アカデミー賞授賞式が描き出した差別〜ミッシェル・ヨーはオリンピズムを示したが〜
私は第七番目の芸術のファンである。そんな私が最近最も関心を持って劇場に出かけたのがヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」である。一度では満たされず二度も劇場に足を運んだ。
役所広司が第76回カンヌ映画祭で主演男優賞に輝いた作品である。公衆トイレ清掃員の何げない日常を映し出すだけなのにそこに人間の日常の静寂とその日常を祝福する木洩れ陽がある。その清貧なるテンポとリズムが魂に染み込むようで忘れられない映画となった。この作品の良質なヒューマニズムをカンヌは理解した