夜
わたしの木は、木のくせに根をはらないでひん曲がっていて、誰も近づこうとしない。
まわりの木々は根を張っているかのようにまっすぐ立って、みんなが下に集まっている。
でもいいんだ。あなたがいいんだ。
昼がすきだ。あなたが地面に放りだしている根っこに座って、あなたの木陰から、あなたの見る景色を一緒に見れるから。
夜はきらいだ。夜になると木々はどこかにいってしまうだろう。嵐がやってきて、雨が肌にあたって痛い。でも別に何もない。その様をただ見ているだけだ。
夜明けもきらいだ。嵐が去ったら、木々は帰ってくるだろう。何もなかったみたいに、帰ってくるだろう。
わたしが起きているのを知ってるか。何があったか知ってるか。そんなことは意味がない。もう木々はどこかに行って、もう帰ってはこないのだから。ただただ、その時間に目を覚ますだけだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?