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9「スカラムッツァの足跡をたどって」第4章「5つの動き」その2

こんにちは。音楽で人と世界をつなぐ!ピアニストの岡田真季です。

アルゲリッチが幼少期にアルゼンチンで習っていた、名ピアノ教師 スカラムッツァの教えを、孫弟子にあたるマリー=クリスティーヌ・カルヴェ氏が書いた著作「スカラムッツァの足跡をたどって」を、ご本人の許可を得て岡田真季が日本語訳でお届けしています。

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今回は、第4章「5つの動き」のうち、「指の動き」と「前腕の動き」を詳しく解説していきます。

指の動き、どうやって?


指の動きには、まだたくさんの区分があるのだけど、この章では取り上げないよ。今のところは、「指の動き」として指をどうやって動かせばいいのか知れば十分だ。



まず鍵盤に手を落とす「落下」をやってみよう(第1章参照)。そして前章でやった「バランス」を確認するぞ。手には鎧を、腕は脱力、だ。


そうしたら、指を1本上げるよう命令してみよう。手首にも腕にも、ちょっとの力みも入らないようにね。用意ができたら、指を鍵盤に打ち出すよ。


弾いた指はキレイにアーチを作っているかな?腕の重みは、手の支点(中手骨)でバランスが取れているかな?

指を使う時、身体的な努力をいかに少なくするかがとても重要だよ。指を上げて、下ろして、安定したバランスのポジションに戻る、ということだ。


指の動きのやり方はこれでOKだね。あとは他の指や音で、このプロセスが勝手にできるようになるまで繰り返して練習するんだよ。

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鍵盤に正しいポジションで手を置こう。
「鎧をつけた手」だよ。

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ゆっくりと1本、指を上げるよ。

動きに意識を向けられるように、ゆっくりだ。

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上げた指を鍵盤に下ろしていく。

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指が鍵盤の底に着地したようだね。

中手骨の支えを思い出して、そして弾いた指はつかんで「引き寄せる」だったね。
これらを何度かやってみよう。指を上げてから打ち出すスピードを速めていくよ。これで君も、いわゆる「はっきり発音する」ということができるようになった。ブラヴォー!

前腕の動き、どうやって?

前腕から弾くには、ひじから先の腕を全部持ち上げればいいんだよ。


ここで1番難しいのが、前腕全部を使って弾くイメージを持つことだろうね。前腕以外の部分は使わない、ということだ。



手には鎧をつけて、前腕の延長線上に手首を定めるよ。いま準備したすべてのブロックを、ひとまとまりとして持ち上げ動かすんだ。



弾くぞ、と決めたら、この「てこ」を鍵盤に送るよ。1音だけ落とすよ。


鍵盤に着地するとき、気をつけて!ここでよく問題が起こるんだ。手首がすぐリラックスして脱力しなければ、音は固くてヒドイものになるぞ。手はいつものように、鍵盤に倒れ込まないように支点(中手骨)で安定させるんだよ。


前腕の動きには色々な注意が必要だから、形が崩れやすいんだ。そして、ちゃんと耳で聞くことも必要だよ。音が固くならないように、対応できるようにね。



要点をもう一度まとめるよ。前腕のひとまとまりを持ち上げる。手首は定めて、指も動かさない。前腕を下げて、1音で着地する。着地のとき音を鳴らしながら、手の鎧をつけて、バランスの取れたポジションをすばやく取り戻し、音が固くならないように手首をリラックスさせる。同じように他の指でもやってみよう。

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鍵盤の上で手に鎧をつけるよ。前腕の延長線上に手首を定めてね。手のポジションも、手首のポジションも動かさずに前腕を持ち上げるよ。ひじが動きの中心軸になっていることに気づくかい?

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前腕をさらに高く持ち上げるよ。1番高くまで上げられたら、鍵盤に放ってみよう。鎧をつけた手で鍵盤に落ちないといけないよ。そして手首はすぐにリラックスだ。もう一度はじめからやってみるよ。


そう、前腕で弾けるようになったね、ブラヴォー!


本内容は、Marie - Christine Calvet氏の著作「Sur les traces de Scaramuzza」を、本人の許可を得て岡田真季が日本語に訳してお届けしています。無断で内容を改ざん・コピーするなどの行為はご遠慮ください。挿入イラストは「いらすとや」から拝借しました。


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