なんだけど、ライブバージョンはその対となるような"湿度"や"憂い"を感じる。(そう、あらゆる箇所で"対"が存在している。ここもポイント)

と、ここでふと、私は登場時の圧倒的な「アイドル」の姿の彼らを思い出した。私が登場時に喜んだ「アイドル」の彼らと、目の前の彼らが交錯する。

光に照らされる、「虚像」
箱に閉じ込められた、「実像」

ちなみにジェノは一度も箱の中に入っていない

そこに生まれる、ひずみ。
葛藤。悲しみ。
彼らの表層とその内面のコントラストの、この不協なる質感。

彼らはシンメトリーなはずなのに、
実体はアシンメトリーに構成され、
二人で一つのはずが、なぜだかとても歪(いびつ)だった。

ただ、この整わない彼らの不均等さに、私は彼らのありのままの、それこそ無加工フィルターの肌のような質感を感じた。見る人によってはアイドルとしては禁忌とさえ思う演出なのかもしれないけど、私には、ただ、じりじりと心の痛みが少しずつ大きくなるのを感じた。

なりたかった未来に、
彼らは今、なることができているのかな。
改めて考える、NCT DREAMの「現在」

あらゆる葛藤を乗り越えて、
それでも、彼らの覚悟が彼らの痛みとともに
会場全体を覆い尽くしていた。

私は。私の身体は間違いなく、張り裂けそうなほど叫んでいたのだけれど、なぜだか、私の心はどんどん静かになった。
私の実像は、虚像は。
いったいどっちなんだろう。

私の中の"対"が、私に問いかける。
主題が私になる。

終盤、箱からヘチャン、チョンロ、ロンジュンが出てきた。全員が同じコレオを踊ってる。さっきまでの不均等さはない。

最後に、ヘチャンが
バレエで培った美しいターンを、
自身が閉じ込められていた箱の上で、
彼はひとり披露した。

この姿を覚悟と言わずして、
私たちはいったい何を覚悟と言うのだろうか。

そして、ようやく、
私はNCT DREAMというアイドルの
今、この場所における「現在」に立ち会うのであった。


後半に続く。


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