見出し画像

コンピュータ化、電子化、IT化、デジタル化、そして・・・

世界最初のコンピュータの一つとされるアタナソフ&ベリー・コンピュータ(ABC)が発明されてから2022年で80年になる。コンピュータが社会のいろいろな場面で活用されるようになると、その旗振りのために様々な用語が登場してきたが、面白いのは、その用語が時代によって変わってきたことである。

日本で最初の大きな「デジタル化」は、国鉄の座席予約自動化システム(マルス)の実用化であろう。国鉄で安定的な切符予約システムが稼働したのは1964年である。それまで名人芸の手作業で行われていた切符の予約手配が、コンピュータにより省人化・効率化された。日本全国の駅に予約システムの端末がある「みどりの窓口」が設置された。その時の用語を見ると、すなおに「コンピュータ化」という用語が用いられている。

1970年代から1980年代にかけて、電電公社が独占していた回線が一般の情報通信に解法されるようになり、1982年の第2次通信回線開放で、ホストコンピュータを介した他者との情報交換が解禁された。これを機会として、パソコン通信(PC-VAN・NIFTY-Serve・日経MIXなど)や電子メールのサービスが始まった。この時代は「電子化」や「情報化」といった言葉が使われていたように思う。そしてインターネット時代が始まり、公衆電話から高速回線で接続ができたりした。

2000年代になり、Information Technologyの略である「IT化」という言葉が使われるようになり、森内閣による2000年の「IT戦略会議」以降、「IT」という言葉が主流となる。そして2020年以降は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や「デジタル化」という言葉が主流となった。2018年に経済産業省は「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を取りまとめた[i]。旗振り役となる新設官庁の名称も「デジタル庁」となった。

Wikipediaでは「デジタルトランスフォーメーション」が立項されており、「ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」というIT化といった意味合いで用いられる。」とされている。また略称DXの語源としては「英語圏では接頭辞「trans-」に「交差する」という意味合いをもつことから、慣習として「X」と略すことにより Digital Transformation は「DX」と略される」としている。

デジタル化のメリットとして、例えばコンビニで様々な行政手続きが可能になるとか、ビジネスのプロセスが効率化されるといったことが語られているが、利便性の向上・効率化といった観点で見ると、デジタル化の過去と未来は、国鉄の切符予約システムの時から今日まで変化してきた方向性と基本的に変わっていないと思うのである。そして次の興味は、「デジタル化の次に来る言葉は何か」ということである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?