国民の敵か?前原新党

国民民主党の代表代行という役職にあり、9月の代表選で玉木雄一郎代表と一騎打ちの末敗れた前原誠司代表代行が、11月30日をもって同党に離党届を提出し、新たに「教育無償化を実現する会」という政党を立ち上げました。正直な話、国民民主党ではなく国民の敵ではないかと思います。


■前原代表の嘘

結党会見で前原教育無償化を実現する会代表(以下代表)は、「非自民・非共産の野党勢力を結集し政権交代への道筋を付けたい」と語りましたが、これは先の代表選でも訴えていた主張と同じです。これでは代表選で自身の主張が認められなかったから離党しますと宣うのと変わらないのではないでしょうか。代表選が終わればノーサイド、全党一致で政策を実現していくとしたのは嘘だったということでしょうか。

さらに地元の京都新聞において、『今年度の補正予算に国民民主党が賛成したら離党する意向』と報じられた際に、自身のSNSにおいて「誤報です!それを理由に重大な政治決断をすることはありません」と全否定していましたが、前日29日に補正予算が成立したらすぐに離党とは、舌の根の乾かぬ内にとはこの事でしょう。

のぼり旗やロゴまで用意しておいて、離党を否定するなんて有権者に大噓つきと罵られてもおかしくありません。


■前原代表の勘違い

前原代表は会見で「国民民主党はトリガー条項というワンイシューで自公と協力しようとしている。政策で政権交代可能な野党を結集するのがわれわれの責務だ」と述べましたが、国民民主党の代表代行という立場でありながら一体同党の何を見てきたのでしょうか。国民民主党がやってきたのはトリガー条項だけですか。その時、その時に国民にとって重要なことを自民党に言い続けてきたのが国民民主党ではなかったですか。ちょうど一年前に提出した外為特会繰入法案は、まさにそれです。

また、いわゆるN国党もNHKをぶっ壊すというワンイシューで議員を増やしましたが、浜田聡参議院議員は非常に多くの分野での質問が目立ちます。YOUTUBEなどネット上に山ほど載っているその手の動画を見ると、たった一人でも国家国民の利益になる政治活動を行えると思わせてくれます。

翻って前原代表は新党を作って何をしたいのでしょうか。「教育無償化を実現する会」という政党名を見れば、誰がどう見てもワンイシューの政党だと思いませんか。それでいて国民民主党をワンイシューだと非難するのは筋が通らないと思いませんか。

国民民主党の榛葉幹事長は、教育無償化を実現する会の綱領が国民民主党そっくりだと批判していましたが、自分たちが何をしたいのか固まっていないからそうした批判を受けるのではないでしょうか。


■同調した議員

今回、前原代表に同調して合流した議員は、嘉田由紀子参議議員、徳永久志衆議院議員、斎藤アレックス衆議院議員、鈴木敦衆議院議員の4人です。

嘉田由紀子参議議員は、前回の参院選挙で野党統一候補ではなければ嫌だと言って国民民主党から離党し、小差で当選後、何度かあった復党の機会も断り、2023年7月にようやく国民民主党に復党(入党)したもののすぐに離党というお方です。

徳永久志衆議院議員は民主党政権時の外務大臣政務官で、その時の親分が前原代表です。その後、希望の党や旧国民民主党などでも前原代表と一緒に活動し、2021年の衆院選挙では立憲から立候補して比例復活で当選しましたが、2023年6月に立憲に曖昧な理由で離党届を提出したことで除名処分になりました。比例復活なのに議席を返上していない点が批判されていました。

斎藤アレックス衆議院議員は、前原代表の元秘書です。選挙区調整というか野党調整の煽りを受けて京都選挙区から滋賀選挙区に移るなど色々ありましたが、2021年の衆議院議員選挙で比例復活で初当選します。その後は目立った活躍は聞こえてこず、今回の離党となりました。

鈴木敦衆議院議員は、2021年の衆議院議員選挙で神奈川10区から出馬し、選挙区最下位ながら比例復活で初当選しましたが、何ら目立った活躍はなかったと思います。

4人中2人が国民民主党の比例復活組ですが、議席の返上はするのでしょうか。鈴木敦議員は選挙区最下位ながら比例復活していますので、どう考えても国民民主党の看板で議員になった人ですが、有権者に対する筋は通せないのでしょうか。

