見出し画像

<OM SYSTEM アンバサダー>三橋 康弘「乗って発見、ローカル線の旅・弘南鉄道」


■2つの路線をもつ「弘南鉄道」

私は列車に乗って、ふらっと降りて、その土地ならではの景色を発見できるローカル線の旅によく出かけます。途中下車した駅から沿線の風景を楽しみながらの鉄道写真撮り歩きで、コンパクトで機動力のある OM SYSTEM のカメラは私の旅に欠かせない相棒です。今回は OM-1 をぶら下げて弘南鉄道の旅に出かけてきました。

青森県を走る弘南鉄道には弘前(ひろさき)と黒石(くろいし)を結ぶ全長16.8kmの弘南線と、中央弘前(ちゅうおうひろさき)と大鰐(おおわに)を結ぶ全長13.9kmの大鰐線の2つの路線があります。弘南鉄道は90年以上の歴史があり、1926年に会社が設立されて翌年の1927年に弘前~津軽尾上(つがるおのえ)(現:弘南線)が開業しました。1950年に津軽尾上~弘南黒石(現:黒石)間が開業し弘南線が全通しました。大鰐線は1952年に大鰐~中央弘前 間が開業しました。現在では東急電鉄から譲渡されたステンレス製の7000系の2両編成が、弘南線と大鰐線で活躍しています。

■弘南鉄道 弘南線

弘南線沿線には田んぼが多いことから「田んぼ鉄道」の愛称があります。
弘南線を訪れたのは3月、弘前の街中では雪が溶けてきて春が近付いていることを感じます。新幹線とJR線を乗り継いで弘前に到着したものの、弘南線は日中1時間に1本のため次の列車まで時間がありました。弘前から次の弘前東高前までは0.9kmで徒歩15分程度のため、次に来る列車を撮ろうと思い弘前東高前まで歩くことにしました。

弘前東高前駅の近くまで行ってみると、列車の編成写真を撮れそうな場所を見つけたので、列車が来るのを待ちます。数分待っているうちに弘前東高前駅に列車が到着し、いよいよ撮影の瞬間がやってきます。OM-1のAI被写体検出AFを鉄道の設定に切り替えて準備完了、構図に集中しながら弘前東高前駅を出発した7000系を撮影。OM-1は列車の動きに合わせてAFターゲット位置を合わせてくれるので、初めて訪れた場所でも安心して列車を撮影できます。AI被写体検出AFをよく利用する場合、OM-1のマイメニューに登録しておくと、すぐに切り替えられて便利です。

弘前東高前駅近くでの撮影を終えてから弘前まで歩いて戻り、いよいよ弘南線に乗車して館田を目指します。館田駅の駅舎はシンメトリーなシンプルなデザインで可愛らしさを感じます。

館田駅から線路沿いを歩いて5分くらいで田んぼが見えてきましたので、ここで撮影しようと思い列車を待つことにします。列車を待っていると空から白いものが飛んできて「何だろう?」と眺めていたら、なんと白鳥でした。野生の白鳥を初めて見たので興奮し、この時ばかりは夢中で白鳥にシャッターを切っていました。

白鳥のおかげで列車の待ち時間を楽しく過ごすことができ、いよいよ近づいてきた弘前行の列車をねらいます。雲が少なくて夕陽が見え、しかも田んぼにあった雪解けの水のおかげでちょっとした水鏡になり絶好のチャンスを迎えます。撮影のタイミングを逃さないためにOM-1のAI被写体検出AFを再び鉄道の設定に切り替え、AF/AE追従で50コマ/秒の静音連写SH-2に設定。そのおかげで雪解けの田んぼと夕陽が差し込む電車のステンレスボディーの輝きを撮影することができました。都会の撮影だと高い建物が多く夕陽の差し込む時間が限られますが、弘南線のようなローカル線では周囲に高い建物が無い場所が多く、夕陽の差し込む時間が長くなるので焦らずにじっくりと撮影することができます。

撮影後、ゆっくりしている間もなく、数分後には黒石行きの列車がやってきます。今度は、背景の山を強調できるよう構図を変えて、列車を後追いで撮影することにします。やってきた列車は先ほどと同じ7000系ですが、中間車を先頭車に改造した、前面の形状が異なるタイプの電車でした。

■弘南鉄道 大鰐線

大鰐線の沿線にはりんご畑が多いことから「りんご畑鉄道」の愛称があります。大鰐線を訪れたのは10月、中央弘前から乗車し津軽大沢へ向かうことにします。中央弘前駅は大鰐線の始発駅で、ホームに入ると木造の屋根が歴史を感じさせます。

大鰐線でも弘南線と同じ7000系が活躍、車内にクーラーはなく昔ながらの扇風機です。広角ズームレンズで車内の雰囲気を撮影。OM-1の5軸手ぶれ補正によって揺れる車内でも手ぶれを気にせずに安心して撮影できます。

車内には東急電鉄時代から使われているつり革があり、かつて渋谷の東急百貨店本店の中にあった「東急食堂」の文字が刻まれています。

車内の扇風機やつり革で昭和レトロな雰囲気を感じつつ、気が付けば目的地の津軽大沢に到着。駅前には大鰐線の車両基地があり、元々東急電鉄で走っていた6000系や7000系が見られ、東急電鉄ファンの私にとってはたまらない光景でした。

津軽大沢から歩いて8分ぐらい、線路沿いにあるりんご畑を見つけたのでここで列車を待つことにします。ちょうど、りんごの収穫時期で、りんごのいい香りが漂っています。りんごの香りで良い気持ちになっていると列車が近づいてきました。ここでもOM-1の被写体検出を鉄道モードに切り替え、静音連写で撮影に臨みます。りんごは収穫をほとんど終えたばかりのようで、木にぶら下がっているりんごは少なめでしたが、手前のススキが秋らしさを醸し出してくれました。

津軽大沢から隣の松木平へ移動すると、とても小さな駅舎にひまわりの絵が描かれていて思わずほっこりします。

松木平駅では「かかし」が乗客を出迎えてくれたり、弘前工業高校の学生さんが作った「初恋ベンチ」があったり、とても温かみのある駅でした。この「初恋」というのは、地元の弘前実業高校の学生さんが、松木平駅に植樹されたりんごの品種名のことだそうです。

松木平で次の列車を待っていると、黄色い柵にトンボが止まっていたので思わず撮影してしまいました。昆虫の撮影ができるくらいのんびりとした雰囲気を味わえるのもローカル線の旅の魅力です。

津軽平野を走る弘南鉄道では、季節によって様々な景色や、白鳥、トンボにも出会えたりと、とても楽しい撮影の旅となりました。今度は夏と冬の時期にも訪ねてみたいと思います。みなさんもカメラをぶら下げながら、ローカル線に乗って、様々な景色に出会ってみてはいかがでしょうか。


■筆者紹介

OM SYSTEM アンバサダー
三橋 康弘(みつはし やすひろ)

IT系コンサルティング企業で働きながら、休日を中心に写真作品を撮影している。被写体は鉄道、人物、風景など多岐にわたる。これまでに「駅と彼女。」や「鉄道を支える人たち」などの個展を開催、グループ展多数企画。2021年には写真集「駅と彼女。」を出版。
公益社団法人日本写真協会(PSJ)会員
写真家 三橋康弘 ホームページ


■OMフォトライフ ユーザーインタビュー

フォトグラファー 三橋 康弘
自分の鉄道撮影のスタイルに合ったOM SYSTEM



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?