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Top Gun Maverick

日本の映画界は36年ぶりのトップガンの続編「Top Gun Maverick」が話題になっているが、このnote見てる人の中に、リアタイで前作を観た記憶がある人はどのくらいいるのだろうか。

 
思えば随分と歳をとったものだ。

 
36年前の俺は小学校低学年で、小学校時代は、高学年になると放送部員として活動した。放送部員は、お昼休みの終了時刻と下校時刻の2回、放送室に入り、BGMとして校内に好きな曲を流しながらマイクで案内放送を行った。私が担当だった日は、チャイコフスキーなど著名なクラシック曲も流したが、下校時刻の際によく流したのが、今話題のトップガンのオープニング曲「Top Gun Anthem」だった。

 
小学生の俺にとって、放送室の二重の防音ドアはなかなかに重たく、放送室の静寂につつまれた空間で、目の前にある巨大な機械の電源をはじめ各放送スイッチを確認しながら一つ一つ押し、時計をにらみながら曲をスタートさせ、曲のボリュームを絞り、マイクのスイッチを入れて放送原稿を読むという経験は刺激的であり、この曲を聴くと当時のことが今でも目の前に浮かんでくる。

 
それにしても36年である。36年前、36年後の自分など、もちろん想像できなかったし、したいとも思わなかった。でも、36年前の記憶は心の中に残っており、今回のトップガンの続編は、その頃の記憶を想起させ、今と結び付けてくれた。この発見は素直に嬉しかったし幸せな気持ちにさせてもらった。

 
「歳をとったら、過去の自分と時間を超えて対話する楽しみがある」こんなこと学校では誰も教えてくれなかった。「懐かしい」という感情は、想像以上に深く豊かなものだ。人生100年時代と言われるが、ここから36年後は、俺自身は、この世に存在していないか、人生の最期を迎えている頃であろう。今回これだけの発見があった。俺は36年後、今回と同じような何かしらの発見をしているだろうか。

 
しかし今、どのように俺自身の気持ちを奮い起こしても、残念なことに、36年後の俺に向けたポジティブな気持ちは全くない。そしてこのことは、36年前に感じていた未来の俺への感情と同じである。

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