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前期の授業が終わってから一週間。課題に追われる生活に慣れてしまい、休みに入ってから毎日なにをしたらいのかわからなくなっている。ほんとうは大学院の出願とか英語の勉強とかやることはたくさんあるのだけれど、うまく頭が切り替えられない。気持ちを勉強モードに戻すためにも、一度まとまった休みを作ろうと思い、がんばったご褒美も兼ねて少しだけ遠くに行った。ホテルが安いし人混みを避けたかったので、観光地ではない静かな場所を選んだ。

普段と違う電車に乗り、2回ほど乗り換えをして目的の駅に到着。あらかじめ探しておいたお店に入り、まずはお昼ご飯を食べる。古民家を改装したようなところで、階段を上がって2階に案内された。私より先に常連らしい男性が一人いただけでほかには誰もいなかった。窓際の席が空いていたので、前にも来たことありますみたいな顔をしてさっと座った。「本日の日替わりランチ」とあったのでカオマンガイと、デザートにレモンケーキを注文した。料理が来るまでの間に短いエッセイを2つ読み、その空間にふさわしいふるまいができているか気にしながら過ごした。カオマンガイが何かわからないまま頼んでしまったのだけれど、少し癖のある甘いたれがおいしかった。レモンケーキが好きだったのでほかのスイーツも食べてみたくなって、ホテルに着いてから食べる用にマフィンをテイクアウトした。

それから近くの神社に行ったり本屋に寄ったりして、16時ごろにホテルにチェックイン。さっき本屋で購入した、のもとしゅうへいさんの『海のまちに暮らす』を部屋で読む。祖母と父がせっせと世話をしていた実家の畑のことを思い出す。3年ほど前に祖母が認知症予防に始めたみたいだけど、「近所のベテランのおじいちゃんがおせっかいでね、たくさん教えてくれるのよ」と迷惑がって、でも嬉しそうな顔で話していた。18時までそうして過ごし、歩いて5分のところの温泉施設に着替えを持って向かう。私はお湯に浸かるとすぐにのぼせてしまうので、入ったり出たりを3回くらい繰り返したところで温泉を出た。その温泉施設は地元の人が日常的に使うような場所で、一度訪れただけなのに長いことそこに住んでいるかのような感覚になった。お風呂上がりのホカホカした身体のまま休憩所で少しだけ本を読み、冷めてからホテルに戻った。

今回の旅の目的は、気持ちを切り替えることと本を読むことだった。でも結局温泉のなかでも大学のことを考えていたし、本を読むよりもネトフリでハリー・ポッターを見ている時間のほうが長かった。(「謎のプリンス」を見終えた)とはいえ、ひさしぶりに一人でのんびり過ごせて充実した一日だった。きもちがまとまらないままでも毎日生活は続く。つらくなったらまたこうして休もうと思う。今度はもう少し遠くへ行きたい。


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