また、齊藤アレックス議員は先の補正予算案に対して、本会議で賛成討論を行っています。前原代表の「政策で政権交代可能な野党を結集する」ことに賛同して合流したのであれば、なぜ賛成討論を行ったのでしょうか。「自公と協力すること」がダメだと言う親分の主張に賛同しつつ、自公の作った補正予算案に賛成するのは筋が通りません。


■国民の敵

タイトルにある「国民の敵か?」という疑問は、こうした姿勢から生じたものですが、もう2つ根拠があります。

まず一つはトリガー条項です。皆様もご存知の通り、トリガー条項はガソリン価格の高騰が続いた場合、それを引き下げるルールのことであり、2022年2月にウクライナで戦争が始まってから1Lあたり160~170円台が続いているため、国民はもちろん、物流を支える運送業にも大きな影響を与えています。

これを解消するために玉木代表はトリガー条項の解除を政府に求め続けてきました。財務省ではなく、国民に寄り添った政策の実現という国民民主党の理念を体現していると思います。玉木代表が「トリガー条項やるなら補正に賛成する」と言ったのは、国民に寄り添った政策を実現できるのであれば、多少は譲ってもいいという考えがあるからでしょう。国民のための政策が実現すれば、それが票となって返ってくることを理解しているからです。

逆に自民からすれば国民民主党の衆参合わせて21人という議員数は決して無視できる数字ではありません。現在、衆議院は自民が単独過半数を確保していますが、岸田政権の支持率を見ると次の衆議院選挙で自民は大きく数字を落とすでしょうし、代わりに議席を伸ばすのは立憲ではなく、維新か国民民主党というのが大方の予想です。先の事を考えれば国民民主党の協力を得ておきたい思惑もありますし、財務省を説得してトリガー条項を解除できたら自分たちにもプラスになると考えているのかもしれません。

ところが、前原、齊藤、鈴木の3名が離党した場合、自民から見て旨味が少なくなります。国民民主党と手を結ばなくてもいいと思っても不思議じゃありませんし、それはトリガー条項解除という国民のための政策が実現しなくなる可能性を大きく引き上げることになります。つまり、この離党劇は国民のための政策を壊す離党劇とも言えます。

そしてもう一つは、政党助成金です。政党助成金は年末時点で結党している政党に対して交付される助成金であるため、年を跨いで結党するのでは遅いのです。また、来月1日時点で国会議員が5名以上いる政党という要件を満たすため、無所属だった2名を引き込み条件を満たしました。これでは政党助成金目当てではないとは言えませんし、仮にそうだったとしてもそう思われてしまいます。分かっているかと思いますが、政党助成金の原資は税金です。我々の税金がたったひと月だけ結党した5人に対して数億円使われるとなれば、それは国民に対する裏切りにも等しいと言えないでしょうか。


■まとめ

色々と書いてきましたが、結局、前原代表はこういう人なんだなという印象しか出てきませんでした。政治センスというか、立憲にいらっしゃる方々のように、どこか自分本位の政治活動に終始しているように見えます。

国民民主党は残念ではありますが、不安材料が無くなったと前向きに考えるしかないでしょう。国民民主党の主張はYOUTUBEをはじめとした様々な媒体でいつも目につきますし、中身も批判だらけの他党とは異なり、理路整然と国民に寄り添った政策を訴えています。棒葉幹事長の会見も、当たり前のことを当たり前に言っているだけの会見ですが、だからこそ他党より際立って見えます。

維新は何だかんだでバタバタするところがありますが、こういう政党が40議席ほど確保できれば与党も決して無視できない政党になりますし、国民に背を向けた政策ばかりにはならないでしょう。

そういう視点から、私個人は彼らの主張を十分に聞いた上で、彼らを推すと公言します。現状では、少なくとも立憲や日本維新よりは良いと判断できますので、次期衆院選でも国民民主党を応援します。皆様も、一度彼らの主張を聞いて頂ければと思います。


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