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まだまだ。

葛飾北斎。

平均寿命は約40歳という江戸時代に、

90歳という驚異の長寿であったといわれています。

生涯にわたって実に3万点近くの作品を残した北斎が

「富嶽三十六景」を出版したのは72歳、

「富嶽百景」を完成させたのは74歳であったそうです。

(諸説あります)


その「富嶽百景」の跋文(あとがき)。


「己六才より物の形状を写の癖ありて、半百の此より数々画図を

顕すといえども七十年前画く所は実に取に足ものなし。

七十三才にて稍禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり。

故に八十才にしては益ゝ進み、九十才にして猶其奥意を極め、

一百歳にして正に神妙ならんか。

百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん。

願わくは長寿の君子予が言の妄ならざるを見たまふべし。

画狂老人卍」

「富嶽百景」よりも有名なこの跋文。

「70歳までに描いたものなんて取るに足らないよ。

73歳にしてやっとわかってきた気がするな。」

なんて言っているのです。


私は自分の灸で患者さんと良い時間が共有できないことに、

自分を責めたり無気力になったり、泣きたい気持ちで過ごしていました。

そんな時にこの跋文に出会って、

北斎の並々ならぬ熱量と貪欲さにやられました。

本当に私なんてまだまだまだまだだな、と

少しだけすがすがしい気持ちになったのでした。



映画「HOKUSAI」

後半の北斎像は「画狂老人卍」のイメージに引っ張られ過ぎではないか?

と思いましたが、絵師としての幸せな人生と狂気を見せてくれました。

柳楽優弥君の、まっすぐで、不器用で、

どこか世の中を斜めに見て面白がるような、

そんな視線の演技がとっても素敵で、本当にいい俳優さんになったなあ、

としみじみしました。

阿部寛の佇まいも良かった。

彼がいなかったら、この映画は締まらなかったと思う。











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