こんなふうに生きていけたなら
写真:’23年12月
都内
信号待ちをしている時に撮りました。
垂れ幕に書かれている、映画『PERFECT DAYS』のキャッチコピーが「こんなふうに生きていけたなら」です。
撮影した日あたりに映画館で観ました。
主人公は、規則正しく淡々と生活する男です。けれどその日々のなかにも様々に感情を揺さぶる出来事が散らばっている、そんな物語だったと思います。
役所広司が演じる主人公の日常が纏う澄んだ空気が素敵です。
今回はこの映画のキャッチコピーに絡ませて書いてみようと思いました。
誰もが一度は思ったことがありそうなフレーズです。
だれかを見て、あるいは自分なりの像を思い浮かべて。
私も少し前まで、そうした思いが強くありました。
これがプラスに働く人もいると思います。
でも私の場合は、理想を思うがあまり自分のことが分からなくなっていきました。
こう考えるべきだ、こう動くべきだ、こう言うべきだ──。理想は色んな瞬間に「〜するべき」と自分を強迫する思いを生みました。
そうしているうちに、自分が本当に考えていること、言いたいこと、したいことが分からなくなってしまいました。
しかし今では、“〜するべき思考”も薄れたようで、それにはある失恋の経験が大きく影響しているような気がします。
その傷つきの中で、どんなに理想通りの自分になろうと、見せようとしても、“こうあるしかない自分”がいるのだと痛感しました。
かといって、今は自分をしっかり認識できているかというと、そうではありません。
あらゆる瞬間に自分に疑問や不満を感じ、やっぱり、「こんなふうに生きていけたなら」という理想が頭をよぎるのです。
いつか、“こうあるしかない自分”との間に折り合いがつく時が来たらいいなと思います。
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