【超短編小説】美人の証明

……鏡を見ても、私の目に映るのはだらけた顔。
ぱっちり決めても、自分に自信が出ない。

スマートフォンを覗いてもSNSに流れてくるのは「可愛すぎてつらい」「ブスすぎてマジつらい」で自撮りを載せてるかわいい女の子ばっかり。
……私はー……あんまりどころか、かなり自信がない。

そんな中でも、私は自分に自信を持ちたいと思っていた。日々の生活で感じる小さな成就感やポジティブな瞬間に目を向け、少しずつ自分を認めていくことに決めた。


触発されたのは私が普段やっているソーシャルゲームのキャラクターだった。犬っぽい見た目のくせにやたらしっかりしてて周りからの人気もありそうなこの女……。
どういうわけか私は「こんな子になってみたい!」と思うようになってしまって、こうしてSNSでかわいい子を眺めているわけだ。

とある日、友人からお誘いが来た。コミケだ。
コミケは行きたかったし、自分にとっては縁のないものだと思っていたからなおさらだ。

友人の誘いに胸を躍らせ、私はコミケに参加することを決意した。これが私の一歩目だ。鏡に映るだらけた顔も、SNSの可愛い子たちとの差異も、今はどうでもよかった。この日を契機に、自分に自信を持つための冒険が始まるのだ。

コミケ当日、私は普段の自分とは違う姿に変身した。犬っぽいキャラクターのようなしっかりとした表情や、自信に満ちた態度を心がけた。手には自分で作ったコスチュームを持ち、会場に向かった。

会場では多くのオタク文化の愛好者たちが集まり、様々なコスプレイヤーが歩いていた。私もその中に混ざり、最初は緊張していたが、次第にその雰囲気に馴染んでいった。友人たちと一緒に写真を撮り、新しい友達もできた。

コミケを通して、私は自分を受け入れ、表現する楽しさを知った。そして、他のコスプレイヤーたちと触れ合う中で、見た目や外見だけでなく、内面の強さや個性が大切だと気づいた。

帰り道、友人が教えてくれた「自己肯定感を高める方法」を思い出した。日々の小さな成功やポジティブな瞬間に目を向けること。私はこれを実践し、自分に自信を持つための努力を続けることを決めた。

そして、SNSでかわいい子たちを眺めることも変わらないが、今度はただ眺めるだけでなく、自分も彼女たちと同じように輝けるようになりたいと思った。これからの日々が楽しみで仕方がない。


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