化学産業とSDGs 「6.安全な水とトイレを世界中に」
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」
限外ろ過膜や吸着剤等により、水の浄化に貢献している。海水淡水化膜等の技術により、砂漠や孤島における水の供給に貢献している。節水型洗剤の開発により、民生分野における節水に貢献 している。
私は霞ヶ浦を水源とする地域に住んでおりますが、1980年代は霞ヶ浦の汚染がひどく、水道水には特有の臭気がありました。東京から引っ越してきた人の中には、炊事用の水を東京からポリタンクで運んでいる人もいたぐらいです。
さて、浄水場では水を浄化するために様々な薬剤が使われています。ポンプ会社の兵神装備株式会社さんのホームページにわかりやすい絵があったのでお借りしました、
我々の飲み水を作るために様々な薬剤が使われていることがわかります。苛性とは苛性ソーダすなわち水酸化ナトリウム、次亜とは次亜塩素酸ナトリウムのことですね。
さてPACが何かわからなかったので調べてみました。PACとは「ポリ塩化アルミニウム」で、英語は"Polyaluminum chloride"です。水中の浮遊物を凝集させて沈降させる、いわゆる凝集剤として用いられます。「ポリ塩化アルミニウム」という言葉にも耳なじみがなかったので調べたところ、塩化アルミニウムの部分加水分解物でした。
JP 2019‑52079 「塩基性塩化アルミニウム溶液及びその製造方法」(出願人:セントラル硝子)によれば、ポリ塩化アルミニウムの構造は下記のように描かれています。
水中に濁質として存在している微細粒子の表面はマイナスの電荷を帯びており、お互いに反発しあっています。そこにPACを添加すると 水中のアルカリ分と反応しプラスの電荷を帯びた水酸化アルミニウムを生成します。そして、濁質中の微細粒子表面のマイナス電荷をプラスの電荷が中和する事で凝集が起こり、「フロック」を形成します。このフロックは微粒の濁質も吸着し大きく重くなり沈殿池で沈降します。
このように上水の精製には様々な化学物質が使われており、その適切な使用により我々の飲み水の安全性と品質が保たれているのです。
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