見出し画像

13「スカラムッツァの足跡をたどって」第5章「いろいろな音質」その1

こんにちは。音楽で人と世界をつなぐ!ピアニストの岡田真季です。


アルゲリッチが幼少期にアルゼンチンで習っていた、名ピアノ教師 スカラムッツァの教えを、孫弟子にあたるマリー=クリスティーヌ・カルヴェ氏が書いた著作「スカラムッツァの足跡をたどって」を、ご本人の許可を得て岡田真季が日本語訳でお届けしています。

メルマガに登録すると、毎月1のつく日に最新が送られてきます。
登録はこちらから


過去の記事はマガジンにまとめてありますので、ぜひ順番に読んでみてくださいね!(本の中でも、順番がとても大事!と書かれています😊)

⚠️ 第2巻からはnoteでは有料マガジンにする予定です。メルマガではずっと無料で配信するつもりですので、まだの方はお早めにご登録をオススメします😊


今回は、1巻の最終章、第5章「いろいろな音質」の1回目です。

その前に第4章のまとめをしておきましょう。

第4章「5つの動き」

それは何? ピアノを弾くために使う、5つの動き。
なぜ? 楽譜を「テクニックの面から」読めるようになるため。
どうやって? 楽譜の中の、どこで、どの動きなのか位置付けながら。
できた! それぞれの動きを分けて考えられる!


第5章 いろいろな音質

画像1

いろいろな音質、それは何?

音、というのは、音響学で定義されているように、いくつかの音によって形成されているんだよ。つまり、まず基礎の音、そしてそれに続く倍音群だよ。

音質とは、音色・響きのことだ。

音色の概念は、それぞれ倍音があるかないか、またどんな風にその倍音が音の中に混ざっているのか、ということにつながるんだよ。

高い倍音は、音のアーティキュレーションや鋭さの決め手になるし、低い倍音はむしろ力強い音になるだろうね。


楽器の音は、僕たちが倍音に与える刺激によって、さまざまに変えることができるというわけだ。高い倍音の存在感があるほど、出てくる音は鋭い。逆に低い倍音が刺激されると、音はたっぷりと豊かになるんだね。


楽器の音色のバリエーションは、その音の倍音の高低が反映されているということだね。

ピアノという楽器は、その音域の広さのおかげで、何通りもの音色を創りだせる可能性があるんだ。


いろいろな音質、なぜ?


ピアニストというのは残念ながら、練習中に「音」に気を配る習慣がないね。大概の場合、指の練習だけで満足してしまっているよ。


テクニック」が「メカニズム」に格下げされてしまってはいけないよ。例え多少は油の挿されているメカだったとしても、だ。


テクニックは、音とタッチの科学の一面も持っているんだよ。良いテクニックというものは、良い音楽と切り離すことができないし、そのためには我々ははじめから音色を学ぶことに集中しなくちゃならないんだよ。


実際、ハンマーが打たれた瞬間に音が発せられるが、どうやってこの素晴らしい楽器を打鍵するか、ということに十分関心を寄せたことがあるかな?


ストラヴィンスキーは、ピアノは「打楽器」だと主張している。これまでにもピアノの音響科学を研究してきた学者や物理学者がたくさんいたけれど、打鍵についてちゃんと「聴く」ことができず、信用が難しかったんだ。


幸いなことに、今では新しい見解での研究の扉が開かれているし、それに大演奏家たちが持つそれぞれ独自の音色が物語っているように、彼らの直感によってピアノは完璧に打鍵の違いに応えうるということを示しているよ。


もしそうでなければ、ぜんぶが同じ音色になってしまう… なんて悲しいことなんだ!

ピアノの音は変えることができるんだ。打鍵だけに喜んでいてはいけないんだよ。どの打鍵もそれぞれ独自の音色につながっていると知らなくちゃいけないよ。

ピアノは壮大な音色のパレットを持った楽器だ。音色の可能性は数えきれないし、それは打鍵にかかっているんだよ。


僕たちはメカニックの練習だけじゃなく、楽器の響きの練習に慣れ親しまなければね。

画像2

本内容は、Marie - Christine Calvet氏の著作「Sur les traces de Scaramuzza」を、本人の許可を得て岡田真季が日本語に訳してお届けしています。無断で内容を改ざん・コピーするなどの行為はご遠慮ください。挿入イラストは「いらすとや」から拝借しました。手指のイラストはオリジナルからトレースしたものです。譜例はIMSLPから出典。

+++++++++++++++++++++

メルマガでは本編の翻訳に加えて、岡田真季の経験や、ピアニストたちから学んだこと、アルゲリッチご本人が話していたこと、読者の方々の質問や経験談などをご紹介しています😊

「スカラムッツァの足跡をたどって」を日本語でシェアしているメルマガは、いつでも無料です!ぜひ登録して下さいね😉

登録はこちらから


フォローや「スキ」、頂けると励みになります🥰

最後までお読みくださり、ありがとうございます! スキ、コメントなど頂けましたら励みになります。サポートは楽譜購入、付き人活動など、ますますの学びに使わせて頂きます。 これからも気に入って頂ける記事をお届けできるよう、がんばります!