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名古屋市人権施策有識者「名古屋市でも人権条例を作った方がよい」

23/8/1に開催された「令和5年度第1回名古屋市人権施策の推進にかかる有識者懇談会」で、小林直三・名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授は「名古屋市でも人権条例的なものを作った方がいい」と述べました。

・23/8/1 令和5年度第1回名古屋市人権施策の推進にかかる有識者懇談会
 配付資料(資料2-2以外)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230801.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230801-1.pdf
 
傍聴は許可されましたが、写真・ビデオ撮影・録音は禁止されました。
また、資料2-2 アンケート案については「未確定な部分がある」ため、公表を控えるよう要請がありました。
(資料の持ち帰りは許可されました)

23/6/3名古屋城バリアフリー市民討論会で参加者の一部から、参加した車いすの障がい当事者に対して差別用語を含む差別発言があってからはじめての本有識者懇談会でした。

5年に1度行っている「人権についての市民意識調査」には、障害者の人権に関して、名古屋城差別発言を受けてアンケート項目を追加する提案がありました。

また、23/6/3市民討論会の概要が説明されました。
名古屋市の担当者は「車いすの障害当事者に対して、市としては直接の謝罪ができていないが、先日市長が会見し、市長は障害当事者に会って謝罪されたようだ」と述べました。

小林教授は「23/6/3市民討論会については、第三者委員会での検証を待ちたい。
一般論的には表現媒体行為での差別表現は、それ自体問題で人を傷つけるが、表現によって周りの雰囲気や社会を変えてしまう点で問題だ。
障害のある方だけでなく、部落、性的マイノリティなども根っこは共通している。
普段は表に出ていないが、ある時牙をむく瞬間がある。牙を押さえるのは人権施策として重要だ。
人権条例的なものを作った方がいい。名古屋市としてきっちり取り組んでいくという姿勢とメッセージを発信するのは意味がある」と述べました。


一般社団法人 地方自治研究機構の調査によれば、令和5年3月31日時点で19都道府県で人権全般を対象とする人権尊重に関する条例を制定していました。
市区町村では484市区町村で人権の尊重・擁護等に関する条例又は部落差別の撤廃・解消等に関する条例を制定していました。
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/114_jinken.htm

特に川崎市では、全国で初めて、外国にルーツを持つ人たちへのヘイトスピーチに刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を2019年12月に制定しました。
https://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/60-1-10-0-0-0-0-0-0-0.html

名古屋市が人権問題にどう取り組むか、真価が問われます。


なお、配付資料やアンケートを見ましたが、「人権とは何か」が明確にはなっていないような気がしました。
日本では「人権=思いやり」という意識を持つ人がいまだに多いのではないでしょうか。

国際人権の基準専門家である藤田早苗氏(英エセックス大学人権センターフェロー)の著書『武器としての国際人権』には、以下記載があります。
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721246-4
人権の実現は「思いやり」では不十分。
「生まれてきた人間すべてに対して、その人が能力を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権。人権は誰にでもある。」(国連人権高等弁務官事務所)
https://www.youtube.com/watch?v=TXJNVM-nHqo

その視点に立つと、今後の施策やアンケートの内容について、改善すべき点が多数見つかると思います。


・日本の表現の自由を伝える会
 https://hyogen-tsutaeru.jimdofree.com/

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

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