断髪小説~恭子~つづき

「では切っていくね」
和子さんが大きな声で宣言した。
その瞬間、画面を通して見ている幸子にも店内の空気が変わったのがはっきりと分かった。
後ろの待合席に座っていた男性が立ち上がり、恭子さんに近寄っていく。
その男性だけがなぜかスーツを着ている。仕立ての良さそうなお金の掛かっている身なりだ。
「よろしくお願いします」
男性が恭子さんに向かって声を掛ける。
「お願いします」
恭子さんは少し頭を下げながら応じ、そのまま目を瞑ってしまった。

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