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15「スカラムッツァの足跡をたどって」第5章「いろいろな音質」その3

こんにちは。音楽で人と世界をつなぐ!ピアニストの岡田真季です。


アルゲリッチが幼少期にアルゼンチンで習っていた、名ピアノ教師 スカラムッツァの教えを、孫弟子にあたるマリー=クリスティーヌ・カルヴェ氏が書いた著作「スカラムッツァの足跡をたどって」を、ご本人の許可を得て岡田真季が日本語訳でお届けしています。

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今回は、1巻の最終章、第5章「いろいろな音質」の3回目最終回です。


いろいろな音質、知ってるよ!


この章の終わりで僕たちは、いろいろな音を出そうと思ったら強弱だけでは足らないってことが意識できるようになったね。

ニュアンス(強弱)は、音のダイナミクス、力強さと関係がある。すなわち、音量的に大きいか小さいか、ということだ。だけどフォルテでも和やかな音で、または鋭く輝かしく弾くこともできる。パワー以外で音質にヴァリエーションをつけることができるんだよ。

音質と音量は、ある音の異なる2つの側面なんだよ。

これからは練習している作品の性格にあった音色を探していけるだろう。音の質がどれほど音楽に影響を与えるのか、分かっただろうからね。ブラヴォー!

この先、音楽での句読法がピアノの基本的な響きと繋がっていること、そして音色こそが音楽表現の大部分を決めていることを分かってくれるだろうと思っているよ。


いろいろな音質、よくある間違い

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・今練習している曲を1曲取り上げてみよう。指がどんな風に発音しているか、注目してごらん。きみが出した音は柔らかいだろうか、それとも鋭いかな?違いをよく聴いて探してごらん

・じゃあ次はその曲を、鋭く、クリアで輝く音でだけ弾いてみよう。どうすればその響きが得られるだろう?1人で考えてみてごらん、太鼓でやった話を思い出して。

・少し手伝おうか。指を少し高いところから放るようにするんだよ。勢いがつくように、できるだけ速く、音が打たれるようにね。音は鋭くなったかな?もしYesなら、輝かしいタッチとは何か、発見できたということだ。ブラヴォー!

・もう一度、曲全体を同じやり方で弾いてみよう。曲のキャラクターが変わったのが分かるかい?前より決然としていて、よりリズムがはっきりして、ダイナミックで生き生きしているだろう。

なぜだか分かるかい?メロディを弾く指が、鋭く金属的な音色を出して、音が輝かしくなっているからだよ。



・じゃぁ同じ曲を、今度はまったく正反対のアタックで練習してみよう。

スピードにブレーキをかけられる余裕を与えられるように、指を少し高く上げてごらん。よし、いいぞ。じゃぁできるだけ音を和らげるように1音弾いてみよう。指がとてもゆっくり鍵盤に降りるようにするんだ。


出した音はどんな感じだった?


もし静かで柔らかい音だったら成功だ!刺激のある鋭さはなくなったね。

このやり方を続けると、きっとすぐに気がつくことがあるだろう。音たちがより簡単に、お互いに結びつきやすくなるということに。そして音楽も1音ずつ途切れることなく、流れていく感じになることに。この弾き方を何度も繰り返すといいよ。とても大切な弾き方なんだ。レガートの練習の第一歩なんだよ。


・「5つの動き」を覚えてるかい?もっと正確に言うと「前腕の動き」だ。

前腕を鍵盤に放った時、どんな音がするかな?柔らかい?それとも華やかな音?もちろん、華やかだよね、動きのスピードが速ければ。

だから前腕はレガートでなくバラバラに分けて弾きたい時や、クリアで華やかな音で弾きたい時にだけ使うんだよ。

・バラバラに分けて弾くけど和やかで静かな音色で弾きたい時、例えばメロディの伴奏をする左手で和音を弾くような時、その時は「腕の動き」でゆっくりと鍵盤に置くようにすれば良いんだよ。

音を選ぶということを学んでいこうね。音が鋭くなってほしい時には、指や腕の発音のスピードを上げる。柔らかくレガートで続いていく音が欲しい時にはスピードを落とすんだよ。

・これら全ての練習は、耳の練習、そして打鍵の練習でもある。どんな音が欲しいのか考えなしに弾くことは、今後ぜったいにないようにね!


たくさんの罠を避けて、最後の第5ステップを終えられたね!ここまで連れてきてくれた、我らがピアニスト ウラディミール・ジグワングワンくんは、今まで学んできたことのおかげで初めてのコンサートを友達の前で開催するようだ。ブラヴォー!

休憩…

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いろいろな音質、まとめ

それは何? オーケストラの楽器に相当する音色
なぜ? ピアノの音色を発展させて、さらに広げるため
どうやって? いくつかの打鍵の仕方を区別して弾くことで
知ってるよ! 音量の変化ではなく、音にヴァリエーションをつけられる

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本内容は、Marie - Christine Calvet氏の著作「Sur les traces de Scaramuzza」を、本人の許可を得て岡田真季が日本語に訳してお届けしています。無断で内容を改ざん・コピーするなどの行為はご遠慮ください。挿入イラストは「いらすとや」から拝借しました。手指のイラストはオリジナルからトレースしたものです。譜例はIMSLPから出典。

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