東北地方および開発途上国における中小事業者支援
・東北地方における中小事業者支援
2018年に中小企業診断士になるために参加した実務補習(宮城県)では、復興途上の東北地方での中小事業者の現実に直面し、解決するために何ができるかという課題を行く先々で突き付けられました。もともと、震災以前から東北沿岸部は都市部の上場企業・大組織があまり投資をしておらず、地域に根差した中小事業者の経済的自立なくしては、復興も将来の展望も成り立たない地域です。
各都道府県の企業従業者数に占める中小企業従業者数の割合は以下の通りです。
(中小企業白書2021年版より データは2016年6月時点)
・東京都 41.27%
・大阪府 66.89%
・愛知県 70.77%
・群馬県 82.61%
・宮城県 84.58%
・栃木県 85.40%
・岩手県 89.03%
・青森県 90.53%
このデータからもわかる通り、北関東以北で地域の産業・雇用のほとんどを担っているのは中小事業者です。診断士になり東北地方の事業者支援に携わる機会があるのですが、地域経済の屋台骨となってきた老舗事業者も多く、こうした事業者の強みやブランドを尊重しつつ、実態に合わせた支援をしていくことや、存続のために品質保証の仕組みを構築し、大都市圏への販路を作り出すことなど、診断士それぞれの強みを生かして出来ることはたくさんあります。大都市圏のビジネスパーソンや診断士は、一方的な投資や独りよがりな支援等で東北地方の民業を圧迫するのではなく、東北地方の中小事業者をリスペクトしながら、その強みを生かし成長できる環境・販路を作り出すことが求められます。
・開発途上国における中小事業者支援
診断士登録と同じ2018年に、日本国際ボランティアセンターの正会員となり、合わせて診断報酬の一部を継続して、スーダン、パレスチナ等における、中小事業者の創業支援や技術研修支援のために寄付してきました。その現場ではまさに東北地方と同じような構造的課題が横たわり、日本など先進国にある企業からの投資もほとんどなく、地元の中小事業者育成なくしては、経済的自立、貧困に起因する政治的不安定の状態からの脱却がなしえない状況にあります。
支援先のスーダン(人口4,687万)と、ほぼ同じ人口のスペイン(人口4,761万)における、日本企業の進出数は以下の通りです。
スーダン 2023.3現在 進出4社(東京商工リサーチ)
スペイン 2021.10現在 進出278社(JETRO)
日本国際ボランティアセンターは、支援能力に乏しい一般人を現地に派遣するスタイルや、一過性の物的支援ではなく、高い支援能力を持った専門職員や現地スタッフが、現地での技能訓練や起業支援、そしてビジネス能力の基礎となる初等教育支援を行うことで、長期的な視点で事業者を育成し、経済的な自立の支援を行っています。私達日本の市民はそれぞれの専門分野におけるプロです。私達が稼ぐこと・特技を生かすこと・寄付することに特化し、現地支援のプロが活動することで、より大きな効果が得られる支援ができるのです。
・日本国際ボランティアセンター公式HP
https://www.ngo-jvc.net/
・強みを生かした寄付の事例
(知人一家の小学生が強みである菓子作りの技術を生かした事例です)
https://www.ngo-jvc.net/activity/report/akaricafe.html
・中小事業者の生業と暮らしのために
中小事業者の実態に即した自立支援は、戦略コンサルや大企業だけではなしえません。私たち診断士は、大企業のためでなく中小事業者の生業と暮らしを守るために、中小企業支援法を根拠法として存在する士業です。そして、強い者たちの掲げる論理だけではなしえない、誰もが経済的に自立できる、展望をもって事業ができるような、持続可能な社会を作ることが診断士に求められています。
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