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世界カワウソの日@スマスイ レポ

2018年5月30日、神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)で、「生きものスクール World Otter Day 関連 ラッコの特別イベント」が催されました。
事前申込の抽選で奇跡的に当選し、参加してきました。その日の様子と感想をお伝えします。

世界カワウソの日とは

この記念日は、カワウソ類の啓発や保全に関する意識を世界中の人々に高めてもらおうと、International Otter Survival Fund(国際カワウソ生存基金)により提唱されたもので、毎年5月の最終水曜日とされています。
https://www.wwf.or.jp/staffblog/diary/5031.html

毎年5月最終水曜日は、世界カワウソの日とされています。
カワウソ類は、ラッコを含めて、あらゆる方面で絶滅の危機に瀕しています。近年特に有名なのは、コツメカワウソの密輸問題です。
ラッコは他のカワウソ類とは大きく異なる生活スタイルをしていますが、れっきとしたカワウソ類です。スマスイも世界カワウソの日の啓蒙活動として、生きものスクールでラッコのイベントを開催しました。
なお、生きものスクールのイベントはスマスイで定期的に行われています。多くのイベントは事前予約制です。

ヘッダーはこの日の明日花ちゃん

午後からのイベントにも関わらず、午前中からラッコファンたちでラッコ水槽前がいっぱいでした。抽選に外れてしまった方も明日花とラッキーに会いに来たようです。明日花ちゃんも少々そわそわしているように見えます。

ラッコに関するレクチャー

今回の生きものスクールは、応募が殺到し、抽選になりました。北は北海道、西は福岡まで、多くの方が応募されたとのことでした。ラッコファンの行動力は尊敬に値します。
万が一当選した場合に備えて、この日(水曜日、平日)のために有給を取った方もいるとかいないとか……。私はこのとき学生で、平日ですがたまたま講義がなかったんです。たまたまですよ。

まずは本館にある会議室にて、世界カワウソの日とラッコの生態や現状についての説明を受けました。

ラッコの生態

カワウソ類は世界に13種存在します(哺乳綱 食肉目 イタチ科 カワウソ亜科に属する種)。ラッコはこれに分類されます。

ラッコは北太平洋の沿岸部に生息し、生息域によって3つの亜種に分類されます。
カリフォルニア付近の亜種はカリフォルニアラッコ、アラスカ〜アリューシャン列島に分布する亜種はアラスカラッコ、千島列島に生息する亜種はチシマラッコと呼ばれています。
他のカワウソ類は一度に複数の仔を産みますが、ラッコは一度に1頭の仔を産みます。
また、ラッコはイタチ科の動物としては最も大きく、海棲哺乳類としては最小です。

ラッコは世界一毛深い動物で、一頭に6〜8億本もの毛が生えています。一つの毛穴から、一本の太くて長い毛と、60〜70本の細くて短い毛が生えています。
ラッコが生息する場所は海水温が低く、ラッコはほとんど皮下脂肪がないため、その寒さから身を守るためにこの毛皮は必須です。

その地の生態系で欠かせない種のことをキーストーン種といいますが、ラッコはまさにその一種です。
ラッコは主にウニ、カニ、貝、魚などを食べますが、これはウニの増え過ぎを抑制する効果があります。
ウニが増えすぎると、ウニが食べる海藻が食べ尽くされ、やがてウニもラッコも住めなくなる砂漠のような海になってしまいます(これを磯焼けと言います)。
ラッコが適度にウニを食べることで、このバランスを保つことができるのです。

人間との関係

ラッコは昔から狩猟されてきましたが、18世紀から19世紀にかけては毛皮目的で乱獲され、一度は個体数が数千頭にまで減少しました。また、重油の流出によって毛皮が汚染されることも減少の要因でした。
その後の保護活動により個体数は十数万頭まで回復しましたが、現在も環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されています。
また、ウニなどの漁を行う方々にとっては、ラッコは厄介な生きものであり、日本で少しずつ個体数が増加している現在は、漁業関係者との調整も課題となっています。

調餌室の見学

今回の生きものスクールでは、特別にラッコ館のバックヤードに入ることができました。またとない機会で本当に貴重な経験をさせていただきました。

調餌室ではラッコの餌の説明を受けました。
ラッコは1日に体重の4分の1のご飯を食べます。寒い海で体温を維持するには、とにかくひたすら食べる必要があるんです。

ラッコはグルメなので餌を与える順番も決まっています。苦手なものから先に与えるようで、ラッキーはイカの内臓→シシャモ→アジ→ウチムラサキ→カニ→ホッキ貝→サケ→スルメ、明日花は内臓→ウチムラサキ→ホッキ貝→サケ→アジ→エビ→スルメという具合。
大食いでエビやカニも食べるので月の食費は2頭で30万円!

大きな冷蔵庫のほかに、ラッコ水槽を監視するモニターや、その他数多くのスイッチや機具や機械や机や電話やアンプや何やらで少々乱雑なのがリアリティーがあって大変よかったです。何かのスイッチに「動かすな!」と書かれた張り紙があったりしました。

ラッコの見学

生きものスクールの時間内に、ラッコ水槽の見学という枠が確保されていました。私(たち)からすればいつものルーティーンですが、ラッコの実物を見ることはラッコを知る上で最も重要なことではあります。

氷を食べる明日花
氷を食べるラッキー

かわいいところばかり見てしまいがちですが、じっくりと観察することは大切なんだと思います。

ラッコの「トコ」の剥製を見学

トコ♂の剥製

本館に戻り、剥製を見学。
この剥製は、スマスイで2014年まで生きたオスのラッコ、トコのものです。よく出来ています。これほど良く出来た剥製はそうそう無いのではないでしょうか。あまり剥製見たことないから詳しくないけど。

毛皮に触れる

チャッピーの毛皮

ラッコの毛皮に触れるというレアな経験をしました。めっちゃ最高です。滑らかでもふもふな触り心地。素晴らしい。
スマスイで過ごしたメスのラッコ、チャッピーの毛皮です。
これから先、こういった資料は入手困難になります。これからも大切に保存してほしいですね。

私たちにできること

ラッコをはじめ、生きものを守るために、私たちにできることがあります。

  • ふれる…生き物や自然に触れる。

  • 食べる…季節のものや地場産のものを食べる。

  • 選ぶ…環境にやさしい製品を選ぶ。

  • まもる…環境を保護・保全する。

  • 伝える…周りの人にも教える・発信する。

どれも大切にしたいことですね。
少しずつでもできることがあるので、ちょっとだけでも意識して過ごしたいものです。

(終わり)

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