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ちょっと難しい2次方程式 ~係数にルートが出るなど~

今回は数学の話を。
久しぶりに数学オリンピックの予選の過去問を解いていたら(暇かよ)、式変形だけで難問が。
ただの2次方程式なのに、そんな式変形できるか…?と思ったものがあるので紹介します。

$$
x^2+3x+\sqrt{2} = 0
$$

シンプルな形の2次方程式ですが、係数にルートがあるのが厄介です。

ふつうに2次方程式の解の公式を使って解いてみましょう。

$$
解の公式なんて忘れた!\\
という方のために書いておきます。\\
ax^2+bx+c=0 (a\neq 0) の解の公式は、\\
x=\dfrac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}
$$

上の2次方程式に解の公式を適用すると、

$$
x=\dfrac{-3\pm\sqrt{9-4\sqrt{2}}}{2}
$$

となります。
ルートの中にルートが入って(二重根号)、結構面倒です。
しかし、これは簡単にすることが出来るタイプの二重根号です。

$$
\sqrt{9-4\sqrt{2}}=\sqrt{9-2\sqrt{8}} \\
足して9, 掛けて8になる2つの数は、\\
8と1. \\
よって、\\
\sqrt{9-2\sqrt{8}}=\sqrt{8}-\sqrt{1}=2\sqrt{2}-1.
$$

高校数学で扱った二重根号の外し方ですね。誰が覚えてんねん。
この結果を用いて表題の方程式を解くと次のようになります。

$$

x =\dfrac{-3\pm\sqrt{9-4\sqrt{2}}}{2} \\
=\dfrac{-3\pm(2\sqrt{2}-1)}{2} \\
=\dfrac{-3+2\sqrt{2}-1}{2}, \dfrac{-3-2\sqrt{2}+1}{2} \\
=-2+\sqrt{2}, -1-\sqrt{2}.
$$

結構ややこしくなってしまいました。
この方程式をもっと簡単に解く方法はないのでしょうか?
自分なりにいろいろ考えましたが、式変形を使う方法ではどうしても二重根号が出てしまいます。

そこで、この二次方程式の左辺を因数分解することを考えてみました。
すなわち、”足して3、掛けて√2になる二つの数はなんだ?”という問いです。

ここからは頭を柔らかくして考えてみましょう。
掛けて√2になるのですから、求めたい2つの数には√2の項があるでしょう。
しかし、足して3になりますから、√2はうまく打ち消し合うようになっているでしょう。
具体的には、$${a+\sqrt{2},b-\sqrt{2} (aとbは有理数)}$$と考えてみます。
条件を満たすようなa,b を求めましょう。

$$
足して3になることから, \\
(a+\sqrt{2})+(b-\sqrt{2})=3 \\
a+b=3. \qquad (1)\\
掛けて\sqrt{2}になることから, \\
(a+\sqrt{2})(b-\sqrt{2})=\sqrt{2} \\
ab-(a-b)\sqrt{2}-2=\sqrt{2} \\
ab-2=(a-b+1)\sqrt{2}. \\
a, bは有理数なので、\\
この式の両辺が0でない限り、\\
左辺は有理数、右辺は無理数となり、\\
矛盾してしまう。\\
よって、\\
ab-2=0, \\
a-b+1=0. \qquad(2) \\
(1),(2)より、\\
a=1,b=2. \\
ゆえに、求めたい2つの数は、\\
1+\sqrt{2},2-\sqrt{2}.
$$

2つの数が求まったので、2次方程式の左辺が因数分解できます。

$$
(x+1+\sqrt{2})(x+2-\sqrt{2})=0 \\
よって、\\
x=-1-\sqrt{2},2+\sqrt{2}.
$$

どちらのやり方も難しいですね。
きっと数学オリンピックに挑むような方は、後者のやり方が暗算、あるいは直感的にできるのでしょう。ちょっとレベルが違うわ。

以上、とくに日常生活で役に立たない話でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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