『空飛ぶストレート』
ジャイアント馬場より高い身長、朴訥な顔の彼が投げる野球ボールの速度は、160kmを超える剛速球火の玉ストレート。
彼の投げる球種はストレートのみ、だが、だれもかれも彼のボールを打つことはできない。
そんな彼は、チームに所属おらず、そして、だれも彼をチームにスカウトしなかった。
それもそのはず、彼のストレートはキャッチャーにむけて投げられていなかった。彼はいつもひとり黙々と河原でボールを投げていた。大空めがけて、天よ貫けよとストレートを投げていた。
そんな彼を父母は怒った。それでも彼は雨の日も風の日も嵐の日も、空にむけてストレートを投げつづけた。父母も何も言わなくなった。近所のひとたちは、彼はバカだと言った。「今日も空にストレートが飛んでるナ」と近所の老人が言った。
彼いがい世界中の誰もが知らないのだ。地球の成層圏に地球外侵略者がきていることを。彼の『 空飛ぶストレート 』は侵略者を撃退し、今日も地球を守っている。
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