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二度目の夢を見せてくれた人

2020年10月に、白石麻衣ちゃんが乃木坂を卒業した。長年推していたまいやんの卒業は私にとってあまりに大きく、乃木坂の皆のことは変わらず好きだけれど、まいやんのいない乃木坂を見るのは寂しさが強すぎて。
寂しさを直視し続けるのは難しいから、私は少しずつ乃木坂と距離を置くようになって、ライトファンになっていくんだろうなと、あの頃は思ってた。神宮に行くことももうきっとないんだろうな、なんて。
大袈裟かもしれないけど、まいやんのガルルの煽りを聞けないなんて、もう私は夏を失ってしまったも同然だという気持ちだった。

そんな私でも、まいやん卒業後の最初のシングル、26枚目のセンターが美月ちゃんに決まった時、思わず笑みがこぼれたのを覚えている。それは、今の乃木坂にとってこれ以上ない、最高の選択だと感じたから。当時推していたわけではない私から見ても、「この子なら」と思わせてくれるものを美月ちゃんは確実に持ってた。

知名度の高いメンバーが卒業する度に「グループが終わる」と騒がれ、現役メンバーにプレッシャーがかかっていく様子を繰り返して見ていたし、ましてやあの時は「白石麻衣」。彼女に計り知れないプレッシャーがかかることは、容易に想像できる。

だから、私一人がファンの声を代表できるわけもないし、そんなつもりは微塵もないけれど、それでもまいやんをずっと応援してきたファンが、美月ちゃんが引っ張ってくこれからの乃木坂も楽しみだと口にすることが、少しでも力になればと思った。同じ理由で、ガルルを美月ちゃんが継いで嬉しい、という内容も意識して呟いていた。彼女がエゴサする子だと知っていたから。
どうしてもネガティブな言葉の方が残りやすいから、ひとつでも多くポジティブな言葉が届いていてほしい。口にすることで、美月ちゃんに少しでもプラスに作用してくれたら良いな、という想いだった。

彼女の頑張りを見守っている内に、気付けば美月ちゃんは私にとって目を離せない存在になっていて、当時の私は新たに推しができることに戸惑い・葛藤したりもしたけれど、彼女を推して良かったと心から思う。

あのコロナ禍の、色んなことが停滞してしまった先の見えない不安の中で、当たり前にできたことができなくなりそうな時、美月ちゃんには本当にたくさんの元気をもらった。
まいやんが私の人生に転機をくれた人だとしたら、美月ちゃんは私に二度目の夢を見せてくれた人。


美月ちゃんは、とにかくファンを楽しませようとする気持ちが強い。尋常じゃない忙しさの中でほぼ毎日欠かさず、トーク(モバメ)を写真付きで何通も送ってくれていた。「それが仕事だから」とか「それも自己プロデュースの一環」なんて見方もきっとあるだろうし、それも間違いではないと思うけれど、決してそれだけではないことは、日々彼女からのメッセージを受け取っていたファンの人なら感じてたと思う。
私が美月ちゃんを推していて、ファンをやっていて強く感じていたことの一つが、「大切にしてもらってる」だった。いつも何気ない言葉がやさしくて、受け取るこちらの気持ちを考えてくれているのがわかったし、ファンが喜ぶことを常に考えてくれていた。それは応援していた期間中ずっと感じていたことだったけど、卒業発表後の期間により強く、本当に強く実感した。

卒業発表の仕方をはじめ、ソロ曲の作詞をしたり、個性溢れるグッズをたくさんプロデュースしたり、ファンの望みを全て叶えようとしてくれるかのようなこだわりの詰まった卒コン(それも東京ドーム土日2days)を見せてくれたり。写真集のエッセイの最後の段落では、そのまま美月ちゃんに同じことを思ってるよと伝えたくなるくらい、あたたかく切実な想いを聞かせてくれていた。
ファンの巨大感情に負けないくらいの気持ちを持ってずっと向き合ってくれていたと思うし、最後の瞬間まで繰り返し「また会える場を作る」「また戻ってくる」ということを伝えてくれていて、あんな華奢な体からは想像つかないくらいの大きな愛を、ファンをやっていて常に受け取ってきた。
誰より愛情深い彼女は、愛すべき人であり、愛されるべき人だと強く思う。

そんな美月ちゃんにファンとして少しでも何か渡せたら、応援の気持ちをわかりやすく形にできたら、という気持ちからファンアートをよく描いてたけど、振り返ってみるとどうやら150枚ほど描いていたようで。
描いた私ではなく描かせた美月ちゃんがすごい。描きたいとずっと思わせてくれた。
私の絵がきっかけで山下推しになったとか、美月ちゃんをもっと好きになったというコメントをいただくこともあって、技量はともかく愛だけは精一杯こめていたので、自分の絵が少しでも彼女に貢献できたのなら嬉しい。

私から見た美月ちゃんは、人間離れしたことをやってのけるけど、どこまでも人間味溢れる人で、そこがかっこよくて、そして守りたくなる可愛い人でした。
思慮深い彼女の選択をいつだって尊重したいという想いと、傷付かず生きていくのは無理かもしれないけど、できるだけ傷付くことがないようにという想いを抱えて、自分なりに応援してきた。
美月ちゃんの夢が一つ叶う度に、自分のことのように嬉しくなったな。

その輝きがあまりに眩かったから、アイドル・山下美月をずっと見ていたいと思ってしまったけど、永遠に今が続けばいいのに、と願いたくなる時間を過ごせたこと、そしてそう思える存在に出会えたことが幸せなのだと思う。

とはいえ、寂しいものは寂しい。
ライブ映像なんか見ると余裕で胸がぎゅっとする。

いくら口の中で転がしてもなかなか溶けてくれない飴玉みたいに、アイドルの美月ちゃんに会えない寂しさは簡単には消えてくれないだろうけど、あの笑顔をまた見れた時には、この寂しさを噛み砕いて飲み込んで、ちゃんと自分の一部にできるかもなって、そんなことを今は考えている。




追記:月のWi-Fi(5G?笑)使ってトーク送ってきてくれるの、ちょっと可愛すぎると思う。

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