天才を諦める勇気
僕はものすごくめんどくさい性格をしている。
ひねくれ者で、自己肯定感が恐ろしく低くて、基本的に人を恨んでいる。
自覚しているからにはなるべく表に出さないように努力はしているけど、数少ない仲のいい友達と話しているとちょくちょく出てしまう。
親でも殺されたのかという勢いでイルミネーションの何が楽しいのかをグチグチ話すことがある。
些細なことでもひとつ自虐を口に出すと止まらなくなることがある。
そうやってせっかく楽しかった会話の温度を冷ましてしまう。
毎回本当に申し訳ないと思っている。
それでも友達をやめないでいてくれる人が多くて、その度にとても恵まれた環境にいることを痛感する。
僕の取り柄と言えば、文才があったりすることだろうと思う。
カップルを見ると殺意が湧いていた。
いつもこの殺意を動力源にして生きていた。
趣味の創作もこのエネルギーを消費してやっていた。
しかし、最近ろくでもない恋愛をして、恋愛すること自体めんどくさくなってしまったおかげでこの殺意エネルギーも失われてしまった。
恋愛欲がなくなったことでイチャついているカップルを見ても微笑ましく感じることしかできなくなった。
僕はただ棒立ちで景色を見ているだけの抜け殻になった。
人生におけるガソリンを失って、こんなカスみたいな文章しかかけなくなった。
それでも僕を見捨ててくれない人がいる。
天才を諦めさせてくれない人がいる。
同世代の天才たちがどんどん世に出て活躍して、気が狂いそうになっても、
それでもまだ自分は天才だと錯覚させてくれる人がいる。
人は元来他者のためになることを進んでするものだ、ということを聞いたことがある。
それが本当なら、僕が頑張るのはそういう人のために違いないと思う。
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