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#文化

異文化間の「解釈のギャップ」で遊ぶ|文脈の中を泳ぐデザイン #4

『文脈の中を泳ぐデザイン』は、私が2018年11月に上海で登壇した内容を文章に起こした全5回のシリーズです。事例を交えて、私がどのように文脈を行き来しながらデザインしているのかについてお伝えします。 今回は、最近仕事をする中でよく感じている「私の中での日本のイメージ」「別の文脈から見た日本のイメージ」とのギャップを利用したデザインの可能性についてお話しします。 0. なぜ文脈を考えることがデザインする上で重要なのか 1. 多文化性を表現するひとつのストーリー 2. 文

味噌汁のお椀にはご飯をよそわない — 工芸が生き残るということについて考える —

夫と暮らし始めた頃、炊いたお米を味噌汁のお椀に入れて食卓に出そうとしているのを見て、ちょっとこれは味噌汁の入れ物だから、と言ってごはん茶碗に入れ替えてもらうことがよくあった。 今では、和食の時こそ違いは徹底するけれど、うちには他に手頃な深さの器がないので、もうごはん茶碗でシリアルを食べているのを見ても、ポテトチップスを汁椀に入れて出されても目をつぶっている。 ここ最近各国の工芸と関わる機会が続き、そんなことを思い出した。 広州の生活と「広彩」去年12月「広彩」と呼ばれる

ペルシャの彩陶を復活させた日本人と、それを習得したイラン人たち

今から800年前ごろ、ペルシャ(現在のイラン)の陶器に広く用いられた技法に「ラスター彩」というものがある。ごく簡単に説明すれば、スズを含んだうわぐすりを塗って焼いた陶器に、金属酸化物を含む顔料で絵付けして再び焼く陶芸の技法。ラスター(luster)とは、英語で「光沢、輝き」を意味する。世界大百科事典(平凡社)によれば、「9世紀にメソポタミアで創始され、次いでエジプトに伝えられてファーティマ朝下で発達し、王朝滅亡後はイランに伝播した」という。 これまで、イランの博物館や日本の