最近の日課:毎日天気図
皆様は学校などで天気図を書いた経験はありますでしょうか。
短波ラジオを聴いて「石垣島 北の風 風力2 晴れ 16ヘクトパスカル 21度」などと聞き、アタフタしながら天気図用紙に記入した、なんて経験もあるかも知れません。
私は一応気象予報士試験に合格した気象予報士(気象庁登録済)なのですが、こういった天気図を自分で書いたことがありませんでした。
気象予報士なのに天気図も書けないなんて、と思うと恥ずかしい……訳ではありませんが、最近になって、天気図を自分で書いてみたいと思ったのです。
きっかけ
きっかけは特にありません。あったかもしれませんがもう覚えてないです。
ただ、この天気図は、電波(インターネット接続環境)の届かないところでも、AMラジオや短波ラジオさえ持っていれば書くことができるというのがメリットです。山の中や海の上でもAMラジオは入りやすいので、この放送を必要としている人は一定数いるのです。
準備(天気図用紙の自作)
天気図を書くには下準備が必要です。まず、天気を記入するための用紙を入手しなければなりません。
ラジオ天気図用紙というものが50枚入りで880円くらいで販売されているようですが、「それだけのために買わなあかんかなあ」という思いがあり、結局自作することにしました。初めは2〜3枚くらいしか書くつもりはなかったのです。
気象や地学関係で地図を書くソフトといえば「GMT」というのがあります。これは気象庁も御用達のフリーソフトですが、ある程度コマンドライン操作の知識と経験がないと初心者にはハードルが高すぎます。幸いにも私は大学の時に少しかじったので、なんとか書くことができました。大学で学んだことは意外なところで役に立つ。
この用紙を描くのに書いたコマンドが以下のとおり。
'補助グリッド線の太さと色
> gmt set MAP_GRID_PEN_PRIMARY=0.5p,ORANGERED3
'主要グリッド線の太さと色
> gmt set MAP_GRID_PEN_SECONDARY=1.5p,ORANGERED3
'紙の大きさ
> gmt set PAPER_MEDIA=a3
‘海岸線の描写(ポーラーステレオ図法)
> pscoast -R117/12/-164/38r -JS140/90/37 -Bpa10f2g2 -Bsg10 -Dl -GLIGHTORANGE -S255 -W0.4,ORANGERED3 -K -V > tenkizu.ps
‘観測地点の経度緯度(lonlat.txt)をプロット
> psxy lonlat.txt -R -JS -G255 -Sc0.28 -W0.5,BLUE -O -V >> tenkizu.ps
結果はpsファイル(ポストスクリプトファイル)で得られ、GhostScriptなどで表示できます。
‘psファイルの表示
> gswin64c tenkizu.ps
しかしpsファイルは現代では不便なので、オンラインコンバーターなどでpdfに変換します。変換するコマンドとかあったんかもしれんけど知らん。
この手のアプリケーションはWindowsとあまり相性が良くない気がします。Macだったらターミナルがもっと使いやすい気がします。
用紙はPCで作って、天気図は手書きとかちょっと意味がわからない感じもしますね。
天気図を書く
技術的な話で本筋からズレてしまいましたが、ここからが問題です。
現在ではNHKラジオ第2で16:00〜16:20に「気象通報」が放送されています。これは当日正午の各地の天気や低気圧の位置を放送するものです。
しかし、この番組はらじる☆らじるで再放送されることはないので聞き逃すことはできません。
その代わりに、気象庁のHPでは毎日18:10頃に気象通報の原稿が掲載されているので、それを見て書き込んでいきます。
等圧線書くの難しい
低気圧や高気圧、各地の気圧から等圧線を引かなければなりません。気象通報では等圧線の位置を1本か2本ほどしか教えてくれませんので、あとは考えて引く必要があります。
上の天気図は2022年2月20日正午のものですが、結構気象庁のものと違いが出てしまいます。
どうしてもデータの位置が少ないので仕方ないのですが、出来るだけ正確に書きたいものです。
これは実況天気図で予想天気図ではないので、これだけから明日の天気を予想するのはちょっと難しいです。そこを含めて「気象予報士」としての腕が問われるのではないでしょうか。
自分で天気図を書いて、気象庁のものと比べると、「この低気圧はこのように発達するんだな」などと新たな発見があります。これからもしばらく続けていこうかなと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?